文字通り、食養を通じた人生指南です。マクロビオティックを通じて健康と幸せになる道、ユーモアを交えて、様々な角度から説かれます。
恋愛、結婚、家庭生活……さらには老年期。豊かな人生とそれを支える食養の在り方が見えてきます。思わずメモしたくなる、印象に残る言葉も多いですね。例えば「正しい教育とは、学問を教え、正しい食物で育て、心身の健康を確立する原理をもたせること」。「最も治すのにむずかしい病気は、傲慢不遜(ごうまんふそん)という人間の業病です」。変わったところでは、「芸術家は全て陰性でなくてはならない」といった言葉も。読むほどに心に響くことばかりです。
「どこで食べるか、何を食べるか、何時に食べるか言ってみたまえ、きみが誰か当ててみせよう」と言ったのは、フランスの文豪バルザック。歴史に残る名言のひとつですが、バ ルザックよりも、さらに深い言葉が本書には、いくつも出てきます。「その人の今日までとった食物が分かると、その人の過去の一生分が分かる。家庭が分かる。境遇と経済と思想が分る」。さらに、これに関連するものとして「私は、いつのまにか人の相に、その食物を読むことをおぼえてしまったのである」。
日頃から歳を重ねれば重ねるほどに、人格が顔に表れてくると感じていますが、食べ物までは僕には読めません。少しでも桜沢如一さんの域に近づけるよう、精進したいと思う 次第です。
具体的な正食法を知りたい方は、他の桜沢本をお求めになった方がいいでしょう。しかし、これからマクロビオティックを本格的に始めようと考えているなら、形よりも「心」から入っていくことで、より効果が高まることが期待できる本書から読むことをオススメします。
また、今まである程度、実践してこられた方は、肯けることが多々あるはずです。今だから腑に落ちてわかる喜び!折にふれ読み返し、幸せを実感していただけると幸いです。
(月刊マクロビオティック2014年4月号「団長が紐解くG・Oの世界」より)
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団長/だんちょう
年間1,000冊以上の読書を楽しむ「本のソムリエ」として、ロックバンド「一里塚華劇団」のVo.& Guitar、ラジオDJ、作家等として世界30ヵ国で活躍中。
学校や図書館での読書講演や読み聞かせ、テレビや雑誌でのお勧め本紹介など、老若男女から幅広い人気を集める。
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