本書の原著は、「密林の聖者」といわれたシュバイツアー博士に向けて、フランス語で書かれていたものです。世界の平和や幸福、自由を実現するために、正食の原理と技術、宇宙の秩序を伝えるべく、誠心誠意試みた魂の一冊です。結局、博士を動かすことはできなかったようですが、その代わりに多くのフランス人の心を動かしました。そして今も尚、受け継がれています。
本書の魅力は、タイトルにあるように、その「哲学」にあります。フランス人は哲学を「人間として不可欠の教養」と考え、とても重視しています。書店や駅の売店には「philosophie」という哲学の月刊誌が並び、高校3年時には文系理系問わず、哲学が必修になります。それどころか、大学入試の試験科目としても採用され、合否を分ける重要なカギを握っています。
また、フランスにおいては、哲学的思考は、大人向けの本に限らず、児童書と呼ばれるものにも色濃く見え隠れします。あの世界的ベストセラー「星の王子さま」にも顕著です。
考えること。自分の言葉を持つこと。フランス人が何より大切にする人生哲学は、まさに桜沢さんが提唱している幸せ、自由への考え方とも大いに通じるところです。哲学の国・ フランスを前に、桜沢哲学が一層光っています。
本書では、カントを始めとする世界的に有名な西洋哲学に対して、その脆もろさを指摘し、東洋的なモノの見方を取り入れることの価値を伝えます。それだけでも、胸のすく思いが しますが、何より、桜沢さんの強い意志や人間愛に感動します。
無双原理を中心に、マクロビオティックには明確な哲学があることも、フランスや欧米諸国で受け入れられた理由なのかなと、本書で改めて感じました。桜沢さんの幅広い教養にも触れられ、実り多き読書を楽しめますよ!
(月刊マクロビオティック2014年6月号「団長が紐解くG・Oの世界」より)
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団長/だんちょう
年間1,000冊以上の読書を楽しむ「本のソムリエ」として、ロックバンド「一里塚華劇団」のVo.& Guitar、ラジオDJ、作家等として世界30ヵ国で活躍中。
学校や図書館での読書講演や読み聞かせ、テレビや雑誌でのお勧め本紹介など、老若男女から幅広い人気を集める。
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