一言、なんとも強烈な本です。痛烈というべきか。タイトルになっている「千二百年前の一自由人伝教」と「生まれるまでの君の伝記」の2部構成です。
まず、前者は伝教大師・最澄の話。61歳の時にインドで読んだ『伝教大師』から、最澄の生き方に感動した桜沢さんが、自由人としての生き方を説きます。最澄とご自身、さらには弟子や読者を比べていることもあってか、今まで当コラムで紹介してきた本の中で一番厳しい言葉が書かれてある印象です。叱咤激励の嵐!正直、入門者の皆さんにとってはあまり心地よいものとは言えないかもしれません。しかし、しっかり取り組まれている皆さんにとっては心に喝が入るはずです。そして、厳しい言葉の中にも大きな愛情を感じ ることでしょう。近年、生き方や礼儀作法について、ここまでビシっと言われる機会はそうそうないでしょうから。有難いことです。
次に、後者では生命について、それも受精卵から胎児に至る過程を系統的に教えてくれます。生物の授業を思い出してしまいますが、今なら試験のためではなく、自分のこととして意義深く読めるはず。母親の食が及ぼす影響がいかに大きいのかを改めて実感することでしょう。
最後に、すごくいい言葉がありましたのでお伝えします。
「読めない、と云うのは、字は読んでも行動に一寸も出ていないコトを云うのだ。それができない以上、マダほんとうに分かっていないのだ。」
読書も行動に繋がって初めて読んだと言える、いうこと。桜沢さんほど、古今東西の書物から多くを勉強された人は滅多にいません。書籍を通じて紹介・引用されたり、オススメされているものを実際に自ら読んでみることで、本当に自由で幸せな人間に成長していけると思います。
(月刊マクロビオティック2014年11月号「団長が紐解くG・Oの世界」より)
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団長/だんちょう
年間1,000冊以上の読書を楽しむ「本のソムリエ」として、ロックバンド「一里塚華劇団」のVo.& Guitar、ラジオDJ、作家等として世界30ヵ国で活躍中。
学校や図書館での読書講演や読み聞かせ、テレビや雑誌でのお勧め本紹介など、老若男女から幅広い人気を集める。
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