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Home月刊マクロビオティック > 重藤誠「何をどのように食べるか?」

月刊「マクロビオティック」おすすめ連載

 

Vol.11:老化と糖化(AGEs)

 

終末糖化産物( AGEs =AdvancedGlycation End Product )とは、たんぱく質と糖が加熱されてできた老化物質のことです。加齢に伴い増加することがわかっており、最近では、増えると年齢に伴う疾患のリスクが増すなど、その重要性が認知されてきました。AGE が増えると、コラーゲンなどのたんぱく質がうまく作れなくなり、皮膚のたるみ・シワの原因になります。特に、紫外線のダメージを大きくする一因になっているようです(左図1)。また、神経細胞に溜まると、アルツハイマー病などが起こってくると考えられています。

比較的有名なものとしてアクリルアミドというものがあり、国際がん研究機関によって発がん性があると考えられるという物質の1つに挙げられています。AGEsは食品を高温調理することで発生し、ベーコン、ステーキといった肉料理や、ポテトチップスやフライドポテトに桁外れに多く含まれます(表1)。調理前の状態であれば、動物性のものは高く、植物性のものは低いことからも、動物が生きるということは、時間とともにAGEs を溜めているということがわかります。コーヒーや焙煎したお茶のほか、タバコの煙にも含まれています。

糖尿病の診療をするうえで欠かせない、血糖コントロールの指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)やグリコアルブミンも、AGEs の1種です。高血糖状態で産生されるため、糖尿病患者では増えており、インスリン抵抗性や、インスリン分泌細胞(β細胞)毒性の原因になっているということがわかっています。

体内のAGEs を増やさないためには、急激に血糖を上げるような清涼飲料水や、菓子類を避けることが重要になってきます。特に、白砂糖やぶどう糖果糖液糖には注意が必要でしょう。

食品からの摂取を減らすのも重要と考えられます。蒸す、煮るという調理法を選ぶことで、AGEs の発生を抑えることができます。低温調理は、熱に弱い栄養素も摂りやすくなる点でも優れています。

現在判明しているだけでもAGEsには100種類以上の化合物があり、それぞれが多種多様な化学的性質を持っています。それぞれについて研究されておらず、明確な生理作用は不明です。したがって、生物学的活性があるかどうかも現時点では言えません。測定系も不安定で信頼できないことから、HbA1c などの例外を除いて、合併症の指標にもなりません。実のところ、AGE 経路自体にまだ議論があるところで結論は出ていないのが現状なのです。

最近では、侵襲なしにAGEs が測定できる機器も開発されており、面白そうではありますが、測定しているAGEsが老化の指標とは限らないと考え、導入はしていません。

私個人としては、AGEs はそこまで気にしなくてよいと考えています。あまり増やさないほうが良さそうではありますが、アクリルアミドなどは炊いた玄米にも含まれているわけで、気にしだしたらきりがありません。AGEs は、腎機能が正常であれば腎臓から排泄されるわけですし、そんなに心配しなくてもよいのではないでしょうか。日本食の基本は、煮る、蒸すですし、一般人はジャンクフードを避け、低温での調理を心がけるくらいで十分です。

AGEs の理論だけ見た場合、すべての食品を生で食べるのが理想です。甲田光雄先生の晩年などは、玄米にすら火を加えず、発芽させただけの状態で食べていたようです。長年の食事法の研究の結果、行き着いた境地で、アンチエイジングの観点からも、科学的にも少食、菜食、生食を組み合わせた最強の方法かもしれません。

とはいえ、生食もそれなりにリスクがあります。加熱調理することで栄養を消化吸収しやすくできますし、自然の毒素を不活化できます。今は農薬と化学肥料を使うため、寄生虫などはいなくなりましたが、「完全有機無農薬の野菜を生で」というのは衛生学的にはリスクかもしれません。栄養学の世界でも結論は出ておらず、野菜は半分生で半分調理するのがよいでしょう、ということになっています。複雑系の極みである老化はなおさらで、AGEs だけ気をつけても意味はありません。

どんなに気をつけようとも、健康リスクをゼロにすることはできませんし、AGEs だけ気をつければ老化が抑えられるというわけでもありません。なにごともメリット・デメリット( 陰陽)があり、バランス感覚が重要です。

 

プロフィール

重藤 誠/しげとう まこと

医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。
シゲトウクリニック:http://shigeto-cl.com

 

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2019年5月号 Vol.10「なぜ糖尿病はここまで増えたのか?」
2019年4月号 Vol.9「尿酸が低いと認知症リスクに!」
2019年3月号 Vol.8「卵とコレステロール」
2019年2月号 Vol.7「血圧は下げたほうがよいのか」
2019年1月号 Vol.6「現代向けマクロビオティックのすすめ」
2018年12月号 Vol.5「世界のトレンドは穀物菜食」
2018年11月号 Vol.4「なぜカロリー制限はうまくいかないのか」
2018年10月号 Vol.3「糖質制限がおすすめできない理由」
2018年9月号 Vol.2「人はなぜ太るのか?」
2018年8月号 Vol.1「ダイエット総論」