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Home月刊マクロビオティック > 重藤誠「何をどのように食べるか?」

月刊「マクロビオティック」おすすめ連載

 

Vol.5:世界のトレンドは穀物菜食

地中海式ダイエット・DASH食

世界的に、長期の減量に向かない糖質制限食が廃れてきているのは以前に述べたとおりです。現在の流れは地中海式ダイエット、DASH( DietaryApproaches to Stop Hypertension )食といった、科学的根拠に基づいた食事法が主流になってきています。

地中海式ダイエットは、1960年代にギリシャやイタリアなどの地中海沿岸諸国で行われていた伝統食を基準につくられた食事法です。具体的には新鮮な野菜、フルーツ、種子類、全粒穀物、魚介類、オリーブオイルを多く摂り、加工食品、塩分、赤身の肉、精製された穀物を避けるというやり方です。

積極的に摂るべき食材は、いかにも体に良さそうなものです。しかも、それぞれ科学的根拠(エビデンス)がそこそこあり、総合的にも、健康によいのは当然といえます。現状、最も研究されていると思われる食事法で、心筋梗塞、脳梗塞を予防して死亡率を下げる、減量に有効、認知症の進行を防ぐなどの効果は、ほぼ確定といってよいでしょう。

欠点を挙げるとすれば、材料に高価なものが多く、完璧に行おうとするとヨーロッパでも食費がかさむ点です。食品の輸入が多く、相対的に円安の日本では、なおさら費用がかかることになります。南イタリアに住む1万9000人を約5年間観察した研究では、地中海式ダイエットにより高所得者の心不全、脳卒中のリスクが60%減ったのに対し、低所得者ではリスクの低下が見られなかったということでした。低所得者は低価格のオリーブオイルを使っていた傾向があり、それが一因ではないかと考察されています。

実際、エビデンスによる後押しで、世界的にオリーブオイルの需要が伸びた結果、この5年でオリーブオイル価格は2倍近くになりました。結果、かなりの量の偽物が出回っているのではないかといわれています。

世界最大のオリーブ生産国であるスペインでは、2016年のオリーブ生産量は655万トンでした。同国のオリーブオイル生産量は110万トンを超えており、計算上は100sのオリーブから16リットル以上のオリーブオイルがつくられていることになります。オリーブの脂質含有量は12%程度ですので、すべてのオリーブを使ったとしても計算が合いません。実際は、圧搾で脂質を100%取り出すことは不可能ですし、直接食用にされるものがあります。公表されている数字だけを見ても、偽物のオリーブオイルが存在することに疑いはないでしょう。一説にはアジアに輸出されるオリーブオイルの8割以上がサラダ油に香料などの添加物を加えたもので、プロが味見をしてもわからないほどだと言われています。

地中海式ダイエットが健康食であることに疑いはないですが、素材を厳選しないと効果がないばかりか、悪い油の
害を受ける可能性もありますので、注意するに越したことはないでしょう。

もう一つのDASH食とは、アメリカの国立衛生研究所が、国民の血圧を下げて心筋梗塞を予防する目的で考案された食事法です。アメリカでは最も支持されており、U.S. News&WorldReport でも地中海式ダイエットと並び7年連続の1位を獲得しています。

やり方としては、野菜や果物、全粒穀物、低脂肪乳製品、魚介類や大豆製品、海藻を中心に摂取し、塩分と脂肪の多い食品を減らすやり方です。特に塩分は通常版でも平均的な日本人の半分以下の5・8g、減塩版では3・8gと厳しく制限されているのが特徴です。

野菜、果物、ナッツなどの種子、全粒穀物、魚介類などを積極的に摂る点は地中海式ダイエットに似ていますが、こちらは科学的根拠となる研究結果をもとに研究者たちがつくった指針で、その点は地中海式ダイエットと異なっています。

アメリカ人向けに作られていることもあり、設定されているエネルギー量( kcal )は、かなり大きくなっており、日本人が行うのであれば2割引きくらいを目安にしたほうがよいでしょう。また、統計としては避けたほうが無難と思われる赤身の肉を「控えめの量で脂肪分を避ける」という条件で入れていたり、乳がん、前立腺がん、骨粗しょう症との関連がかなり強く疑われる乳製品を「低脂肪」という条件付きで摂取可としていたりと、気になるところがいくつかあります。こういったガイドライン的なものは、純粋に科学的根拠だけでつくることができないことは、20年近く医療の世界にいるとよくわかります。

いずれにしても、野菜、果物、全粒穀物を積極的に摂る、脂肪分を避ける、減塩する、加工食品を避けるという点で共通しています。感覚的にも健康的な食品ですので、健康に気を遣うのであれば、最初に取り入れるべき項目と言ってよいでしょう。

 

プロフィール

重藤 誠/しげとう まこと

医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。
シゲトウクリニック:http://shigeto-cl.com

 

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【バックナンバー】

2018年11月号 Vol.4「なぜカロリー制限はうまくいかないのか」
2018年10月号 Vol.3「糖質制限がおすすめできない理由」
2018年9月号 Vol.2「人はなぜ太るのか?」
2018年8月号 Vol.1「ダイエット総論」