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『月刊マクロビオティック』5月号おすすめ記事
病気にならないための
生活習慣は学校で教えるべき
勝又:我々はがんだけでなく、あらゆる病気は生活習慣が要因であろうと考えます。そして、その中でも食べ物が基礎であって、なるべく自然な状態でいただくという考え方の中で、お米を主食とした伝統食文化は、これからの世界にとっても大切ではないかと考えます。
垣添忠生(以下:垣添):今、それが乱れているからすごく心配ですね。特に子どもたちが。一家が揃って食事をする機会が減っていて、子どもは食卓で基本的な食のマナーを親からきちんと指導されることがない。噛むことの大切さを知らずに柔らかいものを一人で食べていると、歯が弱くなったり歯並びが悪くなったりしてきますね。
ホテルのバイキングなどを見ていても、とんでもないお箸の使い方をしている子どもがいたり、大人でもテーブルに両肘をついて食べている人がいます。そういう「生活の基本」みたいなものが乱れているのが非常に心配です。その延長線上に食事の中身が乱れてきている。
がんもそうですが、多くの病気、糖尿病にしても生活習慣病というのは、毎日の3食の積み重ねで何十年と経って起きてくるということがなかなか理解されないのが辛いところです。
勝又:「対症療法」と言いますよね。病気になってからどうするかという方法は色々発達していますが、本当は人間にとって健康とはすべての元になるものです。だからこそ、学校教育の中にそれがなくてはならないのではないかとつくづく思います。
垣添:文科省もやっとがんに対する学校教育を取り上げて良かったなと思っています。
2月4日に世界中でワールドキャンサーデー(世界対がんデー)が開催されたのですが、三重大学で行われたテーマが「子どもにがん予防の姿勢をつくる」というものでした。小学校の3〜4年生くらいが中心なのですが、先生や栄養士の方のお話を聞いてパネルディスカッションをしたりと、とてもよい会でした。やはり、文科省が本気になって取り組むようになることは、今後の我が国のがん対策の観点からすると非常に大きな意味があります。
予防と早期発見が大切
勝又:「がんもどき理論」の近藤誠先生が「がんは老化現象だ」と言っていますが、問題は若い人たちが老化現象を起こしているということです。小さい頃から教育の中でやっていかないと……老化現象として出てからでは遅いと思います。
垣添:がん対策も含め医療費のパイが限られていますから、その中でがん対策を一番効果的にするには、予防と検診で早期発見するのが、一番少ないお金を投じて、国民に最大の成果を上げる方法だと思うのです。マスコミ等は話題性があるので「新しい薬が作られた」と騒ぎますが、凄く高いのです。毎月数百万ものお金をかけてその薬を何ヵ月か使い、結局患者は亡くなってしまう。進行がんを患ってしまうと治ることはそうそうないのに、お金をかけて患者さん自身も苦しんで亡くなるというのは大変残念ですね。
早期発見すれば、大部分を簡単な手法で治してあっという間に社会復帰できるわけですから、労働人口の減少という観点から言っても、医療費の減免という観点から言っても本当に大事なことだと思います。がんにならないという観点からすると、食事とたばこ対策と感染症が関係するがんに関してはワクチンをきちんとやれば、がんは遠ざけることができると思います。
特に、食事とたばこが関連するものには、がんだけでなく色々な生活習慣病がありますからね。本当に日本人の健康を維持するには予防にすごく意味があると思いますね。私はいわゆる「健康食品」は信用していないのですが、腸内細菌は免疫や老化の観点からいっても非常に大切だと思うので、唯一乳酸菌だけは飲んでいます。もちろん運動もして、食事の内容には気をつけています。
足に3sのおもり
勝又:垣添先生は足に3sのおもりを付けているそうですね。
垣添:はい。片方が1・5sずつつけて毎日一万歩歩いています。
勝又:そういった生活習慣が一番大事ですね。
垣添:相当意思の力が強くないとダメですね。毎日継続する、継続は力なりということです。私は妻を亡くしていて高齢単独世
帯ですが、今の平均寿命からすると79歳まで生きることになります。これだけ体を鍛えると、もっと生きてしまうかもしれません(笑)。
例えば、太ももの筋力が弱くなると、つま先が落ちてきます。家の中のちょっとした段差や畳と絨毯の境目などでひっくり返って、運悪く骨折すると3ヵ月くらい入院することになりますよね。すると、寝たきりになってあっと言う間に筋力が落ちて認知症を発症することがありますし、食事が摂れなくなると胃ろう( 腹壁を切開して胃内に管を通し、食物や水分、医薬品を流入するための装置)を付けられたりして、2〜3ヵ月経った頃には別の人物に変わってしまいます。そういうことにならないためにも、おもりを付けているのです。
それに加えて、趣味の登山をいつまでも楽しめるためにも鍛えているのです。
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