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『月刊マクロビオティック』10月号おすすめ記事

 

ありふれた営みを
       大切にしたい

勝又:教育は教育産業の手下になってしまっていますし、医療も医療産業の手下になってしまっています。お医者さんも喜んで機械医療をやっているわけではないですよね。やっぱり、指で脈をとったり、聴診器で診てあげたり、自分で治してあげたという実感が得られれば、そこにモチベーションが生まれますし。

川嶋:ところが、今のお医者さんはもうすでにそうじゃないと思いますよ。年を取った医者は、まだ良心の呵かしゃく責を感じながら機械を触っているかも知れませんが、そいうことを知らいない医者に教わった子どもたちが今の医者ですから。だから本当に怖いです。

勝又:もう触診などは習わないのですか?

川嶋:習わないと思います。もうできないですよ。

勝又:問題はそこで、すごいものが失われているということに気がついてもらわないといけませんね。若い人たちは、仕事となると確かに合理的で儲かる方が良いと考えますが、本質的には何かおかしいと感じています。
 やっぱり、生まれてきた以上もっと何かあるはずだと求めていると思うのです。結局人間が人間らしさを失ってしまっているところに問題があるわけですから。本当の人間らしさを取り戻すと、生きていることはこんなに楽しいんだとなります。そこを指導するのが文科省だろうと思うのですが……。

川嶋:生きる営みの基本が食べることです。色々な営みがありますが、1日に3回食べている人は一年間で1100回、10年経てばものすごい回数になるのですから、食べることは一番ありふれているわけです。
 ということは、食べるプロ、作るプロのはずなのです。それがあまりにもありふれているので有難さがわからない。私はこの「ありふれた営み」というのが好きで、「ありふれた営みを大切にしましょう」と言ってきました。食べることも寝ることもトイレに行くことも全部ありふれているけれど、その中で特に食事はありふれているということですね。お母さんのおっぱいを飲むところから始まるわけですから。

勝又:そこで、お母さんのおっぱいじゃなくて牛乳が入るわけですよ。ましてやそれに砂糖が入っている。うちは玄米食でしたから、母乳が豊富で子どもを牛の赤ちゃんにしないで済みました。家内はその頃牛乳育ちの赤ちゃんに母乳を飲ませた経験があるのですが、その時の衝撃を鮮明に覚えています。もう食いついて離さない、しがみついて全身の血液を全部吸われちゃうんじゃないかと。やっぱり赤ん坊はわかっているのですね、何がおいしいかということを。
 その感性を、牛の赤ちゃんが飲むものだとか、牛乳に砂糖を入れてしまうとか、人間らしくないものを与えてしまうところから出発しちゃうわけです。生命というのは、栄養成分だけではなくて、そういうことも含めてマクロに考えていかなくてはいけません。

看護師を目指した理由

勝又:今の教育は栄養成分だけしか教えませんから、生きていく上での大切なところは全部カットされてしまいます。ある業者の人たちにはそれが非常に都合がよいということになるのですが、何よりも機械化、合理化の中で人間が失っているものは大変なものなのです。
 それを取り戻したら、こんなに素晴らしい人生が待っているのだよと、先生もおっしゃっていますが、それがわかると看護師としての仕事が楽しくなってくるのだというところが大切です。そして、看護師としてだけではなくて、生きていくことが楽しくなる。
 今の若い人たちに何がやりたいと聞くと「何やっていいかわからない」と答えます。もう全部満たされているのです。私たちが若い頃はやりたいことばっかりでしたよね。

川嶋:今の子どもたちは「何か食べたい?」と聞くと「別に」と答えるそうです。お腹が空いたという感覚がないのですよ。だから、空腹感を
教えるところから始めなくてはならないですね。
 戦争中はお腹が空いていたから、なんだって美味しかったですよね。それに、お腹の空腹だけでなく、ハングリーな心がなくなってしまったから、自分から進んで何かをしようという気持ちがないんですね。与えられるものは仕方がないからやってやるかという感じで。

勝又: 川嶋先生が看護師を目指された理由は何だったのですか?

川嶋:あの時代は何にもなかったのです。つまり、勉強したいのに学資がないから、お金のかからない道を選んだのです。
 あの頃の女性には、あまり多くの選択肢がありませんでしたし、上の学校に行くためには学費が必要でした。でも、とにかく勉強したかったのです。そんな折、聖路加女専や日赤女専は奨学金制度があって、お小遣いまでいただけると聞きました。敗戦後の占領下で連合軍総司令部による一連の看護改革がされている頃でした。医師の小間使いのような看護師ではなく専門職にするために、アメリカの看護師たちが私たちの学校に直接指導に入っていました。私たちもものすごく背伸びして。これからの時代は看護だと思って一生懸命勉強しました。

勝又:日本ではお医者さんを助ける立場だったのが、アメリカからそういう考え方が入ってきたのですか?

川嶋:後で知ったのですが、その当時のアメリカでも医師の力はかなり強かったようです。占領政策で日本に来た女性看護師たちは、自分の本国でやれないことを日本でやろうとしたそうなのです。それがすごく良かったですね。それでも70年代になってからは、また医者たちが力を持ち始めました。

勝又:お医者さんが治らないと言った病気が、看護師の努力で治るということもあり得るんだと川嶋先生はおしゃってますね。

川嶋:まだ数は少ないですが、いわゆる植物状態で意識が戻らない人が社会復帰にこぎつけた例もあります。だから私は安楽死には反対しているのです。命がある限りは希望を捨ててはいけない、という感じで。

勝又:数は少なくても、それが看護師を目指す若いお嬢さんたちのすごいモチベーションになりますね。そのメカニズムが分かればね。

手を当てることの意味

勝又:川嶋先生は「TE-ARTE (て・あーて)」という言葉で、看護師の手によるケアの重要性を訴えていますね。

川嶋: 医者と同じでディスプレイの画面しか見ていない看護師たちや腕組みしているだけの看護師に、とにかく手で触れて欲しいと「て・
あーて塾」を行っています。

勝又: ある意味では聴診器もそうだったと思うのですが、手を当てるというのは指先をアンテナにして相手と心を通わせる。いわゆる、母と赤ん坊と同じような関係になっているわけです。そうすると、言葉以外に、今、病人が何を求めているかわかるという関係があったんじゃないかと思うのです。

川嶋:脈だって、嫌な人が触れると早くなるわけですよ(笑)。好きな人でもそうですけどね。だから、本当に信頼関係があって、赤ちゃんが真っ裸でも平気なように、無警戒な幼児時代と同じように患者さんとの信頼関係が成立すれば、触れるだけで正確なデータがとれるのです。皮膚を触っただけで緊張しているか、寛くつろいでいるかも分かります。脈をとれば、血圧を測った方がよいか分かるわけです。今はそれを一切やらない。すぐに血圧計を巻いて、数字が教えてくれるデータを頼りにしてしまいます。だから本当に触らなくなってしまっているのです。

勝又:マクロビオティックも実際に広めたのは女性です。結局は、しょうが湿布も芋パスターも、ごはんを作るのも食べさせるのも男性ではなく女性なのです。ですから医療も今、ナイチンゲールに戻らないといけないと思うのです。
 今回の医学シンポジウムは、川嶋先生を筆頭に女性が主役です。是非とも女性の手当ての力を盛り上げてまいりましょう。

川嶋:とても楽しみにしております。

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第7回マクロビオティック医学シンポジウム


※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。

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