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『月刊マクロビオティック』6月号おすすめ記事


講演の様子

 

咀嚼の重要性

 食品で満遍なく摂れるように、自分に足りない栄養素を補ったらいかがですか?という話をします。
 僕は、栄養素が何にどのくらい多く含まれているかという資料を患者さんに渡したりしています。日本の栄養指導は、まず医者にはできません。「何を食べたらいいですか?」という問いに「塩を控えなさい」くらいしか言わない。管理栄養士も糖質、たんぱく質、脂質、それから水と塩くらいです。さらには栄養指導には食べ方の指導はまったくありません。
 例えば噛むこと。咀嚼はとても重要なことです。縄文人は一回の食事の咀嚼で4千回以上、鎌倉時代は約2千500回噛んでいました。江戸から戦前にかけては1千500回です。現代人は約600回だと言われています。マクロビオティックでは最低一口30回といっています。20口30回ずつ噛むと600回なので、実際はもっと噛んでいるのだと思いますが、これが現代人の平均なのです。
 咀嚼は神経ヒスタミンというものを出して満腹中枢を満足させます。お腹を満腹にして食べ過ぎを防いでくれます。次にメタボの原因という内臓脂肪を燃焼させ、体温を上げて免疫も上げます。これは痩せることに繋がります。
 そして、逆のように思われがちですが、コーチゾルとかアドレナリンを下げます。すなわち、リラックスします。噛むということは生理学的にも一挙三得くらいあります。
 それから、がんの栄養指導もありません。「美味しいものを食べればいい」ではないのです。アメリカにはガイドラインがあり、実際にがんによる死亡率は下がっているのです。
 食事の内容はまさに伝統的な日本食に近いものです。伝統的な食事に戻るだけの話なのに、日本ではなぜやらないのかと思います。

日本は和の国

 では、人間にはどうして穀物菜食が必要なのかということですが、ヒトの適合食は歯の構造を見れば分かります。構造的には穀物6割、野菜3割、肉・魚1割くらいの割合なのです。それから糖質を分解する酵素が一番多いです。その次にたんぱく質、脂肪を分解する酵素です。腸の長さは身長の6倍、小腸の面積は対表面積の200倍です。
 日本は和国とも言います。つまり、日本人=和、和の禾のぎへん遍は穀物を表しています。穀物を口にするから和。やはり日本人は穀物と切っても切れないのです。外国人とは違うということを認識しなければなりません。
 日本人の腸が長いのは、米を食べてきた民族だからです。米はアミロース、アミロペクチンという難消化性のでんぷん質を多く含みます。分解がゆっくりになるので、その分、腸管に長く留まるように腸が長くできています。ということは血糖値の上がりが緩かんじょ徐ですから、それに伴って分泌してくるインスリンの分泌量も緩徐になります。つまり、日本人の膵すいぞう臓は急に血糖が上がるものには耐えられないのです。だから日本人は糖尿病になりやすいのです。
 それから日本人は倹約遺伝子という、入れた栄養素で余った分を出すのではなくて溜め込む性質の遺伝子を世界で2番目に発現している民族です。エスキモー(ヤクート)の次です。だから太りやすく、糖尿病になりやすいのです。
 幸いにしてインスリンの分泌量が少ないから極端には太りません。そしてかつては農耕民族だったのが、運動する習慣をなくしてしまったことでエネルギーを溜め込んでしまうことになった。だからメタボなどという、よろしくない和製英語ができてしまいました。

白米と玄米の栄養素の差

 玄米のそれぞれの栄養素を100としたら、白米では足りないものがずいぶんあります。圧倒的に玄米のほうが良いわけです。ところが、玄米は万能ではなかった。
 玄米のメリットは豊富で、肌がきれいになったり、繊維を含んでいますから便通は良くなります。繊維を含んでいるということは血糖値の上昇を抑えられます。さらに善玉菌を増やすのです。玄米に含まれるフィチン酸は有害な物質を出しますが、一緒に必要なミネラルも出してしまうというマイナスの性質もあります。
 玄米には特有の匂いがあり、また炊くのが難しい。消化吸収に時間がかかります。だからよく噛みなさいと言います。玄米セルロースは100回くらい噛まないと分解しません。だからマクロビオティックでは最低30回と言っていますが、実際に普通に玄米を食べるなら0回は噛もうと指導しています。
 玄米で不足しがちな栄養素は、動物性から摂るのではありません。ビタミンB12は海苔でいいし、ビタミンCは野菜や海藻で摂れます。
 ビタミンDはキクラゲやしいたけ、EPA・DHAは青魚にたくさん含まれていますが、しそ油やえごま油で摂れます。鉄はレバー以外にも鉄分の多い植物はたくさんありますし、亜鉛やたんぱく質もそうです。
 カルシウムも牛乳を飲まなくても充分摂れます。玄米で足りなかったものを副菜で摂ればよく、そういうことを昔の日本人はうまくしてきたのです。 

ベジタリアンの語源

 ベジタリアンという言葉は「ベゲタス」というギリシャ語からきています。英語で言うと「whole」です。「完全な、健全な、元気な」など
の意味で「ベゲタス」は精神的にも肉体的にも健康で生き生きとした力強い人を意味しています。
 それに、哲学的な意味合いがあって、見た目だけではなく、社会や人生に対してもバランス感覚があって、よりよい社会を目指す、そういう意味合いを含んでいて、人生観や世界観を含めたものをベジタリアンと言っているのであり、野菜を摂る人たちだけの意味ではありません。
 マクロビアンは玄米だけ食べているわけではありません。穀類や豆、海藻、果物を摂ったりします。日本の食事というのは伝統食で、元禄時代の食事は完全にベジタリアンです。肉は食べなくても充分栄養を補うことが可能だったから、こうして日本人として生きてきているわけです。
 他の国は様々です。豚肉を食べてはいけない国もあれば、牛肉を食べてはいけない国もあるし、アルコールを飲んではいけない国もある。日本独自の食生活というのは、日本人にあったものと捉えた方が素直です

マクロビオティックは正しいか

 僕が思うのは、目的が健康維持や健康増進、病気予防だったら正しい食かもしれないということです。
 楽しめない食事はストレスになります。食事が楽しくなかったら逆効果になることもあり得るということです。
  また、人生観、死生観は様々です。自分たちなりの人生観や死生観を考えながら、食事から生活を変えていくというのが必要なことではないかなと思います。
 僕は死ぬ時に悔いが最少限になることが理想ではないかなと考えています。悔いが残らないのは無理なので、ただ最小限、「これくらいだったら許せるな」「最高の人生だったな」と言って死んでいくのがいいと思うのです。

エンディングノートを書く

 今やらなければいけないのは検診ではありません。本当の意味での衣食住とか「気づき」が大切なのです。一次予防です。病気にならないこと、医者を失業させることです。もともと保健指導では糖尿病、高血圧などの恐ろしさを訴えてきましたが、患者さんは増え続けているわけです。意識なんてそうそう変わるものではありません。例えば糖尿病では、毎年1万5千人ずつ人工透析になっていき、今や人口透析を受けている人が30万人を超えました。一人当たり500万円かかるとすると、単純に計算して1兆5千億円です。そして自己負担はゼロです。 
 日本人の糖尿病の大半はU型、節制できれば合併症など起きませんが、節制できないから透析などが必要になるのです。その費用を節制している人たちに負担させるのは理不尽です。意識を変えるには今までどおりではいけません。どうしたらよいのでしょう?
 意識が変わる疾患があります。それは、がんです。がんになると皆さん意識が変わるのです。食事を変え、運動を始め、早寝早起きをし、体を温めます。この差は何でしょう。それは「がん=死」と思うからです。死ぬと思うからこそ意識が変わるのです。
 ポイントは、ライフスタイルではなく「デススタイル」です。QOL(クォリティオブライフ)ではなく「QOD(クォリティオブデス)」です。これはどういうことかというと、まずやるべきこと、やりたいこと、やれることを決めるのです。そして、そのためにどのくらいの期間が必要
かを考える。その期間中は元気でいなければならないので節制します。期限が決まっていれば節制できるでしょう。
 達成したら、節制を外して好き勝手に死を迎えるもよし、リセットしてまた目標を定め、再度節制するもよしです。死ぬことを受け入れられたら、今度は倒れても救急車を呼ばないことです。なぜなら呼んだら助かってしまうからです。これをご家族に徹底しておくことが重要です。ただ、必ずしもご家族と一緒にいるときに倒れるとは限りません。そのために倒れた時の処置を具体的にあげておく必要があります。これを「エンディングノート」と呼びます。一番大切なのは今、書いておくということです。病気になってからではいけません。ご自身が健康な時、 精神状態が安定している時に書いて、同意してくれる人にもサインをもらっておくとよいでしょう。こうしておけば、意識がなくても自分の生死をご家族に委ねることなく、自分の理想的な死が迎えられます。
 これは僕のライフワークでもあるので、QODについて是非考えて欲しいと思います。

 

渡邉 昌

川嶋 朗/かわしま あきら

東京有明医療大学教授・医学博士・医師。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。2003 〜 2014 年、東京女子医科大学付属青山自然医療研究所クリニック所長。
2014 年4 月より現職。漢方をはじめとする様々な代替・伝統医療をとりいれ、西洋医学と統合した医療を担う。テレビ、雑誌出演、著書多数。

 

 

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