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『月刊マクロビオティック』10月号おすすめ記事

日本CI協会70周年記念 第8回マクロビオティック医学シンポジウム 特別対談

マクロビオティックと新栄養学

女子栄養大学 副学長 香川 靖雄 × 日本CI協会 会長 勝又 靖彦

 今秋開催する「第8回マクロビオティック医学シンポジウム」でご講演いただく、日本の栄養学をリードする女子栄養大学 香川靖雄副学長と当協会会長 勝又との対談が実現しました。
 スマートフォンを使いこなし、フェイスブックで情報発信するなど、83歳とは思えないほど若々しい香川先生。対談前に「キュイジーヌ・エ・サンテリマ」で、玄米を少なめにしたマクロビオティック料理をお召し上がりいただいてから、桜沢如一資料室へ場所を移しての対談となりました。

 

勝又会長(以下、勝又):本日はお越しいただきありがとうございます。
 2011年に当協会も協力させていただいた、西島千陽(ちはる)さん(女子栄養大学大学院生)のベジタリアン研究では、マクロビオティックを大変評価していただきましてありがとうございました。改めて感謝いたします。
 まず、香川先生はどうして栄養学の道に進まれたのか、お聞かせいただけますでしょうか?

香川靖雄副学長(以下、香川):両親が私が子どもの頃から栄養学をやっていましたから、やはりその影響が大きいですね。私の両親は昭和3年頃から栄養学の研究を始めて、それから5年後に学校を開校しました。今では栄養士
の養成校はたくさんありますが、戦争当時は大量炊事ができる栄養士が貴重で、空襲で校舎も寮も焼けてしまった時も、学校を辞めさせてもらえず「万難を排して続けろ」と言われたそうです。
 そこで母は、群馬には蚕を飼っている大きな家がたくさんあったので、そこを何軒も借りて学校を続けたのです。私はそこから前橋中学校まで通って農村生活をして、13歳の夏休みに終戦を迎えたのです。
 戦争中に父が亡くなっていましたから、終戦後は東京に戻り、母は借金をして仮校舎を建てて学校を再開するわけですが、当時は戦後の貧しい時なので学生が集まらないのです。
 100人の定員に対して20人しか集まらなくて、母は借金を重ねて疲労困憊していました。
 兄弟が4人いましたし、母もいつ倒れるかわからない。だから、私はせっかく東大に入れたので、当時は医学部がある理科V類はなかったので鉱山学を取ったのです。当時の平均初任給は1万円に満たないのですが、鉱山に行くと4万円もらえたのです。危険ですからね。4万円といったら兄弟が食べていけるわけです。実習では、今はハワイアンセンターになっている常磐炭鉱に行っていました。
 そんなことをしているうちに、日本全体の景気が良くなり、生徒数も入り切らないほど増えました。母もすっかり元気になったので、改めて医学部へ入学し、医学の道に進んで栄養学の研究をしてきました。今は女子栄養大学だけでなく、自治医大でも41年間栄養学の指導をしています。

 

和食が危機、日本の危機

香川:私が教えている自治医大は、へき地や離島に医師を派遣しているのですが、学生を連れて沖縄の西表島や石垣島などに行っていました。その頃の沖縄は男女ともに病気が少なくて長寿全国1位だったのです。ところが順位がどんどん下がり、男性は26位までに落ちてしまって沖縄の人たちがショックを受けたのです。
 それはなぜかと言うと、沖縄の伝統的な和食が失われているからです。旅行者が琉球料理を食べる時に用いられる芋は鹿児島産、まさしく薩摩芋です。伝統的な和食が健康に良いということは、動脈硬化学会などの内科系の学会が言っています。和食をユネスコで認めてくれたので期待したのですが、和食の中心は何といっても京都です。薄味だし、伝統的な料理です。しかし、今では日本で一番パンの消費量が多いところです。

勝又:そうなのですか?

香川:そうなのです。それに、若い舞妓さんの多くは滋賀県に住んでいます。アメリカの食文化の象徴であるマクドナルドの消費は、滋賀県が全国1位。つまり、京都の舞妓さんも家に帰ればマクドナルドを食べている、という状況なのです。
 伝統的な和食が健康に良いのですが、だんだんお肉の量が増えているので脂質が増えて糖質が減っていて、砂糖のような糖質は減らずにお米などのでんぷんが減っていますね。今、日本全体でパンの消費がお米の消費を上回っています。それから魚が70g(1日当たり)に減り、お肉が88gに増えていて、沖縄と同じようなことが起こりかけているのです。
 では、小麦とお肉が多くなったら日本人の健康はどうなるのだろう?と思い、研究をしました。日本人とほとんど遺伝子が同じなのがモンゴル人です。モンゴル人はお肉を食べて筋肉が発達しているから相撲なども強いですよね。力は強いのですが、モンゴルの人は日本人より寿命が短いのです。それに循環器疾患も多い。
 モンゴル料理というとジンギスカンを思い浮かべると思いますが、ジンギスカン鍋は日本が作ったものなのです。実際にモンゴルに行くと、お肉を小麦粉で包んだものを食べています。首都ウランバートルでは少量の野菜も摂りますが、野菜をほとんど食べないのです。

 

ベジタリアン・スタディ

香川:現在は私どもの大学院生 西島千陽が「ベジタリアン・スタディ」という研究をしています。この研究は「どんな食事が健康に良いか」という研究です。マクロビオティックを実践している人を含め、ベジタリアンの皆さんの健康状態を調べさせていただきました。そこで生命科学振興会理事長の渡邊昌先生と出会ったのです。実は、私は渡邊先生がベジタリアンだとは知りませんでした。血液検査のために集まっていただいた時に、渡邊先生が最前列で熱心に聞いていたことに驚いて、私が自ら採血をさせていただきました(笑)。
 7万3千人を6年かけて調べた方の結論から言いますと、マクロビオティックをしている人は小魚も許容されていますが、魚も摂っているベジタリアンの人が一番長生きでした。
 また、ベジタリアン研究で非常に感心したことがありました。禅僧の方が非常に長生きなのですね。奈良時代から明治末までの普通の日本人の寿命は40歳前後でしたが、その時代の禅僧の寿命は70歳を超えているのです。お肉を許容している浄土真宗の方が僧侶の中では一番低くて65歳でした。禅宗はヴィーガンで菜食だし、玄米食でもあったと思います。つまり、伝統的な和食で、場合によって肉は食べず、きちんとした生活をしているといかに長生きか、ということです。
 職業別の寿命も調べました。よく運動がいいと言いますが、運動家は他の職業に比べて寿命が短いですね。宗教家は非常に長生きです。
 日本では長野県が長寿といわれていますが、介護を受けている人が多いのです。介護を受ける人が少ないのが静岡県や愛知県です。何が違うかというと、一番和食が残っている地域なのです。お米の消費が一番多くて、お茶やマグロの消費も多いですね。お米は粒食ですからパンより健康にいいです。
 私は葉酸の研究をしていますが、お茶には葉酸が多く含まれていますし、マグロに含まれるDHAも体にいいですね。
 DHAは人間の脳に非常に良いのですが、純粋な菜食の人はDHA・EPAの摂取量が非常に少ないです。実は日本人の場合、DHAとEPAを植物性の食品から合成できない人が14%いらっしゃるのです。それが分かったので、ベジタリアンの方々は本当に健康を保てるのだろうか、ということを調べているわけです。
 ちなみに、魚に含まれるDHA・EPAは魚が海藻を食べて合成しているわけですから、植物食で摂ろうとするなら海苔などの海産物を摂るのがいいですね。また、菜食の方に欠けやすいビタミンB12も海苔に多く含まれています。永平寺(曹洞宗の中心寺院)の食事も海苔をよく使いますね。

勝又:私どもマクロビオティックの食事も、海苔やひじき、わかめなどの海藻をよく使います。

香川:そうですね。そして「僧侶はどうしてこんなに元気か」ということですが、心や体の本当のエネルギーを出しているのはATP合成酵素です。僧侶の方々は、祈祷やヨガによってこの酵素の遺伝子が増えるのです。もうひとつ、健康に害があるのがストレスです。受ける本人側の問題が大きいのですが、ストレスの時の中心になるのがNFーκ
Bというタンパクなのですが、僧侶の方々は祈祷やヨガでこれが減るのです。

結論的には、今は日本の危機なのです。「2025年問題」といって団塊の世代の方々には糖尿病が多くて、2025年は人工透析や目が見えなくなるなどの障害が起きる時期なのです。日本の税収が今年は52兆円ですが、2025年には医療費だけで59兆円になると考えらえています。
これを防ぐ唯一の方法は、予防医学を盛んにして、病気になる人を少なくしていくことです。私どもの大学もその目標に取り組んでいます。
マクロビオティックのような食事は非科学的と思われていましたが、そうではないのです。なぜ禅宗のお坊さんが長生きで病気も少ないのか。立派な病院があった訳でもないし、いい薬を飲んでいる訳でもない。やはり生活に違いがあるのです。皆さんにもその辺りをもう少し分かってもらいたいですね。
日本は病院に頼り過ぎています。世界でダントツに病院と人口当たりの病床の数が多い。アメリカやスウェーデンの4〜5倍あるのです。アメリカは医療費が高いので少ないのはわかりますが、福祉国家で国民が無料で医療を受けられるスウェーデンであっても病院の数、入院日数は全然少ないのです。

勝又:日本人は病院が絶対的で、病院へ行けば安心という意識が強いですね。川嶋朗先生(東京有明医療大学教授)が仰っていたのですが、薬をたくさんもらっても飲まずに捨てる金額が何千億円もあるそうですね。なぜそれをお医者さんに言わないのかというと、お医者さんに嫌われるから言えないのだそうです。

香川:高齢者は何種類もの薬をもらいますよね。もらった人は薬害になるのではないかと不安なのです。お医者さんは良かれと思って処方するのですが、薬を減らしたら良くなったという人もたくさんいらっしゃいますね(笑)。

香川靖雄

 

魚1 豆1 野菜4

香川:両親は昭和3年頃から栄養の研究をしていたとお話しましたが、どんな食事が健康にいいと言っていたかというと、「主食は胚芽米、おかずは魚1、豆1、野菜4」でした。マクロビオティックに似ていますね。
 それが、戦後に牛乳や卵が入ってきて4群点数法(注)に変化しましたが、現在の厚生労働省は野菜を1日に約400g、魚は100g、豆類を100g 摂りましょうと言っているので、昭和3年に私どもが推奨していた基準は現在厚生労働省が薦めている科学的な値と同じなのです。
 今の日本はパンとお肉の食事に変わっているわけです。それを何とか食い止めたいと思っています。皆さんがマクロビオティックのような食事をしてくれればいいのですが……。

勝又:栄養学が悪いのではないのですが、栄養さえ良ければいいという原理主義に陥る方がいますよね?

香川:それはダメですね。勝又:栄養学が悪用されていることが今の社会をおかしくしているのではないかと思うのです。マクロビオティックでも決してあれがいい、これが悪いと言っている訳ではないのですが、「穀菜食」という言葉が広がると、魚や肉が毒みたいな原理主義に陥ってしまう人がいるのです。やはり、生活習慣を良くしていく判断力が大切な訳です。僧侶の方々は、健全な判断ができて健全な生活ができているから長生きなのではないでしょうか。

香川:そうですね。

勝又:夜起きているとか、昼に寝ているというのはおかしくて、人間は自然に生かされている訳ですから、自然に従うのがノーマルですよね。

香川:禅宗は一番ハッキリしていますよね。朝ご飯は7時と決まっていて、昼食が12時、夕食が6時くらい、9時になったら寝るのです。これの繰り返しです。永平寺に宮崎奕え きほ保という方がいるのですが、10歳で両親を亡くしてか
ら最近106歳で亡くなるまでの約100年近くを同じリズムで暮らしていたそうです。

勝又:やはり、規律正しい生活をしてそれを継続することが大切なのですよね。

 

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