日本CI協会はマクロビオティックの創始者桜沢如一によって創設された日本で最も歴史のあるマクロビオティックの普及団体です。

home クッキングスクール イベントのご案内 書籍紹介 ショップ・レストラン情報 リンク アクセス お問い合せ

活動と入会案内

■協会からのごあいさつ
■概要
■理念
■沿革
■『入会のご案内』
■マクロビオティックとは
・辞書で引くと・・・
・桜沢如一・桜沢里真
・コラム
■研修制度

スタートセミナー日程



健康・病院案内

■健康相談
■定期健康講座
■病院案内

月刊マクロビオティック
食養生や料理レシピなど最新情報が満載です。

■最新号目次
■ご入会の案内
■図書館



マクロビオティック商品の商社オーサワ

リマネットショップ

 

 
Home月刊マクロビオティック > 抜粋記事〜今月のおすすめ記事

『月刊マクロビオティック』10月号おすすめ記事

 

主観的健康感「あなたは健康ですか?」

香川:もっと面白いことがあります。「あなたは健康ですか?」と訊くと、大部分の欧米人の9割が「元気です」と答えるのですが、日本人で元気と答える人は3割しかいないのです。だから病院に行く人が多い。病院に頼り過ぎて、自分で治そうとしないのです。世論調査によると、病気を自分のせいにはしないそうですよ。自分の生活が間違っていたから病気になったとは思わないのです。
 この頃は「主観的健康感」が医学常識になってきたのですが、それは自分が健康であるかどうかということです。自分が元気と思う人とそうでない人が、後でどのくらい長生きするか、健康であるか。コレステロール値や代謝、血糖値は人間の体のごく一部だけしか見ていないですよね。この主観的健康感は、どんな臨床検査値よりも寿命を予測できるのです。それは驚くべきことです。
 WHO(世界保健機関)でも、この主観的健康感(SubjectiveHealth)を重視するようになってきたのです。
 これはテロメア(染色体の先端にある保護構造。細胞分裂によるDNA複製が行われる度に短縮し、年齢を重ねるほど短くなり、長いと長寿になる)を計ると分かるのです。
 テロメアの長さと主観的健康感が非常に比例するのです。高齢者だったら老化現象があって、体のあちこちに故障があっても「だいたい私は元気だよ」という人は長生きするのです。これは面白いです。主観的健康感が高い人と低い人では寿命が全然違うのです。6〜9年ほど追跡をするのです。

勝又:まさに感性的判断力ですね。でも、テロメアは生活習慣で長くなるのですよね?

香川:テロメアは決して定期券ではなくて回数券です。使い方によって急に短くなる人もいれば、途中で気がついて、努力をして短くならない人もいる訳で、生活習慣を変えたらいいという話なのです。そこで主観的健康感がすごく頼りになるのです。普通に考えると、血液などを分析して出た値の方が信用できると皆さん思いますよね。しかし、それはあまりアテにならないのです。

勝又:数値化してデータにしたものは部分的ですよね。私的なものは感性ですから、全体で感じている訳ですね。ですから、医療においても、こういう感覚は絶対必要ですね。

香川:まさしくマクロビオティックですね。

 

腸内細菌と玄米食

勝又:最近、腸内細菌が話題になっていますね。先生はどのようにお考えですか?

香川:腸内に善玉菌と悪玉菌があることはかなり認識されていますね。おそらく、食物繊維が多いマクロビオティック的な食事をしていると腸内環境は良くなります。腸内細菌にはエサが必要です。腸内細菌そのものを食べることを「プロバイオティクス」と呼び、善玉菌のエサになるものを食べることを「プレバイオティクス」と呼びますが、プレバイオティクスだと善玉菌が育ちやすいです。
 現代の食事は肉が多くて野菜が少ないですよね。野菜が少ないと食物繊維も少なくなって体に害のある悪玉菌が増えるので、玄米食が腸内細菌にはいいのですがね。

勝又:とても嬉しいお言葉です。

 

2015年食事ガイドに時間栄養学が採用

香川:2015年版の日本人の食事摂取基準が出ているのですが、今年からは食べ過ぎかどうかを栄養士がカロリー計算するのを止めて、体重で計ることになったのです。
 活発な人も、あまり動かない人もいますから、「BMIを計りなさい」ということです。食べ過ぎたときは食べる量を抑えてBMIを合わせるというのが今年からの食事摂取基準なのです。
 それから、今までの食事摂取基準になかった「時間栄養学」を取り入れてもらえたのです。それまでの栄養学では同じ献立、同じカロリー、同じ成分なら、同じ人間が食べれば効果は同じということだったのです。

勝又:普遍的・絶対的万人向けの考え方ですね。

香川:朝食べた時と夜食で食べた時では全然違うのです。朝はそれらが消費されて熱になりますが、夜食は食べて寝るだけですから脂肪になります。食べる時間や食べるスピード、食べる順序など色々ありますが、これらは時間栄養学なのです。それがなければ健康が保てないと、国立健康・栄養研究所にメールで基準策定の方々にご説明したところ、厚生労働省の食事摂取基準に、今年初めて入れてくれたのです。
 これからは厚生労働省としても食習慣を考えなければならないということになったのです。

勝又:自律神経の働きも朝と夜では違うので、それに合わせて食べ方も考える必要がありますね。我々の場合は感性で自分を判断するのですが「健康の七大条件」というものがあります。食べ物を食べたときに美味しく食べられているか、夜はぐっすり眠れているか、疲れがないか、これらは生理的です。心理的には、物忘れをしない、楽しさがあるかなどで、常時自分の体調を判断ながら生活をしています。
 ある程度マクロビオティックを実践してきた人は、自分で自分の体調を感じながら何を食べるかを判断できるのですが、初心者はそうはいきません。ですから、ある程度検査をして体調を確認する必要があります。このあたりは統合医療とコラボレートする必要性を感じています。
 特に、現代人は自分で自分の体を判断することができませんから、お医者さんにもマクロビオティック的な考え方を知っていただいて、協調した医療がこれからの医療ではないかと思っています。

 

健康の秘訣

勝又:香川先生は非常に若々しいですね。健康の秘訣があれば教えていただけますか?

香川:これまではコレステロールや血糖値、体重で栄養指導していましたが、そういう値は薬でも下がるし変動が大きいですよね。大部分は脳卒中や心筋梗塞を防ぐためにやっていることです。今は血管検査を大切にしていて、最近の医学では血管の老化を調べるようになってきました。昨年の夏頃、私の血管年齢をテレビ局が計りに来ました。当時、私は82歳ですが、血管年齢は63歳だったのです。これはいくらなんでも機械の間違いだろうということになり、
1週間後にさらに性能のいい機械を持って来て計ったところ、今度は52歳だったのです。それはテレビで全国放送されました(笑)。
 健康の秘訣は、私の先生である聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生と同じです。日野原先生は日本で初めて人間ドックを始めた方で、病気になられた経験から病気にならないように常にチェックしています。血糖値は95を超えない、BMIは22に合わせる、血圧は130を超えないなどです。私もそうしています。
 普段から数値を下げていたら、糖尿病や高血圧になりたくてもなれないのです(笑)。あとは規則正しい生活をするだけです。日野原先生もご高齢ですが、あまり食べないですね。要するに、低い値に保っていれば病気にならないということです。
 当大学院生の西島がベジタリアンの血圧を測定器で計ったのですが、皆さん低いんですね(笑)。ベジタリアンの方々の記録がありますが、皆さんの数値はいいですね。血圧を120に保っていたら、血管は悪くはならないですね。
 私は遺伝子を調べていますが、日本人の7割は高血圧を起こしやすい遺伝子を持っているのです。私もそうです。だから常にチェックをしているのです。

勝又:「腹八分目」と言いますが、具体的には「もう1つ食べたいな」と思うくらいで止めることですね。日野原先生はそれができていらっしゃいますね。それは病気をされた経験からマスターされた判断力ですね。

 

最後に

勝又:香川先生とこのような話ができて本当に嬉しく思っています。

香川:今日お話した「主観的健康感」はマクロビオティックと非常に通じるところが大きいと思うので、秋のシンポジウムでもお話したいと考えています。

勝又:今回のシンポジウムは、日本の栄養学・医学のターニングポイントになるかも知れないと期待しているのでよろしくお願いします。

 

香川靖雄

香川 靖雄/かがわ やすお

昭和7年生まれ。東京大学医学部医学科卒・東京大学大学院修了(医学博士)・元米国コーネル大学客員教授・自治医科大学名誉教授。日本医師会医学賞受賞・紫綬褒章受賞・瑞宝中授章叙勲。専門分野は、人体の生体エネルギー学・生化学分子生物学・栄養生化学。主に生体エネルギー学を中心に、ATP合成酵素とその周辺の反応を研究。平成11年から女子栄養大学の副学長に就任。 現在は栄養科学研究所長および女子栄養大学坂戸診療所長も兼任。著書に『時間栄養学』、『ゲノムビタミン学:遺伝子対応栄養教育の基礎』(共著)、『香川靖雄教授のやさしい栄養学』など。2012年に日本テレビ「世界一受けたい授業」に講師として出演。

 

【次ージ】【1】【2】【次ージ】


※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。

購読の申し込みは<コチラ>からどうぞ