日本CI協会はマクロビオティックの創始者桜沢如一によって創設された日本で最も歴史のあるマクロビオティックの普及団体です。

home クッキングスクール イベントのご案内 書籍紹介 ショップ・レストラン情報 リンク アクセス お問い合せ

活動と入会案内

■協会からのごあいさつ
■概要
■理念
■沿革
■『入会のご案内』
■マクロビオティックとは
・辞書で引くと・・・
・桜沢如一・桜沢里真
・コラム
■研修制度

スタートセミナー日程



健康・病院案内

■健康相談
■定期健康講座
■病院案内

月刊マクロビオティック
食養生や料理レシピなど最新情報が満載です。

■最新号目次
■ご入会の案内
■図書館



マクロビオティック商品の商社オーサワ

リマネットショップ

 

 
Home月刊マクロビオティック > 抜粋記事〜今月のおすすめ記事

『月刊マクロビオティック』11月号おすすめ記事

草の根運動

冨田:味噌を作る意味や効能、味噌の陰陽の違いを理解していなかったとしても、誰かが味噌作りの会を企画して呼びかけたら20人位集まり、形ができたりします。その20人が周りの友だちに少しずつ味噌を食べてもらうと、さらに輪が広がるということがあります。
 「理屈はよくわからないけど手作りの味噌は美味しい」という認識が広がるだけでも充分意味があると思います。少なくともそのように実際に手作りの味噌を食べた人たちの腸内環境はその分だけは整うわけですし。
 腸内フローラは善玉菌、悪玉菌、どちらにも属さない中間の日和見(ひよりみ)菌に大別されるのですが、善玉菌が3、悪玉菌が1、日和見菌が6くらいの割合でも健全にやっていけるという話があります。この構造を社会に例えた話があって、「無関心層」と呼ばれる人たちを日和見菌に例えたりしています。そういう人たちを「無関心なやつら」と批判するのではなく、そのような人たちでも受け取れるような形の温かい関わり方というものが善玉的な働きを自覚している人たちにとても必要だと思っています。
 以前は多数派を増やさなければならないということもあったと思いますが、優しく温かくもてなす、分かっていないということに共感していく、やりたいと思っているけどできないというような気持ちに共感していくことが必要だと思います。

勝又:塩作りの当初はワークキャンプをしていました。鍋を持って海岸に行き、流れ着いた木を焼く べて海水を煮詰め、テントを張って寝泊りするのですが、そうこうしていると若者が集まってくるのです。いわゆる「類は友を呼ぶ」というのでしょうか、そういうものが口コミで広がってくれるのです。皆で炊いた玄米を食べながらキュウリに塩をつけて「やっぱりうまい!」なんて言いながら。そういう活動がとても大切ではないかなと思います。皆が想像力をかきたてられますし、マクロビオティックな感覚も理解してもらえます。
 天然の塩が良いということは分かっていても、栄養学や分析学のトップの先生方は立場上公表できません。しかし「草の根運動を続けて世の中が変わってくれれば自分たちも発言できるようになっていく。そのときのためにも勉強していきたい。君たちの活動と自分たちが勉強していることは変わりないのだよ」と言ってくださったのです。その言葉を聞いたときはとても嬉しかったですね。当協会の役割というは草の根的です。そういった先生方がやりやすい環境を作ることも仕事のひとつかなとも思っています。
 最近では、がんセンターで長く働いていた人や栄養学を研究していたトップの方が既成の知性的な健康観や栄養学ではもうダメだと理解しています。自主的健康観といったらいいのでしょうか。客観的なデータによる健康管理よりも、本人が自主的に感性で日々受け止めている健康観の方が正しいと言い始めています。
 がんセンターに長く勤め、自分も肺がんになった人が、足に1・5sの重りをつけて歩いて「これで僕は健康なのだ」と言っています。別の方は「毎日車を使わないで都内を自転車で走っている」といいます。そういう時代になってきて、最前線の人は「やはり養生だよ」と言います。
 要するに、病気になってからではダメだということです。病気を未然に防ぐ養生が成績だよと。だから学校教育の中にも、幼稚園から養生みたいなものを取り入れていった方がよいのではないでしょうか。
 昔は生活そのものが養生になっていたから、病気になったら対症療法をやって元気になっていましたが、今のライフスタイルは免疫力や抵抗力の低下といった腸内細菌の状態とかを悪くするばかりです。治療の前に養生というものを一人ひとりが考えなければいけないと思います。

 

社会に貢献することの喜び

編集部:冨田さんは、色々なワークショップを主催されていますよね。具体的に、どのような気持ちで企画しているのでしょうか? 参加される方に体験を通して何かを感じてもらうということでしょうか。

冨田:腸内細菌やミドリムシなど、人間の身体の中に住んでいる様々な生命体は皆、純粋にその身体を生かそうという本能に従って生きているのかな、と思っています。人間も同様に、根本的には人間社会そのものに貢献することに喜びを感じるようにできているのではないかなと思ったりします。例えば、味噌が腸内環境を整えるために働くことや、自分たちで味噌を作るような共同作業がお互いの生活を改善する助けになることを実際に体験することで、社会そのものを良くしていくことに貢献することの喜びを思い出していくようなことが、実際に起きていると感じています。

編集部:なるほど。実際に参加された方々を見ていてどのようなことを感じますか?

冨田: ワークショップという共同作業の場を作って一日一緒に手を動かすと、集まった時と帰る時の表情とか参加者同士の人間関係などが変わっているように感じます。その感覚は話しているだけの講座では得られないもので「助け合いながら一緒に良いものを作ることに皆で意識を向けて過ごすとこんな雰囲気を共有できるんだ」と感じています。

 

お互いの完成を大切に

冨田:手仕事などのワークショップを主催している意味ですが、参加者に何かを伝えたいとかメッセージを残したいとは思っていません。誰かにメッセージを発信することへの危険性を過剰に意識しているところも若干あります。音楽業界という、自分たちのメッセージを伝えるための巨大な力を持つ業界にいた影響があるのかも知れません。
 音楽を作るだけでなく「このCDは買うに値するもの」と伝える強い
ッセージを持つコマーシャルがないと、何万、何十万枚という数のCDは売れません。人々の意識を「流行っているから買う」とか「皆がこう言っているからこうする」という方向に誘導することに違和感を感じながら仕事をしてきました。

編集部:PR戦略というのは、社会を意識的にコントロールすることですものね。

冨田:そう思います。業界というよりも、僕自身がその精神性を持っていたからこそ違和感を覚えたのでしょうね。写鏡のように。会社に在籍していた時に感じていた違和感は、自分の中にある「人をコントロールしたいと思う自分」の存在をあぶり出していきました。自分自身の中で今、自分を治療しているという感覚も持っています。共同作業の場を作る時、僕はコントローラーになることもできるし、多分なっている瞬間もあると思います。だからこそ気をつけたい。場を主催するということはそれだけで自分を特別な立場に置きやすいものです。
 極陽性や極陰性のものを摂り過ぎると、それが極陰の方向であれ極陽の方向であれ、中毒や依存を引き起こしますよね。それと同じように、例えば僕が「メッセージを伝える」という立場に偏ってしまうと「話をする人と話を聞く人」とか「教える人と教えられる人」という関係が固定した共依存状態を作ってしまいかねません。だからこそ、メッセージを伝えるということについても、そこに偏ってしまいそうな自分に対してまだ怯えがあるのかも知れないです。それぞれが対等で、お互いが自由で、それぞれの感性が大切にされるような場を作る試行錯誤をこれからも続けていくでしょう。
 今の社会に陰陽理論を伝えていくことはとても大切なことだと思っているので、これからもバランスを取りながら伝えていければと思います。

勝又:今日は冨田さんから何か凄いものをプレゼントされたという思いです。素晴らしい時間を共有できて感動しています。ありがとうございました。

 

冨田貴史/とみた たかふみ

京都在住。ソニーミュージック、専門学校講師を経て、全国各地で年間300本以上のイベント、ワークショップを続けている。ワークショップのテーマは暦、エネルギー、手仕事(茜染め、麻褌、鉄火味噌など)、自家発電など。大阪・中津にて養生のための衣食を自給する冨貴工房を営む。
また、疎開保養「海旅キャンプ」主催団体「21stcentury ship 海旅団」代表代行。『原発事故
子ども・被災者支援法』を活かす市民ネット代表。著書『わたしにつながるいのちのために』
『今、わたしにできること〜目に見えないもの をみつめて生きていく〜』他。
http://takafumitomita.blogspot.jp/

 

【次ージ】【1】【2】【次ージ】


※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。

購読の申し込みは<コチラ>からどうぞ