Home > 月刊マクロビオティック > 抜粋記事〜今月のおすすめ記事
『月刊マクロビオティック』3月号おすすめ記事

ジャズはマクロビオティックに一番近い音楽
JAZZシンガー MAYA × 日本CI協会会長 勝又靖彦
今回はジャズシンガー、MAYAさんと勝又の対談をご紹介します。
MAYAさんはリマ・クッキングスクール師範科受講中で、マクロビオティックをジャズ界に積極的に広めています。昨年は、ご自身のライブでMAYAさんプロデュースのマクロビオティックメニューを提供したコラボレーションライブを実現。プロフィールにもマクロビオティックを実践していると書かれています。
これまでジャズ界において、ゴールドディスクやボーカル賞などを受賞、昨年12月にリリースした15作目のニューアルバム「jazz a gogo」はAmazon ジャズ販売部門で1位に、ジャズ専門誌の2015年アルバムオブザイヤーも受賞されるなど、全国的に注目を集めているジャズボーカリストです。この度はMAYAさんのマクロビオティックライフをお話していただきました。
ジャズとマクロビオティック
勝又会長( 以下、勝又):本日はMAYAさんとお話できることをとても楽しみにしていました。
昨年、ジャズピアニストの立石一海さんと対談し(2015年9月号掲載)、ジャズと童謡のコラボレーションのお話を伺いました。MAYAさんは最近のアルバムでシャンソンを取り入れられましたね。どのような経緯があったのかお聞かせください。
MAYAさん(以下、MAYA):まず、私がなぜジャズを歌うことになったのかをお話します。特にジャズの勉強をしていたわけではないのですが、子どもの頃から歌うことはとても好きでした。10代の頃、ジャズの生演奏をするお店でアルバイトをしながらオーディションにも参加したりしていました。そのお店で時々歌っていた水森亜土さんに出会い、お話をしていくうちに「MAYAちゃんは雰囲気的にジャズやラテンの歌を歌った方が良いよ」と言われ、日本を代表するジャズドラマーであり、音楽プロデューサーでもある松尾明さんを紹介していただいたのです。
ジャズの勉強をしていなかったことが良かったのか、私のオリジナリティーを松尾さんに認めていただき、ライブで歌える曲を1年以上かけて増やしていってステージに立つことができました。
勝又:あまり型にはまった勉強をしない方が良いとか、自分の感性を信じるというところはマクロビオティックにも同じことが言えますね。今回の新しいアルバムを聴かせていただきましたが、シャンソンもあるけれど、不思議な旋律を聞いている感じで心地良かったです。
MAYA:ありがとうございます。私はジャズシンガーですが、様々なことを取り入れています。9ヵ国語で歌ったりすることもそうです。その国の音楽をその国の言葉で歌うことはとても大切だと思っています。ジャズはアメリカで生まれた音楽なので英語を基本としていますが、色々な国の言葉で歌うことができる素晴らしい音楽です。
シャンソンやフレンチポップスを取り入れた今回のアルバムは、ジャズにフレンチテイストが溶け込み、とても良い表現ができたものになったと思っています。
勝又:ジャズとシャンソンは音楽の中で別の世界ですよね。それを一緒にするのは大変だったのではないですか?
MAYA:私はもともと色々な国の言葉で歌っていて、言葉の響きを大切にしています。例えば「愛」という言葉。同じ愛でも「ラブ(英語)」や「アモーレ(伊語)」、「アムール(仏語)」など言葉の響きが違います。響きにより聞き手は感じ方も変わります。例えばフランス語の歌詞の付いた曲の中で日本語をほんのワンフレーズだけ使うと、返って日本語が引き立ったりするのです。あえて違う国の言葉をスパイスとして使うことで、「愛」というメッセージを強く印象づけることができると感じているのです。
このことはマクロビオティック料理にも共通しているのかなと思います。例えば、にんじんの蒸し煮では少し塩を使うことで甘味が引き出されますよね。そういうことに似ているのかなと思ったりして、マクロビオティック料理と私の歌の表現の共通点が多いと思うようになりました。
勝又:異質なものを統合させる。まさしく「陰陽調和」の喜びですね。
最新アルバム「jazz a gogo」
音楽と陰陽調和
勝又:MAYAさんがマクロビオティックを始めたきっかけをお聞かせください。
MAYA:2年ほど前、母の体調不良から食生活を変えようと取り組んだことがきっかけでした。最初はクシスクールで上級まで学びましたが、やはり本家のリマ・クッキングスクールで学びたいと思い、昨年、上級コースを修了し、今年から師範科で学んでいます。お陰様で母の体調もみるみる改善し、担当医師も驚いています。
私自身もマクロビオティックを実践して大きな変化を感じることができました。声質はもちろんのこと、性格まで変わりました。声は艶や伸びる感じがとても良くなり、精神的に安定したのか性格も前よりずっと穏やかになりました。
メンバーやお客さんからも「すごく変わったね。前よりずっと良くなった」と言われるほどです。マクロビオティックは一生かけてやるに値するものだと思いました。
勝又:私もマクロビオティックで変化を経験しているのでよく分かります。MAYA:ジャズの世界は不健康なイメージがあると思います。生活は不規則で夜も遅いし、お酒もよく飲むのではないかというイメージです。その中で、私がマクロビオティックを実践していることを積極的に紹介していることで、ジャズの世界も健康で良い音楽を作ろうという動きになってきていると感じます。
ハードなスケジュールや全国ツアーもしていますから、体調にはとても気を配っています。体調が悪いからといってライブを休むことはできませんからね。
勝又:昔からミュージシャンの方々がマクロビオティックを実践しているとよく聞きます。有名なのはジョン・レノンですが、ジョン・デンバー(注)が来日した時、桜沢里真先生に会った彼がとても緊張していたことを思い出します。
MAYA:マクロビオティックを実践して本当に良かったと思っています。以前はストレスが溜まって声が詰まったり出ないことがあり、それらが積み重なってステージでも精神的不安感が出てどうしようもない状態になって「もう歌うのはやめようか」と思ったこともありました。
しかし、マクロビオティックに出会ったことですべて解消できました。さらには、創る音楽の質まで変わって
きて、より研ぎ澄まされたというか深いというか、全体のレベルが上がったと思います。
勝又:すごい体験をしましたね。食で体が変わったことを実感されたことがよく伝わってきます。マクロビオティックの陰陽の本質をまさに体験されたのだと思います。
(注)ジョン・デンバー(John Denver1943〜1997年、アメリカのシンガーソングライター。ヒット曲に「カントリーロード」など多数)

【1】【2】【次ージ】
※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。
|