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『月刊マクロビオティック』2月号おすすめ記事

【3月20日開催】第10回マクロビオティック医学シンポジウム
ゲスト講師 内藤裕二先生の講演レポート

腸内フローラが変われば カラダもココロも変わる


 平成28年12月5日、京都。この日から2日間行われた日本抗加齢協会学術フォーラム「産学共創で目指すアンチエイジングライフ」で、第10回「マクロビオティック医学シンポジウム」でご講演いただく京都府立医科大学消化器内科准教授内藤裕二先生の講演を拝聴しました。
 このフォーラムにはいくつものシンポジウムがあり、食品や医薬品などのメーカーと医師などの研究者が共同で研究した結果が発表されました。その中の一つのシンポジウム「腸内フローラが変わればカラダもココロも変わる」を、内藤先生と生命科学振興会理事長渡邊昌先生のお二人が座長を務められました。
 当協会会員の皆様に内藤先生のご紹介を兼ねて、内藤先生の基調講演をレポートいたします。

編集部

 

内藤先生の紹介(渡邊先生より)

 「腸内細菌はここ数年、世界中でホットトピックになってきています。今後は菌との共生は避けて通れないと思っています。私は、内科医は病人を診るだけでなく、腸内細菌や口腔内の菌、皮膚の菌など、すべて込みで診ないといけないのではないか、と思っています。その最先端を行くのが内藤先生です。私は内藤先生の著書『消化管(おなか)は泣いています』という本を読んですごく感激しました。いい加減なHOW TO本はたくさんありますが、本当に価値のある本でした。」

 

【講演抜粋】

消化器内科を取り巻く環境の変化

 私たちは毎日がん患者さんの治療をしていますが、がん以外にも消化器内科を取り巻く環境は急速に変化しています。慢性便秘で困っている方、おなかの調子が悪く月曜日の朝、出勤途中でトイレに駆け込む若い男性、そしてキレやすい子どもが増えていることもご存じと思います。
 また、うつ病や神経疾患・精神疾患で休職せざるを得ない方がいらっしゃいますし、脂肪肝炎や糖尿病の患者さんが増えています。しかし、これらの多くの患者さんは、私たちの消化器内科を受診することもなく雑誌やテレビを見て自己判断の下、いろんなことをされているのが現状です。
 私が医師になった1983年頃からクローン病は一直線に増えていますが、多発性硬化症もすでに2万人に達しています。クローン病と多発性硬化症の疾患の発生率の経年的変化を見たでも、中枢と腸管との間に密接な関係があると考えるのは当然のことであり、多くの疾患にも共通してくるのではないか、ということが分かってきました。
 つまり、動脈硬化や循環器疾患、肝臓疾患、代謝疾患においても消化管(おなか)が果たす役割は極めて重要で、もう一度消化管(おなか)から色々な疾患の原因や新しい治療法を探ろう、という動きが出てきています。

 

大便の研究

 私は日本人のベストな大便を探すため、京都府京丹後市の100歳以上の方が130人ほどいる最も長寿の地域の便と、最も短命な青森県弘前市の岩木の便を比較して、日本人のベストな便を探すプロジェクトを立ち上げています。 健康で長生きの方の解析では、長寿遺伝子は見つかりませんでした。つまり、健康や長寿を決定しているのは遺伝子ではなく環境要因であり、消化管(おなか)が非常に注目されています。
 化学物質や感染症、薬剤、食品などによって腸内フローラは変わります。また、最近お子さんに増えている落ち着きがない、キレやすいなどの心理・精神状態にも、腸内フローラ(腸内細菌叢)が関与しているのではないか、ということが分かってきました。

 

子どもの腸内フローラは母体環境が影響する

 腸内フローラは様々な物質を作り出しています。ヒトの神経や免疫の成長には必須の因子です。腸内フローラをうまく利用しながら健康の増進や病気の予防に役立つ研究が進んでいます。
 腸内環境は遺伝子によるものもありますが、お母さんの母体環境が非常に重要であり、帝王切開・自然分娩の影
響が強いことも分かってきました。ヒトは無菌で産まれますが、ヒトの腸内フローラがどのように決まり、変化し改善していくのか、ということは大きなテーマとなっています。最も大事なのは、帝王切開ではお母さんのビフィズス菌は移らない、ということです。すでにアメリカでは、帝王切開が決まったお母さんの膣内に無菌ガーゼを投与しておいて、出産した赤ちゃんの顔にガーゼを被せたり口に入れて、お母さんの菌を移そう、というプロジェクトが始まっています。
 腸内の善玉菌を増やす意味で最も大切なのは食物繊維であり、現代人が摂取不足である食物繊維をいかに摂るかが重要な課題です。さらに、日本人は独特の腸内フローラを持っています。それは、おそらく発酵食品や乳酸菌製品を摂取してきたからではないか、ということも最近分かってきました。現在の環境においては高脂肪食、ストレス、化学物質やPM2・5などの環境因子、抗生物質などが腸内フローラに影響を及ぼしていることは事実です。

 

便秘は神経疾患のもと?

 便秘の話です。現在、男性も含めて慢性便秘が増えています。最近、何万人もの慢性便秘の患者さんを追いかけて、何で亡くなったかを調べた結果が発表され、便秘はパーキンソン病と多発性硬化症の危険因子があることが分かりました。神経疾患が爆発的に増えている現在、便秘というものを初期症状として注意する必要があると考えています。
 ヒポクラテスは「すべての病気は腸から始まる」という言葉を遺しています。私にとっては良い言葉です。これから腸内フローラの役割を研究することによって、多くの疾患に新しいアプローチができるのではないか、と考えています。
 現在、農水省とタイアップして「フローラパネル」を提唱しています。色々なデータを集めてフローラを解析し、臨床をしながら、何を食べたらどうなるか、和食を食べたらどうなるか、地中海食を食べたらどうなるか、という研究を進めてまいります。

(以上、講演より抜粋)

 内藤先生は多くの疾患と腸内フローラの関係を研究し、出産や食との関係、そして便の研究までされている感性豊
かな医師です。第10回「マクロビオティック医学シンポジウム」では、さらに詳しく腸内フローラについてお話くださる予定です。皆様のご参加をお待ちしております。
 次号は内藤先生と当協会勝又会長との対談をお伝えします。

内藤裕二

内藤 裕二/ないとう ゆうじ

平成27年より京都府立大学附属病院内視鏡・超音波診療部部長。専門は炎症性腸疾患、腸内フローラ、消化器病学。著書に「消化管(おなか)は泣いています」など多数。

 


※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。