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Home月刊マクロビオティック > 抜粋記事〜今月のおすすめ記事

『月刊マクロビオティック』3月号おすすめ記事

『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』の著者
奥田昌子医師インタビュー

正しい知識を身につけ、日本人の体質を知る

 

 

糖質制限の誤解

編集部:奥田先生は著書の中で糖尿病についても書かれています。糖尿病予防やダイエットのために炭水化物(糖質)を控えるのは欧米人では有効でも、日本人には効果が期待できないということですが、これについてお聞かせください。

奥田:最初に整理しておくと、糖質、つまり、炭水化物を食べると分解されてブドウ糖になります。このブドウ糖を細胞に取り込んでエネルギーに変えるには、インスリンの作用が欠かせません。そして、インスリンがブドウ糖を速やかに処理するお陰で、食後に上昇した血糖値も数時間後には食事する前の水準まで下がります。
 糖尿病はインスリンの働きが悪くなる病気で、ブドウ糖を細胞に取り入れることができないため、必要なエネルギーを作れなくなります。このとき細胞に入れなかったブドウ糖が血液中に溢れるので血糖値が上がります。だから糖質制限をして、炭水化物を食べないようにすれば血糖値が下がるのは当然です。
 それで数値は正常になるでしょうが、ブドウ糖をエネルギーに変えられないという事実は残ったままです。これではよくなったとは言えません。糖質制限をしなくてもインスリンが正常に働く状態になってはじめて、糖尿病が本当に治ったと言えるのです。

編集部:糖質制限食というのは最近よく目にしますね。分かりやすくいうと血糖値を上げないために炭水化物であるごはんを食べないということですね。

奥田:糖尿病がかなり進んでいる方は治療のために糖質制限をすることがあります。摂取カロリーも含めて医師の指導のもと、治療をしなくてはいけません。しかし、一般の健康な人が糖質制限をしてもメリットはありません。むしろ、ごはんを今よりはもう少し多くいただくくらいのほうが、膵臓に負担がかかりにくいと考えられます。

編集部:マクロビオティックではごはんをしっかりいだだくことを勧めているので嬉しいですね。

奥田:この研究はアメリカのほうが進んでいます。アメリカは多民族国家なので多くの人種がいて、人種によって体質は違うという考え方が一般的になっています。その研究の中で、東アジア圏の人は炭水化物をもっと多く摂らないとインスリンが上手く働かないという結果が得られています。
 炭水化物を減らすとよくなるというデータはありません。日本の厚生労働省も日本糖尿病学会もそのことをよく理解していて、カロリー全体の内、炭水化物は50〜60%摂りなさい、むしろその方が予防に繋がると推奨しています。

編集部:炭水化物ダイエットには痩せることを目的に謳っているものもありますね。

奥田:ごはんの量を減らせば体重は減ります。しかしそれは一時的なものです。もちろん食べ過ぎはよくありませんが、長く健康でいたいならやはりしっかりごはんを食べていただきたいです。

編集部:血糖値上昇ということでは低GI値食品を食べるのがいいという考えがあります(GI= G l y c e m i cIndex の略。その食品が体内で糖に変わり、血糖値が上昇するスピードを計ったもの)。低GI値食品は効果があるのでしょうか?

奥田:糖尿病になりかけている人には必要でしょう。特に日本人はインスリンの量が少ないので、ごはんを一気に多く食べることはお勧めしません。血糖値を急激に上げると膵臓に負担がかかりますから、低GI値食品を摂るとか、野菜を先にいただくとか、そういった工夫は必要です。でも、健康な人であれば、あまり気にすることはないかと思います。

 

「減塩」の考えを改める

編集部:塩の摂取についてはいかがでしょうか?

奥田:確かに昔は塩の摂り過ぎによる高血圧や脳出血が日本人に多いと報告されてきました。それは流通システムが発達していなかったことによって塩で加工した漬物や干し魚などの食品を多く食べたことにあります。
 また、日本は湿気が多い気候風土なので汗をよくかき、それを補う必要もありました。今は昔に比べると塩の摂取量は減っています。流通システムが発達した上に、食品を冷蔵庫で保存できるようになりました。高血圧も減ってきています。今後も塩を取り過ぎないように気をつける必要はありますが、これ以上塩を減らしても、その分だけ血圧がさらに下がることは期待できないと思います。
 それよりもカリウムを多く摂ることを考えてください。最近のデータからもカリウムの大切さが明らかになっています。カリウムはナトリウムを排出する役割を持っていて野菜や海藻に多く含まれているミネラルで、カリウムとナトリウムのバランスが大事です。できれば今の2倍くらいのカリウムを摂ると血圧もより安定すると思います。

編集部:私が著書を読ませていただいて一番驚いたのは、欧米人も日本人も腸の長さが同じということでした。欧米人は肉食の人が多いから腸は短く、日本人はそれに比べどちらかというと草食系だから腸が長いということを信じていました。

奥田:その考えは最もだと思いますよ。実際に草食動物の消化管が長いのは事実ですからね。
 ライオンやトラと比べて牛や羊の方が体の比率から見て長い消化管を持っています。これは植物に含まれる食物繊維を分解する必要があるからだと言われています。しかし、人間には当てはまりません。実際に公表されたのは2013年で、欧米人も日本人も腸の長さはほぼ同じと発表されました。しかし、腸の長さが同じだとしても、腸内フローラの種類と数、そして消化液の質や量は人種によって違います。

編集部:よくわかりました。考えを改めないといけませんね。こうした新たな知識を得ることはとても喜ばしいことです。

 

身土不二のすばらしさ

編集部:先生は本の中で子どもや10代の若い人の食生活が将来に影響を及ぼすことについても書かれていましたね。

奥田:女性の乳がんについて書いたところですね。乳がんを発症するのに10年以上かかるので、少女期の食生活が乳がんの発生に影響があるというものです。子どもの頃の食生活が大事ということですが、乳幼児の頃も大切です。
 アメリカの研究で、生後7ヵ月まで母乳で育てた場合と粉ミルクを与えた場合を比べると、粉ミルクを与えた方が、7歳の時点で肥満になる子が多いという結果が出ました。こういう子は将来大人になっても肥満になりやすいと考えられます。
 でも、子どもの肥満は授乳方法だけで決まるわけではありません。粉ミルクで育てたとしても、子どもに正しい食生活を身につけさせれば、ずっと太らずに済む可能性が十分あります。

編集部:奥田先生はマクロビオティックについてどのようにお考えになっているのでしょうか?

奥田:マクロビオティックについてはまだまだ勉強が足りませんが、身土不二という考えはとても素晴らしいと思います。結局はこれに尽きると言ってもいいのではないでしょうか。十分な栄養を摂ることを考えた場合、新鮮で旬のものが一番です。先ほどカリウムの話をしましたが、旬のものとそうではない場合では含まれる量が違い、断然、旬のものが多いです。
 それと玄米ですね。玄米は白米と比べて栄養素がとても多いので、私も患者さんに「まずは週に一度食べてみませんか」と勧めています。

編集部:それはありがとうございます。最後にお聞きしたいのは健康診断のことです。健康診断はもちろん受けた方がよいかと思いますが、行きたくないという方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

奥田:できれば年一回は受けていただきたいですね。健康診断の良いところは、数値で確認できるということです。マクロビオティックを実践して日頃から健康に自信を持っている方でも、数値を見ることで大きな安心に繋がると思います。ぜひ、年に一回はご自身の今の状況を確認する意味でも受診してください。

編集部:奥田先生、本日はどうもありがとうございました。著書を読み返し、さらに勉強したいと思います。

※1:「野菜のビタミンとミネラル」編著:辻村卓、女子栄養大学出版部(2003)、「食品中のカリウムの研究U 野菜・芋類の季節変動及び加熱による変化」吉田穣、「和歌山信愛女子短期大学・信愛紀要」第22号(1982)より

※2:1975年以降は国民健康・栄養調査(厚生労働省)による。1974年以前は味噌、醤油、漬物、塩干魚、小麦製品の消費量動向から求めた当図録推計値。(資料)「国民健康・栄養調査」「食品需給表」、「改訂日本農業基礎統計」

※3:1985年国税調査人口の年齢校正による。(資料)「食品需給表」、「改訂日本農業基礎統計」、「国民健康・栄養調査」

 

 

おくだ まさこ

京都大学大学院医学研究科修了。
内科医。医学博士、日本人間ドック学会認定医。
基礎医学研究、京大病院勤務の後、生命と健康について考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診業務に携わる。これまでに20万人以上の診察ならびに診療にあたっている。著書に『実はこんなに間違っていた!日本人の健康法』(大和書房)、『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社)、『健康診断 その「B判定」は見逃すと怖い』(青春出版社)など。他に解剖学、医療事故などに関する翻訳書がある。2017年、日本テレビ「世界一受けたい授業」に出演。

 

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