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『月刊マクロビオティック』2020年10月号おすすめ記事

今だからこそ読みたい!

講師おすすめの本講師インタビュー

 

※ご紹介した本は全国の書店でお求めください。

 

安部智恵子

クッキングスクール リマ 大分校主宰

 

私のおすすめ本


養生訓 全現代語訳
貝原益軒著・伊藤友信訳/講談社


この本は、江戸時代の儒学者・貝原益軒が書いた健康指南書です。現代語訳が付いていて、読みやすくまとめられています。

「養生の心得」、つまり、ライフスタイルの提案がわかりやすく解説されている実用書で、中でも「食と栄養」には多くのページが割かれ、益軒が食養生を重んじていたことがよく分かります。私はこの本を読んで、日本人にふさわしい「食」と「健康」の在り方を再認識しました。

また、儒学者ならではの視点から心の持ち方も論理的に説かれています。

「養生の術」について益軒の体験を通して丁寧に描かれており、養生の知恵が満載で、一般的な健康法のノウハウではなく、後世の人々が真の楽しみ、真の幸福を得ることを強く願って書かれています。益軒が実際に試し、効果のあった方法を基にまとめられているので、益軒が病気をすることなく80代まで生きたことを考えると、大いに説得力があります。私は現代にも通じる普遍的な健康法だと思っています。

世界中で「和食」が注目されるようになって久しいですが、「養生訓」を通し、日本ではむしろ失われつつある和食文化を改めて見直してみるきっかけになると思います。

何度読み返してもすべてにおいて気づかされることが多いのですが、今回は全八巻で印象に残った項目や内容を一部抜粋してお伝えします。

巻第一:総論上
内なる欲望と外なる邪気/七情を慎む/心気を養う養生術/外邪を防ぐ法/養生を害するもの/内敵には勇外敵には畏れ/常と変と養生と/養生と口数/偏しないことが養生法/養生術の習得

巻第二:総論下
食後の養生法/過信の戒め/はじめの自制/心を平静にして自制を養う/胃の気と生命/気を減らさない/唾液は大切に/欲望の日々は自殺への道/畏れと慎みと/気の四大要/養生の四寡/長息法/天地陰陽について/とどこおりと病気

巻第三:飲食上
飲食は飢渇にならないためにするのであるから、飢渇の感じがなくなればその上欲張ってほしいままに飲食してはいけない。飲食の欲を制することができない人は義理を忘れる。口腹の人と言われて卑しまれる。ものを食べる時に考えなくてはならないことが五つある。それを五思という。

巻第四:飲食下
同食の禁/豆腐の食べ方/食物の陰と陽/飢渇の時の食事

大根は野菜の中で最も上等なものである。常に食べるがよい。葉っぱの堅いところを捨てて柔らかな葉と根を味噌でよく煮て食べる。そうすると、脾臓をたすけて痰を取り去り、気の循環をよくする。大根の生の辛いものを食べると気がへる。が、食物の滞りのある時は少し食べても害はない。

巻第五:五官
導引の方法/膝から下の健康法/髪をすき歯をたたく/腎の部分をなでる/寝る前にすること/歯の養生/熱湯と歯/入浴の心得/按摩と指圧/導引・按摩をしてはいけないとき

巻第六:慎病(病を慎しむ)
◎その病んだ後、能く薬を服せんより、病む前に能く自ら防ぐにしかず。
◎終わりに慎むことは始めにおいてせよ。
◎瓜、果実、冷たい麺類を多くとらないようにするのは、すべて内湿を防ぐためである。

巻第七:用薬(薬を用いふ)
医者の選び方、薬の飲み方が書かれています。どれも大切な内容です。

巻第八:養老 育幼 鍼
◎小児を育てるには三分の飢えと寒とを存するがよい
◎ 小児は脾胃がもろくてせまい。ゆえに食べ物に傷つきやすい。小児は温めすぎると筋骨が弱くなる。
◎鍼に瀉有りて補なし
◎灸をする時を選ぶ

 

西洋医学が日本に伝来する以前の「医療」という認識さえまだなされていない江戸時代に、あらゆる人々が理解できるようにと分かりやすく記した益軒の強い思いを感じました。

現代に照らし合わせると疑問に感じる部分もあるかもしれませんが、時代背景や食習慣の変化、マクロビオティックの陰陽の考え方等で考え合わせると、なぜ、益軒がそのように記したのか、謎が解けてきます。

「当たり前のことを当たり前にできないと心と身体が病気になる。与えられた命と身体に感謝して慎み深く、そして自分の人生を楽しんで生活するべきである」という精神のもとに、生活する上での心得が具体的に説かれているので日常生活を送る上でも役立ちます。

多くの養生法が示されていますが、忘れてしまったりつい怠けたりで実践できていることはごくわずかですが、それでも夢ややりたいこともたくさんあって毎日をほどほどには楽しめているので、この本に書かれていることをあと一つでも実践すれば、もっと幸福感が増してくるのかなと、良いように考えています。

どのような状況であっても心を穏やかに保ち、日々を過ごせる命に感謝して生きていく益軒の姿勢に、心を改められる気持ちになります。

最後に、巻第一の総論上に書かれている最も私の印象に残った「内なる欲望と外なる邪気」という一節を紹介いたします。

養生法の第一は自分の身体をそこなうものを除去することである。身体をそこなうものとは内から生ずる欲望と外からやってくる邪気とである。前者は飲食の欲、好色の欲、眠りの欲、言語をほしいままにする欲や、喜、怒、憂、思、悲、恐、驚の七情の欲を言う。後者は、風、寒、暑、湿の天の四気を言うのである。そこで、内から生ずる欲望をこらえて少なくし、外部からくる邪気を恐れて防ぐことができれば、絶えず健康で元気はつらつとして、病気にかからず天寿を全うすることができよう。

大切な言葉がすぐにわかるようにしています。

 

あべ ちえこ
クッキングスクール リマ 大分校主宰。2007年自然食品店「鶴亀」オープン。1986年より2018年まで学習塾を経営。子育て中の方々に食の大切さを伝えることをテーマに活動中。

※大分校の詳細はこちらへ

 

 

加藤万晴

MEGURIYA
organic&macrobiotique 代表

 

私のおすすめ本


感染症を恐れない暮らし方
本間真二郎著/講談社


著者の本間真二郎氏は、栃木県で農的暮らしをしながら診療所を開業する自然派医師です。自然派医師には、二つの意味があります。

一つは「自然に即した暮らしをしている医師」という意味。田畑で野菜や米、大豆などを栽培し、味噌や醤油、みりん等の調味料も糀から手作りするなど、かなり本格的な自給自足的暮らしを実践されています。と聞くと、自然好きなのんびりしたドクターなのかなぁ、と思われるかもしれませんが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)でウイルス学・ワクチン学を研究したり、札幌医科大学
新生児集中治療室の室長をされたりとすごい経歴もお持ち。

以前、本間先生の講演会に参加したことがあります。その講演会では終了後に昼食会がありました。その席で私は「本間先生はなぜ最前線の医療の現場から離れたのですか?」と聞いてみました。

その時の先生の答えは「私は『世界一の医者になるのだ』という決意のもと渡米し、ワクチン研究に打ち込んでいました。そんな時にアメリカ同時多発テロが起こります(2001年9月11日)。あの事件は私の中に強烈な違和感を生じさせました。

本間先生の浜松での講演会(2018年5月)

『何かがおかしい』と…。それ以来、自分が身につけたもの、信じていたものを徹底的に再検証してみたのです。その結果、次のことに気づきました。

◎薬や治療では、本当の健康は得られない
◎人の健康と幸福には「自然に沿った暮らし」が最も重要
◎その鍵は微生物との共生

自然に沿った暮らしが大事、自然治癒力に基づいた治療が大事、という気づきが、今の私につながっています。」そんなお話だったと記憶しています。なので、自然派医師のもう一つの意味は「自然治癒力を大切にする医師」ということです。

日本が誇る屈指の自然療法医の本間先生。診療所で診察の傍ら、フェイスブックやブログ等で発信したり、日本各地で講演会を開催したりと、精力的に啓蒙活動もされています。

今回の新型コロナウイルス騒動についてもフェイスブック上で積極的に発信され、次々と更新。3ヵ月の間に20本以上の記事が書かれています。その内容は「新型コロナウイルスの医学的特徴」「感染症としての特徴」「重症化するメカニズム」「怪情報の真偽」など多岐に渡り、エビデンスや論文等を引き合いに出しつつ、素人にもわかるように噛み砕かれ、実に細やかです。

騒動が始まったばかりの2〜5月はフェイクニュースや陰謀論と怪情報も溢れ返り、玉石混交状態。何が正しいのか、判断がつかない状態でした。その最中に本間先生の発信する情報は説得力に満ち、一際キラリと光っていました。おかげさまで様々な疑問が晴れ、教室を安全かつ的確に運営していくための指針を与えてくれました。本当にありがたい発信でした。

本書は先生のフェイスブック上での発信をまとめつつ、自然に沿った暮らしについても細やかに書いてある超お得版! 本書の前書きと章立ての一部をご紹介します。

この本は新型コロナウイルスに関して網羅していますので、不安や疑問はほぼすべて晴れると思います。新型コロナウイルス感染症の医学的知見や見解は大変勉強になります。

また、自然に沿ったライフスタイルは本誌の読者には既知の内容かと思いますが、西洋医療を本気で修めた現役の医師の見解がここまできている、ということを知ると、希望と元気が湧きます。

今回のウイルス対策の第一歩は、感染症、そして免疫力や自然治癒力についてしっかり学ぶことだと考えます。これを機に命の働きや自然に沿った暮らしにシフトすれば、人も自然も健康度が増していきます。

「災い転じて福となす」

コロナ禍→コロナのおかげさまとなれば、この騒動も活きてくるのかなと思っています。コロナ禍を活かす、そのためのピカイチの情報源としておすすめします。

講演会修了後、先生を囲んでの昼食会

 

かとう ばんせい
「MEGURIYA organic&macrobiotique」代表。20代の頃、両親の病気・死別から食と命に関心を持ち始める。塾経営、自然食品店勤務などののち、2008年に愛知県田原市に移住。自然栽培農業、オーガニックカフェ経営、ベジスイーツ教室主宰等を経て現活動に至る。東三河や浜松各地にて健康講座「暮らしの教室」開催や波動測定器「メタトロン」
を使った個人カウンセリング等を行っている。妻はクッキングスクール リマ 東三河校主宰(加藤由希子)。
※東三河校の詳細はこちらへ


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