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『月刊マクロビオティック』2021年2月号おすすめ記事

持続可能な開発目標(SDGs )とマクロビオティック

食と健康から社会と地球の未来を考える

一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク 業務執行理事 長島 美紀

皆さんは「SDGs」という言葉を聞いたことがありますか? SDGsとは、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。では、よりよい世界を目指す国際目標とは一体どのようなものなのでしょうか? 今回の特集では、持続可能な世界の実現を目指して2016年に設立された 一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク業務執行理事として活動をされている長島美紀さんに、SDGsについての説明やマクロビオティックとの関係性について説明していただきました。また、この機会に、SDGs達成に向けたオーサワジャパングループの取り組みについてもご紹介させていただきます。

 

みなさんは、持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals、以下SDGs エス・ディー・ジーズ)という言葉を耳にしたり、聞いたりしたことはありますか?最近新聞やテレビ、ラジオ、インターネットニュースでもSDGs という言葉が使われていたり、街を歩くビジネスマンの胸元にSDGs を象ったピンバッチがついているのを目にする機会も増えています。私も友人や仕事先の方から「SDGsって…」と話しかけられることが多くなりました。

2020年2月に朝日新聞社が実施したSDGs認知度調査によると、「SDGs という言葉を聞いたことがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた人は32・9%、ほぼ3人に1人が「聞いたことがある」と答えています(※1)。年代別に見ても、20代の43・4%を筆頭に、30代から50代の間で認知度が高いこと、また学生や企業管理職などでの認知度の高さが指摘されています。

さらに、2020年度から小学校で、2021年度から中学校、2022年度から高校で全面実施される「新学習指導要領」では、「持続可能な社会の創り手の育成」が明記され、教育の現場でもSDGs の担い手を育成しようという試みが始まっています。

認知度や期待度が高い一方で、SDGs とはいったい何のことか、また自分の日常にどう位置づけられるのかが分からない、という声も聞かれます。前述の認知度調査では、「仕事でSDGsに取り組むにあたり、どのような課題があるか」との設問に対し、「展開方法が未確定」「活動の評価方法がわからない」などの問題点が挙げられています。

そこでまずSDGs とは何か、どういう経緯で生まれたのか、ということをご紹介した上で、マクロビオティックとSDGs のつながりを考えてみたいと思います。

 

SDGs(持続可能な開発目標)が必要だった訳


SDGs とは、2015年9月のアメリカ・ニューヨークの国連本部で開催された「国連・持続可能な開発サミット」に於いて、日本を含む193の国連加盟国・地域が合意し採択された、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際的な目標を指します。SDGs は17のゴールとそれぞれの具体的な数字目標などを組み込んだ169のターゲットから構成され、貧困や格差、そしてそれから生じる不公平や差別、紛争などに終止符を打ち、地球を守り、すべての人が平和と豊かさを享受することができる、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」社会を作り出すことを謳っています。

SDGsの特徴のひとつは、期限が「2030年まで」とされていること、もうひとつは現在の「続かない世界」を「つづく世界」に変えるための具体的な指標を示していることです。

SDGs は2015年の国連のサミットで突然生まれたものではありません。2000年から2015年まで、途上国を対象に貧困や飢餓、妊産婦の健康など8つのゴールを定めていたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals、以下MDGs)を土台に、21世紀に入ってから深刻化してきた気候変動や貧富の格差の拡大など経済的不平等、科学技術イノベーション、持続可能な消費、平和と正義などの新たな分野が加えられて生まれました。

SDGsの前身であるMDGs は、極度の貧困と飢餓への対策、致命的な病気予防、すべての子どもへの初等教育普及を始めとする開発優先課題に関し、普遍的な合意に基づく測定可能な目標を定めました。貧困の削減や水と衛生へのアクセスの改善、乳幼児死亡率の引き下げや妊産婦の健康の改善、マラリアや結核、エイズなどの感染症件数の減少など、大きな進歩を示した一方で、MDGs では解決できなかったいくつかの課題を残しました。

そのひとつが21世紀に入り、加速度的に深刻化した気候変動であり、生物多様性の損失でした。世界の温室効果ガス排出量の増加による温暖化の加速は、私たちが暮らす日本を含めた多くの国で「想定外」と呼ばれる水害の多発とそれに伴う被害を拡大させています。また、21世紀に入ってから湿地、海氷域、サンゴ礁、藻場などあらゆる環境で、生態系の破壊が進んでおり、その損失は特定の種の絶滅だけではなく、多くの環境の変容をもたらす恐れもあります。

その背景にあるのは、21世紀以降の貧富格差の拡大と中途上国を含めた多くの国で生活の利便性を求めるSDGs の 17 のゴールミレニアム開発目標(MDGs)結果としての大量生産・大量消費、そして、その結果としての乱開発が
あります。貧困や紛争などに起因する飢餓が深刻化する一方で、生産された食料を使いきれずに捨ててしまう、いわゆるフードロスは世界的な問題になりました。世界全体ですべての人を賄うのに十分な、40億トンの食料が毎年生産される一方で、豊かな国や社会に食料が集中し、その結果生産された食料の3分の1にあたる約13億トンもの食料廃棄物があると推測されています。日本では年間2550万トンの食品廃棄物等が出されますが、まだ食べられるのに廃棄されるいわゆる「食品ロス」はそのうち612万トン(※2)。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(2018年で年間約390万トン)の1・6倍に相当します。

必要以上の食料を作り、そして捨てるシステムは当然地球への負荷がかかります。地球が人々の消費行動を支えるために必要な生産可能な土地と水域面積の合計を示す「エコロジカル・フットポイント」という考え方があります。地域の環境資源を持続可能に使えているかを見る指標ですが、人類全体の今の生活を支えるには地球1・7個分、世界の人が全て、今の日本と同じような生活をした場合は、地球2・8個分の自然資源が必要になると指摘されています(※3)。

こうした深刻化する環境変化への危機感から、MDGs の達成期限を迎える3年前の2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)で、ポストMDGs を見据えて世界が直面する環境、政治、経済の課題に取り組む一連の普遍的目標の策定を目指す議論が始まりました。議論はリオ+20後も続けられ、国連加盟国や国際機関、専門家や市民社会、若者、先住民など立場が異なるあらゆる人々が集まり議論され、そして2015年9月に、17のゴールとして結実することになります。

制定までの流れから分かるように、SDGs はあらゆる立場の人が集まり、「誰一人取り残さない」世界を作るために設定されました。その背景は、今のままでは「世界が続かない」という強い危機感があります。少し長くなりますが2015年9月25日の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030 アジェンダ」を以下引用してみましょう(※4)。

「今日我々もまた、偉大な歴史的重要性を持つ決定をする。我々は、すべての人々のためによりよい未来を作る決意である。人間らしい尊厳を持ち報われる生活を送り、潜在力を発揮するための機会が否定されている数百万という人々を含む全ての人々を対象とした決意である。我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になり得る。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない。我々がこの目的に成功するのであれば2030年の世界はよりよい場所になるであろう。」
(第50段落、傍線筆者)

貧困を終わらせる最初の世代になるかもしれず、地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれない。なんとも重い、そして喫緊の課題なのだ、という強い意志を見ることができるでしょう。


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