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『月刊マクロビオティック』2021年2月号おすすめ記事

持続可能な開発目標(SDGs )とマクロビオティック

食と健康から社会と地球の未来を考える

一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク 業務執行理事 長島 美紀

 

SDGs の17のゴール


そんな国際社会の強い危機感と課題解決のための強い意志から生まれたSDGs ですが、17のゴールは「5つのP」に分類することができます。

@ People[ 人間]( 世界の貧困をなくす)
A Prosperity[繁栄](「つづく経済」をつくる)
B Planet[地球](環境を守り育てる)
C Peace[平和](仕組みつくり)
D Partnership[協働](実現のための資金と協力関係を作る)となります

SDGs のゴールが示すのは、「誰一人取り残さない」という決意を実現するために、MDGs の時代に行った途上国の「人」だけを支援するのではなく、その人が暮らす社会のあり方を改善し、社会の土台となる地域ごとに異なる環境の破壊を食い止めること、そしてそのためにこれまでのように「政府」がやればよいのではなく、民間企業や大学などの研究機関、メディア、市民社会、地域社会など、あらゆる関係者・機関が主体的に関わる必要があるのだということです。例えば貧困をなくしたり飢餓をなくすためには、単に目の前で困っている人に支援をするだけではなく、その原因となる事態が発生しないようにするための法制度の改正や、働き方の見直し、住んでいる場所のまちづくり、そして私たちが暮らす地域の基盤となる海と陸の環境を守り、気候変動対策も取ることを求めています。

目の前の課題に対症療法的に対応するのではなく、仕組みのあり方と自然環境も含めて考えましょう、という事が
17のゴール、169のターゲットを通じて繰り返し、主張されているのだと言えるでしょう。

 

食からSDGs を考える


SD Gs の概要を踏まえた上で、改めて「食」という点からSDGs を見てみたいと思います。

2020年頃から雑誌やインターネット記事などで「ヴィーガン」「プラントベース(planted base)」という言葉が頻出すようになりました。私自身も企業の方よりプラントベースとは何か、植物性のみで商品開発をするには、というお問い合わせを受けることがしばしばあります。

また、都内に目を向けてみると食材や環境や社会に配慮したメニューを提供する飲食店が多くみられるようになったり、レストランやカフェのメニューでも植物性食品のみで作られていることを表示するマークがつけられていることもあります。

釈迦に説法ではありますが、プラントベースとは何か確認しましょう。プラントベースとは、肉類や魚貝類・乳製品・卵などの動物性食材は摂取せず、全粒穀物・野菜・種子類・豆類・果物・海藻などの植物性食材が中心の食べ方を指します。普段から卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」は、ヴィーガン(Vegan)と呼ばれますが、中には食事だけではなく、衣類など日用品でも革製品や毛皮など動物由来のものを身につけなかっ
たり、動物実験を行っている化粧品を拒否する、生活全般からも動物由来の製品を排除する「エシカル・ヴィーガン」の人もいます。

プラントベースと言う考え方を始めとする、いわゆる菜食主義の流れは欧米から始まり、近年日本でも字前述したように少しずつ知られるようになってきています。飲食店の動き以外にも「代用肉/ 代替肉」と呼ばれる肉や魚、乳製品を一切使用せずに豆類など植物性食品のみで作られた食材も少しずつではありますが、自然食品を扱う専門店だけではなく、普通のスーパーマーケットなどの一角でも見かけるようになりました。

この背景には「肉食は健康リスクを高める」という考えがあります。SDGs のゴール3は「すべての人に健康と福祉を」として、私たちの健康とそれを維持するための医療機関の確保や医療従事者など人材育成の必要性、そして感染症対策などを謳っていますが、MDGs が主に途上国における感染症対策や乳幼児や妊産婦の健康と死亡率の低下を重点的に取り上げていたのに対し、SDGs では例えば中産国で深刻化しつつある成人病や生活習慣病などの健康リスク、過度のアルコール摂取や喫煙も取り上げられます。世界的に高齢化社会が進行する現在、私たち一人ひとりの健康寿命は極めて重要な指標になりつつあります。健康への意識が、プラントベースやヴィーガンという言葉を浸透させるきっかけになっているといえるでしょう。

もうひとつの背景は、環境問題への意識の高まりです。プラントベースの食べ方が注目された理由のひとつは、これまでの肉食生活が温暖化の理由になっているという危機感があります。

2019年に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界の土地利用と気候変動に関する報告書で、食料システムから出る温暖化ガスは人の活動による排出量の21〜37%になると推定しています。温暖化対策のためには穀類中心の食事が良いという考えから、ベジタリアンへ移行したり、肉食を止めないものの、肉を食べない日も設ける「フレキシタリアン」も、欧米では若者を中心に増えてきています(※5)。

海外から始まった「ミートフリーマンデー(Meat Free Monday、週に1回菜食を実践する)」は、地球環境保護などを目的にポール・マッカートニー氏が提唱したものです。日本でも2017年より内閣府の食堂で、また、2018年には都庁でも実施されています。完全菜食は難しいが、週に1回でも菜食にする「週いちベジ」という言葉も生まれていますが、こちらは環境への配慮から始まった新しい動きであり、食を通じたSDGs ゴール13「気候変動」への貢献の第一歩ともいえるでしょう。

また、必ずしも植物性食材のみではありませんが、環境に配慮した食材を扱うレストランも増えてきています。農家から直接無農薬野菜を仕入れて食材に活用したり、オーガニックの調味料を使用するお店も登場しています。農産物についても有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格)の基準に従って生産された農産物も有機JASマークを使用したり、「オーガニック」「有機」と記載されることが現在普及を全体の1パーセントを目指した活動が行われています(※6)。

認証制度は海や陸地における生物多様性の保全(SDGs ゴール14「海の豊かさを守ろう」およびゴール15「陸の豊かさも守ろう」)につながるだけではありません。有機JAS認証については、化学肥料・化学農薬の使用削減による水質汚染防止の取り組み(ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」)が健康や福祉につながる(ゴール3「すべての人に健康と福祉を」)ことも期待されます。

また、最近日本でも食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界120ヵ国で使われるGLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)認証を取得する農場が少しずつ増えています( ※7)。GLOBALG.A.P. の認証条件である食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」は、単
に食品の安全に配慮するだけではなく、作業従事者の労働安全と健康も考慮することでゴール8「働きがいも経済成長も」や、長期的な食糧安全保障につながることが期待されています。

イオンリテール株式会社は 、1993年にプライベートブランド「グリーンアイ」(2000年に「トップバリュ グリーンアイ」と改称)を開始、有機栽培などの農薬や化学肥料をできるだけ使わない方法で栽培した農産物を中心とした商品を取り扱っているほか、GLOBALG.A.P. をグローバルな調達基準として採用するなど、地域や国で異なる基準に応じて食品を調達するのではなく、国際的に統一された規格で安全かつ地球にもやさしい食品を確保する動きが見られています。

食の安全はただ口に入れる食品が安心であればよいわけではありません。生態系にも、作り手にも配慮していることが求められるようになっています。

 

マクロビオティックとSDGs


食とSDGs の関係を見ると、言われていること、トレンドとなっている事象は、実はマクロビオティックの基本でもある「一物全体」「身土不二」の考えそのものであることが見えてきます。

例えば一物全体についていえば、フードロスへのひとつの回答となります。料理投稿サイト「COOKPAD」では、残り食材を工夫して自由に料理する能力に焦点を当てた、エンターテイメント型フードロス解消イベントを開催していますが、これらは野菜の皮や根にこそ栄養があること、そして私たちがゴミとして捨てがちなものにこそ価値があるのだ
ということが社会で少しずつ認知されるようになった表れでもあります。

また、多くの自治体で実施されている学校給食で使う食材を地域で収穫されたものにしようという試みは、その土地で取れた旬の食材をいただく、身土不二の考えにつながるといえるでしょう。

SDGs は今ある社会がこのままでは続かないという強い危機感から生まれ、改めて自分たちとそして次世代が安心して、そして健康で安全な環境で暮らすための道筋を示しています。その道筋を「食」の切り口から考えると、近年の様々な食をめぐる動きは、マクロビオティックの理念に根柢で通じるものがあります。であるからこそ、改めてマクロビオティックを通じて、私たちの暮らす社会、地域、環境のことを考えていただければと願っています。

 

(※1)miraimedia.asahi.com/sdgs_survey06/
(※2)www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/
(※3)www.wwf.or.jp/activities/activity/4033.html
(※4)一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク『基本解説 そうだったのか。SDGs2020― 我々の世界を変革する:
持続可能な開発のための2030アジェンダから、日本の実施指針まで―』(SDGs市民社会ネットワーク、2020年)、14頁。
(※5)日本経済新聞「マクドナルドから肉が消える日」2019年1月19日付
(※6)農林水産省生産局農業環境対策課「有機農業をめぐる事情」(2020年2月)、3-4頁。
(※7)GLOBALG.A.P.詳細 HP:www.ggap.jp/
(※8)持続可能な世界の実現を目指して2016年に設立された、日本のCSO(市民社会組織)のネットワーク組織 (2017年2月法人格取得)。「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に則り、貧困や性差、地域格差、教育格差といったあらゆる側面での格差を解消し、すべての人が、人間として尊厳をもって生きることのできる社会の実現のために、市民社会の立場から、民間企業や自治体、国際機関、政府、他国の市民社会組織と連携した、政策提言活動や課題解決のためのコンサルティングなどに努めている。2020年10月現在、127の団体で構成。HP:www.sdgs-japan.net

※タイトル画像:2020年9月25日のSDGs採択5周年を記念して作られたSDGsの17のゴールを象って制作されたケーキ。フードロスから生まれた野菜パウダーをはじめとした天然色素を使って17のゴールの色を表現するなど、動物性食材・白砂糖不使用のケーキとなった。制作協力:ひらたまさこ(TiDANEFA主宰)/斎藤裕樹(神戸珈琲物語) /maruわきさか よしみ(maru-sweets主宰)/岩田絵弥曄・西田留弥(Vege for peace)/学校法人食糧学院/株式会社ココウェル/(有)石井青果 写真提供: Vege for peace

 

ながしま みき
一般社団法人SDG市民社会ネットワーク(※8)業務執行理事、政治学博士。大学で研究活動の傍らNGOに関わったのをきっかけに、これまで様々なNGOや財団の広報・キャンペーン業務を経験。理事を務める認定NPO法人Malaria No More Japanでは「ZEROマラリア2030キャンペーン」を運営してきた。2016年からは歌手マドンナのパーソナルシェフを通算10年間務めた西邨マユミ氏の日本でのエージェントとして、食と健康と環境に配慮した活動を自身の会社でも展開。SDGs市民社会ネットワークではSDGs達成に向けた政策提言活動やSDGsの広報・普及啓発活動等に携わる。


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