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『月刊マクロビオティック』2021年8月号おすすめ記事

特集「盛夏の候

 

和暦から見る夏のお話

和暦研究家 高月 美樹

 

枇杷葉湯と甘酒


市中で売られる江戸時代の夏の飲み物といえば、枇杷葉湯と甘酒が定番でした。江戸の市中、人が集まるところには必ず枇杷葉湯と甘酒の辻売りがいて、その様子がさまざまな絵で残されています。

枇杷葉湯は枇杷の葉肉桂、甘草、呉茱萸、莪朮 などを配合した黒っぽい漢方ブレンド茶です。暑気あたり、胃腸病、下痢止め、二日酔いの解消に人気を博しました。枇杷の葉はあせもや皮膚炎に直接患部にあてたり、お風呂に入れるなど、幅広く利用された夏の万能薬でもありました。

枇杷の葉はどこでも採れますが、京都が発祥の地とされていたため、枇杷葉湯売りはこぞって烏(からす)のマーク
とともに「京都烏丸」の看板を掲げていました。特産地の名を冠するのは「ご当地もの」を気取って上等とする当時のブランド戦略です。たとえば蜂蜜は熊野が名産として知られていたことからいずれも「熊野蜜」の名で、薬局で売られていました。

枇杷葉湯売りが京都烏丸の烏を目印に宣伝したのに対して、甘酒屋はもっぱら富士山の絵を看板にしていました。そのことがわかる川柳が多く残されています。

 不二山に肩をならべる甘酒屋
 甘酒の看板いずくからも見へ
 甘酒は照る六月に荷商い

「照る六月」は猛暑が続く現在の7月ごろ。富士山の看板がどこからでも見えていて、富士山と肩を並べるほど人気があり、甘酒屋は真夏の商売だったことがわかります。

甘酒は冬のイメージがあるかもしれませんが、現在でも夏の季語で、夏にこそおすすめの飲み物です。米と麹を発酵させただけで出る甘味はブドウ糖で、ビタミンB群やアミノ酸を豊富に含んだ、いわば「飲む点滴」。夏バテに即効性があります。無事に夏を越せるように六月一日に飲む風習もあったようです。

江戸時代の人々は枇杷葉湯、甘酒、どちらもあたたかい状態で飲んでいました。冷たいものを飲むよりも熱いお茶を飲んだ方が身体が楽になることを昔の人はよく体感していたのでしょう。

麦茶もあたたかい状態で飲む方が胃腸を活発にし、しっかり水分補給ができます。近年は水出しの麦茶が出回っていますが、やかんで煮出した香ばしい香りは格別。この香り成分はアルキルピラジンという物質で、血液をサラサラにしたり血圧を下げる働きもあり、水出しより煮出しタイプの方が多く含まれています。汗をかくと必要になるナトリウムやカリウム、亜鉛などのミネラル補給が簡単にでき、大麦なのでまったくのグルテンフリー、カフェインもまったく含まれていないので、たくさん飲んでも大丈夫。麦茶は子どもでも安心して飲めるおすすめの夏の飲み物です。

冷たいものを食べたり飲んだりした後も、熱いお茶を飲むことで十分調整されますので、お試しください。江戸時代も夏の夕涼みに麦茶を飲ませる夜店が出ましたが、いずれも「麦湯」と書いた行灯で、やはり熱いお茶でした。

 

 

雑穀を上手に取り入れる


麦といえば、かつて江戸では「江戸患い」という病気がありました。江戸で広まっていた真っ白なご飯は人々の憧れではありましたが、夏になるとビタミンB不足による脚気になる人が続出し、田舎に帰るとすぐに治ることから、「江戸患い」と呼ばれていました。

それを解消するため、夏になると江戸の武家や商家では使用人に麦飯をふるまう風習があったようです。おかずも少なかった時代、精米したお米だけでは栄養不足になったのでしょう。田舎では玄米や雑穀が当たり前でしたが、白米の普及とともにナスやキュウリのぬか漬けが流行したり、江戸市中に蕎麦屋が多かったのもそのためといわれています。

昔の人に倣って夏にこそ雑穀を多めに。麦飯もおすすめです。私のおすすめはもち麦と雑穀だけで炊いたご飯です。レモンやハーブ、アマニ油などでエスニック風に味つけすると、夏でも食欲の出るさっぱりしたひと皿になります。

草木が生い茂り、小さな生命がひしめきあう夏。和暦では水も枯れ果てるほどの猛暑が続く水無月です。我が家の田んぼでは農薬を使わないため、クモやカエル、トンボやミツバチなどたくさんの生き物が棲息し、薮甘草のオレンジの花やピンクの昼顔が田んぼを縁どるように咲き出します。立秋はいわば暑さのピークで、日中はまだ猛暑の日々が続きますが、その強烈な熱射を浴びて、稲が一気に大きくなってくるのが楽しみな季節でもあります。

 

 

 

高月 美樹/たかつき みき

LUNAWORKS主宰。女性誌編集を経て、2003年より日本の知恵とこころを伝える手帳「和暦日々是好日」を制作・発行、執筆・講演を続ける。
HP:http://www.lunaworks.jp

 


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