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『月刊マクロビオティック』2022年1月号特集

特集 ホテル総料理長から保育園に転身。北爪雅信さんに聞く

未来をつくる子どもたちへ

新年明けましておめでとうございます。新たな歳の始めに想うこと、私たちの共通の祈り、それは「健全で明るい未来」ではないでしょうか。未来は今の子どもたちによってもたらされます。私たちマクロビオティック実践者にとっての関心事は、世界中のすべての子どもたちが「心の健康」を獲得することです。それは「健全な食事」によって支えられます。

今回の企画は、「プリンスホテルの総料理長だった方がリマを受講されている。ぜひ、お話を聞きたいですね。」 森騰廣講師とのこんな会話から始まりました。昨年4月に東京都大田区にある「森の保育園」、子育て支援事業を展開する「育児 サポート カスタネット」に総料理長として入社された北爪雅信さん。北爪さんは2021年の5月期からベーシックIコースをご受講し修了されました。なぜ、ホテル総料理長から保育園に転職されたのか、プロの技術と長年の経験を活かして給食がどのように変わるのか、また、リマで学ばれたマクロビオティックを今後どのように保育園給食に活かされるのか、マクロビオティックをプロの視点からどのように捉えていらっしゃるのかなど、 編集部は興味深々でした。

このたび、お忙しい中お越しくださり、岡田英貞校長・森騰廣講師とともに、とても興味深いお話を伺うことができました。ぜひご一読いただけたら幸いです。

 

ホテル総料理長から保育園の給食へ


岡田:森の保育園に入社された経緯を教えていただけますか?

北爪:2020年1月18日に、機内食のアレルギー食も担当している安全食品株式会社の幸一郎社長の講演会に行った時に、「森の保育園」の長野眞弓社長の講演も聴くことができました。長野社長の講演の中でヴィーガンや、子どもに対してのいじめや差別・虐待のない社会を作りたい、みたいな熱い思いを聞いたんです。「なんかすごい人だな」
と思って名刺交換して、その後何回かお会いするようになりました。

長野社長は、冷凍でヴィーガンのお弁当を作ったら、忙しいお母さんでもご家庭で子どもと一緒に食べてくれるのではないか、ということで、あるレストランの料理長にメニューの監修を頼んでいたのですが、その方が体調を崩してできなくなってしまったそうなんです。それで長野社長が 社長に相談された時に「北爪がいいんじゃないか?」という話が、2020年の秋頃にあったんです。その時はまだホテルにいたので「監修だったらボランティアでやりますよ」みたいな話になって、ヴィーガンに少し関わるようなりました。

3年前に60歳で定年になりましたが、定年前は6年間、ザ・プリンス軽井沢、軽井沢プリンスホテルの総料理長をしていました。その前の2年間はグランドプリンスホテル広島という瀬戸内海沿いにあるシティリゾートホテルにいました。

定年の時に軽井沢に残って欲しい、という話もありましたが、8年間単身赴任でしたから、東京に帰りたい、とお願いして新横浜プリンスホテルに配属になり、衛生管理という仕事で厨房の衛生管理や、今アレルギーの方が非常に多いのでレシピ表やアレルギー表のチェックなど調理のサポート役をしていました。

森:新横浜では現場から離れたのですね。

北爪:そうです。先輩で料理学校の校長や講師をしてる人もたくさんいるので、「俺の代わりに、校長にならないか?」みたいな話もありましたが、私としては、今までの40年間の経験を生かして、大きく言うと社会貢献ではないですけど「人のためになるような仕事をしたいな」、という気持ちがあって、料理学校は違う感じがしていました。

そんなときに長野社長と講演会で知り合って、保育園の話があって、給食はヴィーガンだし、ヴィーガンって今、ちょうど注目を浴びてきていますよね。特にオリンピックがあったときに、ヴィーガンレストランを増やそうとか、代替ミートもすごく流行りだしていますから。

そんな理由で、直感的に「保育園で働きたいな」と思って。2021年1月に長野社長に頼んだんです。「私のことを雇ってもらえませんか?」って。そうしたら長野社長は最初びっくりして「なんで?! ホテルの総料理長が保育園に来てくれるんですか?」みたいな感じでした。

 

 

 

「森の保育園」の給食について


岡田: 森の保育園の給食について教えていただけますか?

北爪:まず、森の保育園は2006年に開園してもう15年経つのですが、その10年程前から長野社長は、自宅で24時間
365日保育みたいなものから始めたそうです。園児の定員が56名のところ、今は50名くらいです。認可保育園なので土曜日も預かり保育をしていて、0歳児から5歳児まで、早くは7時から夜の7時ぐらいまで預かっています。

2歳児までの20名くらいに、朝9時に朝おやつとしてフルーツと豆乳を出し、11時から12時くらいにかけて全員に昼食を出しています。おやつは2時半から3時ぐらいで、それはいろいろで、スムージーや米粉のパンケーキだったり米粉の蒸しパンなどです。あとは、ジャガイモ餅とかサツマイモ餅等を日替わりで、手づくりで作り立てを提供しています。

遅くまで預かるお子様には補食と言っていますが、ご飯と味噌汁みたいなものを日替わりで出しています。保育園は、共働きなどの忙しいお父様とお母様が多いので、一日一食だけでもキチンとした食事をしてほしい、ということで玄米菜食の「まごわやさしい」に則った食事を提供しています。

実際、私は2021年4月に入社しましたが、7ヶ月が経ちお子様たちも目に見えて情緒も安定してきています。私にも慣れてお子様の方から寄ってくるようになっていますので、非常に「食」は大切だな、と感じています。

実際に自分も、毎日必ず玄米菜食を賄いで食べていますから、体重が5〜6s落ちてベスト体重な感じで健康的になっています。

森:2021年の4月頃からでしたか? もっと前からと伺ったような…。

北爪:有給休暇もあったので、実際は2021年の2月くらいからです。月の半分以上、保育園に行ってボランティアでお手伝いをしていました。

岡田:玄米は圧力鍋で炊くのですか?

北爪:はい、圧力鍋です。

岡田:一回当たり、どのくらい炊くのですか?

北爪:通常だと18合です。鍋は2台あって9合ずつです。圧力鍋で炊いた方が消化も良くなるし、もちっとした感じで子どもも食べやすいので今は圧力鍋2台で炊いています。

岡田:私もマクロビオティックのレストランをやっていましたので毎日玄米ご飯を炊いていたのですが、同じクオリティで毎日炊くのはなかなか難しくて、同じようにやっていてもその日その日で違ってしまうんですよね。ましてやお米が変わったりして、同じ炊き上がりを維持されるのは大変ではないですか?

北爪:保育園はIHで、裸火は使っていません。例えば火力8で立ち上げて、蒸気が出たら火力3に落として3分、そうするとだいたい炊き上がります。なるべく前日の夕方から浸水しておきます。それで炊く前に水を切って、9合であれば9杯、同量の水を入れて炊きますが、今のところ均一に炊けています。ただ捕食のホテル時代の北爪さん時など、1合とか2合を炊く時には少しムラが出たりします。それでも工夫をして徐々に慣れてきました。

 

 

アレルギー対応について


岡田:ホテル業界のことを教えていただきたいのですが、アレルギーやベジのご要望などの対応は増えていますか?

北爪:増えています。こういう時代ですから、ホテルの料理はまず安全第一なんです。その次に美味しさです。その安全っていうのは、アレルギーであったり、異物混入防止であったりとかですね。

森:食中毒もですか?

北爪:そうです。食中毒防止は大前提です。アレルギーは本当に増えてます。実際にアレルギーの方が増えていることもありますが、アレルギーに関心を持つお客様が増えています。修学旅行だと、特にリゾートの広島や京都などは多くて、300人の学校でしたら一割くらいアレルギー関係の申し出がありました。

岡田:それは多いですね。

北爪:少ない学校でも、300人でしたら10人くらいは必ずいます。

森:その対応はするんですか?

北爪:対応するんです。

森:それは大変ですね。

北爪:プリンスホテルでは3年くらい前に、「特定原材料7品目に関しては申し出があれば対応します、それ以外は対応できません」となりました。それは7品目のアレルギーのお客様へ安全に料理を提供するために、その他の対応はいたしかねますのでご了承ください、という意味です。特にレストランなどは大変なんです。

森:そうですよね。

北爪:レストランは当日お申し出のあるお客様もいらっしゃいます。そうするとレシピ表を全部チェックして、お客様に確認します。そのレシピ表もすごく詳しく書いてあるのですが、転記ミスがないか、記入漏れはないかを私たちがチェックしていました。

岡田:森の保育園さんにもアレルギーのあるお子さんがいますよね?

北爪:います、もちろん。ただ給食はヴィーガンなので、動物性食品はもちろん、グルテンフリーで小麦も使わないです。

万一混入があるといけないので、調味料もいろいろ見直しています。基本的にアレルギー対応は少ないです。

アレルギーではないけど、咀嚼の発達を見て、必要に応じた刻み食とかもしています。サラダをなるべくいっぱい食べていただくようにしていますが、サラダが食べづらいお子様には海苔で巻いて細巻きみたいにして出しています。少食のお子様もいますが、半量ぐらいにして食べ切れる量にしてあげます。ご飯もおにぎりにしないと食が進まないお子様もいます。小さいお子様は海苔を小さく切って出して、保育士さんがおかずやご飯を巻いてあげると自分で持って食べてくれます。そういう工夫をして、個人個人に細かく対応しています。

森:普通の子どもでも好き嫌いがありますけど、どういう対応をされていますか?

北爪:好き嫌いで食べないお子様もいます。でも、そんなにはいません。だいたい一歳ぐらいから入園するお子様が多いので、慣れているというのもあります。ただ、野菜嫌いのお子様は、工夫してあげるとだんだん食べられるようになってきています。

岡田:ヴィーガン全体に言えることかもしれませんが、保護者のお母さんで「玄米菜食って体に良さそう、ということはなんとなく分かるけど、栄養バランスは本当に大丈夫? 育ち盛りの子どもにはたんぱく質が足りないんじゃないの?」そういう抵抗感を表される方はいらっしゃいませんか?

北爪:ときどきいらっしゃいます。「野菜ばっかりで大丈夫なの?」って。そういう方には栄養士が説明しています。実際、江戸時代とか、昔から日本人は玄米菜食で、女性は大きな米俵を担いだり、飛脚は何百キロも走ったりしていたのですから、キチンとした食事をしていれば肉や魚を食べなくてもいいわけですよね。白い米を食べているから、ですかね。白い砂糖とか、精製塩とか、製白した小麦なども。

だから、森の保育園だよりを出しています。看護師からは保健だより、管理栄養士からは給食だよりを発行しています。「まごわやさしい」の説明を書いたり、簡単なドレッシングや料理のレシピを書いたりして、保護者の方々へ保育園の取り組みをお知らせしています。


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