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『月刊マクロビオティック』2022年2月号特集

特集 旧暦の正月によせて「暦のおはなし」

 

新暦の2月1日は旧暦の元旦(睦月)にあたりますが、「旧正月」という言葉を聞くたびに読者の皆様も改めて暦について思い巡らす機会もあることでしょう。

2月は如きさらぎ月、寒さの最も厳しいこの季節、「更に衣を重ね着する」と云うことから「衣きさらぎ更着」になったという説が有力とされています。他にも令れいげつ月、梅うめみづき見月などという異名もあるそうです。

現在一般に使われているグレゴリオ暦は、ご存知のように太陽の動きを元にして作られているため、「太陽暦」と呼ばれています。一方、明治6年に太陽暦が採用される以前の日本では、月の満ち欠けをもとに、季節を表す太陽の動きを加味して作られた「太陰太陽暦」が使われていました。太陰太陽暦といっても、歴史的にはたくさんの暦法(計算の規則)が使われてきましたが、太陽暦への改暦の直前まで使われていた「天保暦」と呼ばれる暦法のことを、日本では一般に「旧暦」と呼ぶそうです。

旧歴の元旦を英語では"Lunar New Year"や"Chinese New Year"などとも呼ぶそうです。また中国文化圏と云われる東南、東アジアの国々では、現在もなお旧正月を国民の祝日としている国も多いそうです。

今月の特集は、そんな旧暦、陰暦に縁のある「和暦日々是好日」旧暦手帳の制作、本誌連載でもおなじみの高月美樹さん、桜沢如一資料室室長で「棚田ごよみ」制作にも携わる高桑智雄さん、月と身体の関係に詳しい当協会の講師も務めるYuki☆さん。それぞれ暦にまつわるお話をご寄稿いただきました。楽しんでいただければ幸いです。

 

旧暦と暮らす

和暦研究家 高月美樹

 

自然界の動きを知る


明治6年の西暦(太陽暦)の採用によって、奈良時代から日本で長らく使われていた太陰太陽暦は旧暦と呼ばれるようになりました。一度は忘れられた旧暦ですが、近年は多くの方が旧暦に関心を持つようになってきています。

二十四節気や七十二候をまったく知らない、という人はほとんどいなくなり、立春や冬至などを「時の節目」として意識される方は年々、増えてきています。旧暦に関心を持たれる方はオーガニックな農業や環境に関心のある方、自然の摂理を知りたいという方、もっと自然を身近に感じる暮らしをしたい、と考えている方が多いように感じます。

旧暦というと何か古めかしいものに感じられますが、月と太陽の周期に忠実で、自然界のリズムをダイレクトに感じることができる暦です。

旧暦を使うようになってから今までまったく見えていなかったものに気づけるようになった、地に足のついた暮らしができるようになった、自分にとって大切なものに気づかされた、という感想をよくお聞きします。時代の変化とともに人工的なものから離れ、「自然回帰」の意識が高まってきたこともあり、自然界の動きを知りたいと思う人々に注目されるのは当然のことかもしれません。

 

 

生命観を養う和暦


アジアを見回してみると西暦のみを使っているという国は少なく、それぞれの郷土や宗教に合わせたさまざまな暦が併用されているのが現状です。日本では明治以降、西暦だけが使われてきましたが、そろそろ世界共通の西暦という時間軸だけでなく、日本人の自然観、生命観のベースとなっている旧暦を併用してもよいのではないか、という思いから、旧暦と名打っていた手帳のタイトルを10年目から「和暦日々是好日」に改名し、日本の暦としての「和暦」が
西暦と併用できる身近なものとして自然に浸透するといいなと願っています。

 

日読みと日知り


暦の語源は「日読み」で日を読むこと、聖の語源は「日知り」で日を知ることです。「ひじり」は仏教伝来後に高僧をさす言葉として使われるようになりましたが、元々は道理に明るく尊敬される人物、これから先に起こることを読んで、人々を危険から守り、安全に導ける人が「ひじり」と呼ばれていたことに由来します。

「観天望気」という言葉がありますが、天気予報がなかった時代、人々は空の変化や、生き物の動きから天気を読み取っていました。漁師であれば、海の色や風を読んで天候を予測することができますし、山を管理する人は水脈を読んで山に手を入れ、守ってきました。「夕焼けの翌日は晴れ」「燕が低く飛んだら雨」といったことわざとして残っているものもありますが、それだけではなく、人々の直感はもっと精妙で、第六感に近いものです。サインを見逃せば、命を落とす危険もあったので、自然の動きを知るということは命を守ることと直結していました。

 

直感を磨くツール


自然から離れた暮らしが当たり前になった現代人は自身の経験の積み重ねや、直観を働かせることが不得意になってしまったようです。今やあふれるほどの情報化社会ですが、だからこそ人の言うことに流されず、自分の経験、自分の直観を信じて行動する必要がこれからますます増えてくるのではないかと思いますし、これからはすべての人が「日知り」になっていただきたいと思っています。

旧暦はその直感を磨くためのツールであり、「自然と共に生きるためのテクノロジー」でもあります。月の満ち欠けや季節の変化を感じながら暮らしていると、物事をキャッチする能力は自然に磨かれていきますし、生きているのではなく、生かされているのだという深い感謝と、喜びを感じられるようになります。もうひとつ大きな利点は、すべてのものがつながっているという全体性が感じられるようになることです。円環する時間の中で、すべてのものは精妙に関わり合って、完全な循環システムを作りあげていることがわかるようになると、循環しないものはどこかおかしいのだ、ということにも気づかれますし、変わらず繰り返されることの素晴らしさ、尊さに気づくことができるのではないかと思います。

 

種まきと収穫


近年は明らかに温暖化の傾向にあり、季節外れの花が咲いていることも多くなってきていますが、季節の目盛りとなる二十四節気や七十二候も当たっている、当たっていないということではなく、今年は例年より早いか、遅いかという判断の目安になるものであり、種を蒔く時期や収穫を調整するためのものです。地域によっても異なりますので、身近にあるもので確かめていくのが一番です。自分で体感し、経験として積み上げていくことが本当の知恵であり、「自
然の一部として生きる」という感覚につながっているのではないでしょうか。起きていることの意味を考え、自分で答え合わせをしていくことが大切なような気がします。誰かの知識ではなく、自然をよく観察することでみえてくることはたくさんあると思います。

 

暮らしの知恵


旬という言葉は元々、十日を意味する文字で、現在も月の上旬、中旬、下旬という場合に使われますが、十日もすれば明らかに季節が変わり、食べものの旬が変わり、咲く花が変わることは、誰でも実感していることでしょう。日本の四季は日々めまぐるしく変化して、夏は猛暑となり、冬は雪が降り、それに適応するために衣食住の工夫を余儀なくされることで、さまざまな暮らしの知恵が育まれてきました。日本は海に囲まれた列島であり、日本中どこにいっても山と川があり、驚くほどの植生の豊かさと、生物多様性に恵まれた国です。日本人が繊細な感性を持っているのは、この気候風土のおかげに他なりません。

 

月と太陽


旧暦のしくみで初心者の方が混乱しがちな点をひとつあげるとすれば、旧暦は月と太陽という二重の時間軸が組み合わさっているという点です。まったくサイクルの異なる二つの輪が回っているということが、西暦という一本線に慣れてしまった現代人には理解しにくくなっていますが、月と太陽は地球を照らし、すべての命を育む偉大なる灯明。そして陰と陽の象徴でもあります。月だけを意識しすぎると陰に傾いてしまいますし、太陽だけだと上だけをみて暴走する、ということになります。月と太陽の両方をバランスよく意識することで、中庸の世界観が自然に体感できていくのではないかと思います。

暦のしくみ


少しだけ旧暦のしくみを説明すると、月の朔望は平均すると29・53日で、旧暦では29日、または30日でひと月を刻み、月の始まりは必ず新月の日になります。一方、太陽の周期は365日なので冬至と夏至、春分と秋分の二至二分に分け、それぞれの中間を立春、立夏、立秋、立冬として四季の始まりとしています。この二至二分と四立の八節が季節の骨組みで、それぞれを三等分すると約15日ずつの二十四節気、さらに三等分すると約5日ずつの七十二候になります。

かつての二十四節気は冬至を起点に平気法で決められていましたが、天保暦以降は春分を起点に黄経15度ずつに設定する定気法が採用され、今日、国立天文台が発表している二十四節気も定気法に則っています。この定気法では太陽の速度が遅くなったり早くなったりするのに合わせ、14日〜16日と不均等になっていますが、天文には忠実です。太陽が真東から上がり、真西に沈む春分と秋分の日はそれぞれ「自然をたたえ、いつくしむ日」「祖先をたたえ、うやまう日」とした国民の祝日ですが、天文に忠実であるがゆえに、毎年同じ日にはなりません。

このように円環するものは永遠に割り切れない端数が生じますので、なるべく近似点に近づけたものが旧暦の計算法だと思っていただければよいかと思います。月の12朔望(354日)と太陽の365日にはズレがありますので数年に一度、一年を13ヵ月として閏月を入れますが、これも便宜的な名称上のことであって、月と太陽のリズムそのものにズレはありません。

 

円環する時間


すべてのことには摂理があって、私たちはそこから敬虔に学ぶことしかできません。老子は「無為自然」という表現で人としてのあり方を自ら、然るに、自然そのもののように生きることだと伝えていますが、人は「自然の一部として生きている」という感覚が得られたとき、もっとも深い安らぎを感じられるのではないでしょうか。

近年の新型コロナウイルスや自然災害が示しているものは右肩上がりの一直線のパラダイムから降り、地球を存続させることに完全に舵を切ることのように思えてなりません。人類が築いてきた最新のテクノロジーを駆使することもできるでしょうし、人間がほかの生命と同じように地球の一員として完全に循環する存在になることもできます。日々の発見を重ね、人としてのあり方を考える。自然と共に生きる暮らしの道具として、旧暦という円環する時間軸を取り入れていただければと思います。

 

高月美樹/たかつき みき

LUNAWORKS主宰。女性誌編集を経て、2003年より日本の知恵とこころを伝える手帳「和暦日々是好日」を制作・発行、執筆・講演を続ける。

HP:https://www.lunaworks.jp/

 

 


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