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『月刊マクロビオティック』2022年4月号特集

特集 変化する食品産業と植物性たんぱく「Veggie Meet」

 

1960年代の東西冷戦、80年代のチェルノブイリ原発事故、ベルリンの壁の崩壊など国際政治のドラスティックな変化の時代から、今や世界は政治を超えて、自然環境の激変に対処せざるを得ない状況となっています。それは私たち人類と野生動物の生存そのものが脅かされる時代に突入したことを意味しています。2015年には国連持続可能な開発サミットが開催され、2030年アジェンダ(SDGs)が採択されました。人類はどのように「持続」を実現できるかと云う論点から世界が活発に動き始めています。

その中でも極めて現実的な問題として、持続的な食糧確保の問題に注目が集まっています。欧米を中心としてベジタリアンやヴィーガンと云われる人々も一定の割合を占めるようになり、動物性食品の摂取に関する急激な意識の変化が起こっています。元来和食の伝統に基づくマクロビオティックは、基本的に動物性を摂る習慣がないため、ベジタリアニズムの一種だと解されている場合もあるようです。海の幸に恵まれた地域ではもちろん魚介類も食されますが、それは「一物全体」の考え方から、全体をいただくことができる小魚を指します。

マクロビオティック料理では古くから植物性たんぱくを様々な形で用いてきました。今月の特集ではベジミートに代表される「植物性代替肉」に焦点を当て、さまざまな角度から食における「持続の可能性」を展望すると共に、マクロビオティックにおける植物性たんぱくの調理法などをご紹介いたします。

 

プラントベース食ブームにおける植物性代替肉の現状を考える

Tokyo Smile Veggies主宰 千葉芽弓

 

大量生産・大量消費、地球の負荷を考えずに人間たちが壊してきた地球環境。加速する温暖化問題は深刻で、このままでは地球上に生物が生きられなくなるという問題を解決し、この地球で暮らし続けるために2030年までに達成する目標「SDGs」を含め、サスティナビリティなアクションが求められています。

身近に迫る問題に食からのアプローチが不可欠とされ、ベジタリアン・ヴィーガン、または肉食を減らすリデュースタリアン、時々菜食を取り入れるフレキシタリアンといったライフスタイルを選ぶ人が世界的に増えています。

このような背景から未来への持続可能な世界に向け、必要不可欠ともいえる代替たんぱく質の筆頭にくる植物性代替肉に焦点を当て、市場の状況、特性、安全性、メリット・デメリット、可能性について紐解いていきます。

 

植物性代替肉市場の盛り上がりの背景


主に次の4つから、肉食を減らそうというムーブメントが起きています。

@環境問題

温室効果ガス排出量の約60%を占めるのが、肉や乳製品などの動物性食品の生産に関わる家畜であると言われており、車や工場の排気ガスを上回っています。

A健康問題

肉食過多による生活習慣病のリスクや赤身肉や加工肉の発がん性、そして工業型畜産による抗生物質やホルモン剤、人畜共通の感染症など、人々の健康に及ぼす影響についても取り沙汰されています。

B人口増とたんぱく質クライシス、飢餓問題

世界人口はコロナパンデミックの中でも増加の一途を辿り、2021年には前年比8000万人増の約78億7500万人と、過去50年間で2倍に増えました。人口増加と経済発展により、先進国だけでなく中国やインドなど新興国の肉食需要の増加から、肉や魚などのたんぱく質の供給が間に合わなくなる「たんぱく質クライシス」が問題視されています。一方、世界人口の10分の1が飢餓に苦しんでいると言われています。1sの家畜の餌として使われる穀物はトウモロコシ換算で鶏肉4s、豚肉7s、牛肉11sと言われ、その食肉はおろか穀物や大豆も人間の口に入らない不均衡が起きています。

C動物愛護といのちの尊重

工場型畜産業の飼育環境や屠殺問題、野生動物たちの絶滅危機などをSNSやドキュメンタリー映画などで目の当たりにすることなどから、いのちの尊重と動物愛護の観点で、搾取や犠牲のない生き方を選ぶ人が増えています。

 

たんぱく質が足りない?


過去50年間で世界人口が約2倍に増えた一方で、食肉消費量は約4倍に増えたと言われています。日本でも昨今の糖質制限ダイエットの流行や、高齢者の健康寿命を延ばしサルコペニア(加齢による骨格筋力の低下)を防ぐために肉を食べることを推奨する潮流もあり、肉の需要は増え続けています。

このまま肉依存でいくと2030年にはたんぱく質の供給が間に合わなくなると言われており、植物性代替肉をはじめ、「人工的」に作るたんぱく質への取り組みが急成長しました。

日本では肉の消費と植物性代替肉の生産・消費が右肩上がりになっていて、2つは相反するようでありながら共存成長しています。2021年6月には、「令和3年度版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の閣議決定の中で「食の一つの選択肢としての代替肉」が盛り込まれたことが追い風になりました。

 

求められる植物性代替肉


ミートレス・ミートフリーといった動きにたんぱく質至上主義も相まって、ベジミート、ソイミート、プラントミート、オルタナティブミート、クリーンミート、フェイクミート、擬似肉など様々な呼ばれ方で親しまれるようになった植物性代替肉が次々と生み出されています。

金融機関Barclays が、世界の食肉市場における代替肉市場は、10年以内に最大1400億ドル(約15兆円)まで成長し世界の食肉の約10%を占めるという試算を発表しています(図1)。動物愛護、健康志向、環境負荷低減などの背景から、多くの方が代替肉を食するようになるということです。

植物性代替肉といえば、その筆頭に上がり昨今日本でブームとなっているのが大豆ミート。

マクロビオティックではセイタンやコーフーといったグルテンミート、大豆発酵食品のテンペやおからこんにゃくなどとと
もに、大豆ミートは古くから馴染みのものですが、ここ数年急成長を遂げており、日本能率協会総合研究所の調査によると、2022年には市場規模は25億円、2025年には40億円になると予測されています。

世界の植物性代替肉を牽引するのは、エンドウ豆を原料に使い、ビーツ由来の赤い肉汁が滴り、焼くとジュージューと音を立て、肉のように赤色から焦げ茶色に褐変するハンバーガー用パテを開発したアメリカの「ビヨンド・ミート」と、大豆とヘム鉄を使い、じゃがいも、小麦をベースに、血のような味のするパテを開発したアメリカの「インポッシブル・フーズ」。

また、オランダ生まれの「ベジタリアンブッチャー」は、2020年8月より東京・池袋でプラントミートショップ併設のレストランを展開しています。

様々な開発が進み、今や主流となる「生肉」のような植物性代替肉を、ファストフード、ファミリーレストランからホテル、学校給食まで、採用するところが増えています。

また、鶏肉の繊維感そっくりにしたものや、ハラミ肉を再現したものなども打ち出され、焼肉店などにまで幅広く普及しています。

今、日本では大豆ミートをはじめとした大豆由来の植物性代替肉がブームです。しかし、大豆の生産量をやみくもに増やすことは環境に負荷がかかり、自然環境や生態系を壊すこと、また遺伝子組み換え操作がされているものが多く、健康面でも大豆イソフラボンの過剰摂取の弊害を懸念する声もあります。欧米では、アレルゲン品目でもあることから、ソイフリーの動きも大きくなっていることも着目すべき点です。

 

問われる安全性


従来からある乾燥の大豆ミートでも、市場の多くのものが大豆搾油後の残渣物である脱脂加工大豆を主原料としていますが、安価に出回っているものは輸入依存の遺伝子組み換えの大豆が多いとも言われています。

その大豆ミートをさらに加工、味付けして作られている生肉風の商品は、見た目は生々しくリアルで焼いた時の食感も風味も肉そのものです。パッケージにはヘルシーさや環境配慮、フードマイノリティへの貢献を打ち出していますが、成分表示をよく見ると食品添加物や化学調味料の表記が見受けられます。

肉を食べたくても、環境や動物愛護、宗教上の禁忌、健康問題等で食べられない人にとってはとても嬉しいもので、マクロビオティック食やヴィーガンへの移行期には、食べた満足度も高く有難いものかもしれませんが、あくまで嗜好品のひとつです。

市販品の成分や原材料は、本人の意識次第で確認し選ぶことはできますが、外食やテイクアウト、デリバリー商品などにおいては目に見えないため、特に気を付けたいものです。食で重きを置きたいのは、おいしさは勿論ですが、なるべく「自然」であり、安全性についてもエビデンスのあるもの。

命を培い私たちの心身を作る食べ物は、原料や工程などの背景、作り手の想いや愛がとても重要であり、単なるカロリーや栄養素ではないということを忘れてはならないと思います。高加工品はたとえ植物性由来であっても腸内環境を悪化させます。

 

日本から世界へ誇れる代替肉の可能性


仕事柄、たくさんのプラントベース商品に触れたり、開発や飲食店の現場に関わる中、思うのは、日本の技術を持って、もっと本質的でよいものが作れるはずであるということ。

たとえば古くは縄文時代から品種改良されることなく食べられてきた「雑穀」。生命力が高く寒さの厳しい環境下や荒地でも育つ雑穀は、一物全体食であり、栄養バランスの優れたスーパーフードです。

穀類であるため、つなぎなしで成形しまとまる利点もあり、食感を生かして肉や魚などのテクスチャーと味わいを作ることができます。

国内の雑穀生産者は年々減少しているため、継続して安定購入してもらうことが何よりの支援になるのだと聞きました。

未利用の海草やきのこも十分な代替になりますし、豆腐やこんにゃくを凍結後解凍して使えば、シンプルに肉の食感を生み出せたり、高野豆腐や車麩なども消化のよい良質なたんぱく源としてマクロビオティック料理では周知のこと。

足下にある昔から食べられてきているものに再注目することは、日本の生産者を支援し次世代に繋ぐための一助となり、食料自給率を上げることになります。

 

桜沢如一先生が唱えた自然法則


地球環境配慮や動物愛護意識からも、まだまだ植物性(プランドベース)の代替品は増えていくでしょう。その流れの中、消費者の審美眼と知識が必要で、プラントベース=ヘルシーという謳い文句を鵜呑みにせず、楽しみとしての嗜好品であるということを忘れずに、また、食べ合わせや消化を補助するマクロビオティックで培った食べ方の知恵を取り入れていただきたいと思います。

「人間は食物によってのみ生まれ生存し、活動することができるのですから、まず自然な食物をとるように心がけ努力しなくてはなりません」

これは桜沢如一先生が書籍「宇宙の秩序」で唱えた言葉です。

不自然なものが溢れる今、食の本質と、本当の意味でのヘルシーやサスティナビリティに目を向け、消費者として、代替肉の取り入れ方や選び方について考えてくださることを願っています。

 

【参考】
「食育入門〜食育を正しく伝える人になる。」(食のエスプリシリーズ) 監修:服部幸應(発行:YAGUMI)
雑誌「vesta」 125号「世界の豆食文化」 雑誌「vesta」 108号「肉食と人」(発行:味の素 食の文化センター)
「人類はなぜ肉食をやめられないのか: 250万年の愛と妄想のはてに」 著者:マルタ・ザラスカ 訳:小野木明恵(発行:株式会社インターシフト)
報告書 LESS IS MORE 少なくすることは、豊かになること「 肉・乳製品を減らして暮らしも地球も健康に」
(2018年3月グリーンピース・インターナショナル発表の日本版)
Tokyo Vegan 「ヴィーガン代替肉30社!フェイクミートや疑似肉、もどき肉の種類とメリット&デメリット」 https://tokyovegan.net/plant-based-meat/

 

千葉芽弓/ちば みゆみ
ベジフードプロデューサー。Tokyo Smile Veggies主宰。Vegewelプロデューサー。マクロビオティックわの会メンバー。沖ヨガを通じてマクロビオティックと出会う。現在は"日本の伝統とナチュラルヴィーガンフードを未来に繋ぐ"をミッションに、飲食店や製品の企画・プロデュースならびに食育活動を行う。
https://www.vegemiyu.tokyo/

 

 


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