日本CI協会はマクロビオティックの創始者桜沢如一によって創設された日本で最も歴史のあるマクロビオティックの普及団体です。

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『月刊マクロビオティック』2022年9月号特集

特集 無双原理の再発見 読書の秋

日中の暑さも和らぎ静かに秋の気配が近づいています。過ごしやすい陽気となり、落ち着いて本を読むには良い季節となりました。私たち編集部の月並みな発想ではありますが、秋といえば読書です(笑)。

古今東西を問わず様々な本の中から、「マクロビオティックに関係がありそうな記述を探してみよう!」という発想から生まれた本企画。思想、文学、随想から絵本に至るまで、様々なジャンルの中から、それを探し出すのは容易ではありません。無双原理の原点「陰・陽」、また「一物全体」、「身土不二」といった中心的な考え方を、まったく異なる新鮮な視点から表現されているものもきっとあることでしょう。

無双原理の提唱者、さらには本誌創刊者でもあった桜沢如一もまた、芸術家、科学者、武道家、宗教家といった、様々な分野の人々と盛んに交流があったと聞きます。これはマクロビオティックが単なる食事法・健康長寿法に止どまるものではないということを物語っています。

そこで、マクロビオティックの実践者なら、かつて読んだ本の中に無双原理に関連、または呼応するような意外な記述を発見したという経験もお有りではないかと考え、2010年7月から5年半という長きに渡り本誌連載記事をご執筆いただいた「本のソムリエ」の団長さんをはじめ、クッキングスクール リマ認定インストラクラーの鈴木直子さん・鎌田紘実さんにもご協力を仰ぎました。読書はけっして知識を蓄積するためだけのものではありません。そうした読書体験は思いがけない発見に満ちています。ゆえに読書は愉しいものだと言うことができます。マクロビオティックを見つける読書の秋を愉しんでいただければ幸いです。


※ご紹介した書籍は一般書店や各種ネットショップでお求めください。

 

本の森に遊ぶ

一里塚華劇団リーダー・本のソムリエ 団長


2016年12月号にて本誌連載コラムが終了して以来、久しぶりの登場です。面白いもので、連載中よりも、むしろ終えた以降の方がマクロビオティックのことを考える機会が増えた気がするんですよね。日々、本を読みながら、「これはマクロビオティックに通じるものがある」とか、「マクロビオティック目線で読むと、まるで違う印象になるかも!」といっ
た具合に、折にふれ、脳裏をよぎります。そこで今回の特集では、ぼくがこの6年の間にマクロビオティックを感じた本の中から、選りすぐりのものを紹介したいと思います。

ぼくは全国の幼稚園や保育園、小学校で絵本の読み聞かせをすることがあります。絵本選びの基準をお伝えすると、楽しいのは当然のこと、何か考えさせられる要素が少しでも入っているものが好きなんですよね。たとえば「なにをたべてきたの?」(岸田衿子著・イラスト:長野博一/佼成出版社)です。

子どもの頃に読んだときには、ブタさんがリンゴを食べるとお腹の中に赤色がつき、メロンを食べると緑色がつき…といった、見た目の変化、それとオチが面白かったんですよね。でも、大人になってから読んでみると、すごく大事なことを伝えていることに気づかされました。それは、「体は自分が食べたものでできている」ということです。当たり前すぎることかもしれませんが、その当たり前を真剣に考えて、大事に食べている人が、一体どれくらいいるでしょうか?

もし、自分のお腹の中が外から見えて、自分の食べた物が陰陽表のように色づけされていくのならば、どうでしょうか。毎日コンビニ弁当ばかりを食べているような人たちでも、きっと意識が変わるはず。だって、身体に悪いものばかり食べていたら、お腹の中はどんな色になるのか…想像するだけでもコワイですよ(笑)。

でも、残念ながら、お腹の中は見えないので、多くの人は体調が悪化した時に初めて気づくことになるわけです。この絵本は、生きていく上で大事なことを楽しく、わかりやすく伝えてくれて本当に勉強になります。子どもたちに食べることの大切さを教えていく際にも重宝します。ぜひご活用ください。

そういえばある日、「『身土不二』は食べ物に限った話ではない」と思ったんですよね。たとえば、文学を理解しようとするならば、ただ本を読むだけでなく、作者の生まれ育った国や町、作品の舞台を実際に訪れてみて初めてわかることがある。これっていわば、「経験の地産地消」ではないかと。現地の空気に触れる。人々と接する。そして、本の登場人物たちと同じものを食べてみる。その結果、鮮度抜群の読書経験が可能になる。海外はもちろん、国内でも、文学の舞台となったところを訪れる中、強く実感していった次第です。

そんな行先のひとつで思い出深いのが、スイスです。おなじみの世界的なベストセラー、「アルプスの少女ハイジ」(ヨハンナ・シュピリ著・訳:松永美穂/角川文庫)。日本の国民的アニメと呼んでもいいくらい人気のハイジですが、原作本を読んだことがない、という方が非常に多いのが残念なところ。ハイジファンなら絶対読んだ方がいいです! ファンじゃなくても読んだ方がいいですが(笑)

 

というのも、この本、マクロビオティック的目線で見ると、非常に実りが多いからです。たとえば、ハイジが育つスイスの山村では、身土不二は当然のこと。ハイジは、明るく元気に、すくすくと育ちます。しかし、ドイツの大都市フランクフルトの裕福な家庭に奉公に出た後は一変。みるみる元気を失っていきます。質素で厳しいスイス時代とは比べものにならない、快適な住環境の中、豪華な食事をとっているにもかかわらず、です。なぜでしょうか? フランクフルト
での日々とともに、ハイジは心身のバランスを崩していきますが、アニメではホームシックが原因のように見えます。しかし、実際はそんな生半可なものではありません。本当の原因は食事であり、生活環境でしょう! 例えるならば、日本的な一汁一菜の日々から、急に西洋的な脂こってり肉食へと変わったらどうなるのか、ということです。一見、何もかもが不足しているスイスの田舎は、実は満ちていて、全てが整っているはずの大都会フランクフルトこそが、大事なものが欠落している。身土不二の価値、そして、土地の持つパワーを痛感させられるエピソードで、現代の整いすぎた生活への警鐘とも受け取れます。

ちなみに、ハイジファンの間では、物語で登場する食べ物、人気が高いんですよね。特に「白パン」とか(笑)。ハイジたちがいつも食べている硬い「黒パン」はライ麦パンです。ぼくもスイスで毎日のように食べましたが、まさに「身土不二」の代表派。保存が利いて、栄養価が高く、現地における完全食に近い存在です。一方、人気の「白パン」はやわらかくて食べやすい、まさに都会のパン。例を挙げればキリがないほど、何かと好対照であり、陰陽の宝庫です。原作はアニメと異なる点もかなり多く、いろいろな意味で考えさせられますし、楽しめます。ぜひ読んでみてください!

身土不二に触れるなら、外せないのが、俳優としても活躍する世界的なダンサー 田中泯さんです。「ユリイカ2022年2月号 特集= 田中泯 ムック」(青土社)を読んでいただけばわかりますが、まさに「人間身土不二」と呼ぶべき存在! 田中さんの踊りは「場踊り」という他に例を見ないもので、決まった振り付けや型がなく、その場その場に応じて生まれます。そして、その踊りの原点となるものが、農業。田中さんは山梨の田舎で、農作業に勤しむことで、ダンサーとしての基盤が築かれていると語ります。筋力トレーニングで作られたものとは違う、リアルな筋力。ほぼ自給自足の生活。77歳となった今も、現役で踊り続け、活躍し続けられるのにも納得。大地とつながったエネルギーの大きさを
感じずにはいられません。尚、田中さんの日々を追ったドキュメンタリー映画「名付けようのない踊り」が今年公開になりました。ぼくは2回見ましたが、見るたびに発見があり、おすすめです。

そういえば、以前の連載時、桜沢先生の著書「ゼン・マクロビオティック」を紹介しました。原稿を書きながらふと脳裏をよぎったのが、「ただ坐る」(ネルケ無方著/光文社新書)です。著者はドイツ生まれの生粋のドイツ人でありながらも、座禅に魅了され来日。ついには、兵庫県の山奥にある安泰寺という禅寺で、長く住職を務めるほどに。安泰寺は檀家を持たず、座禅中心の日々を送るべく、厳しい自給自足の修行生活で知られています。身土不二の精進料理もさることながら、本書に出てくる問答が印象的。以下、引用します。

 

『参禅者たちによく聞かれます。「坐禅をして何になりますか?」。実は答えは極めて簡単、「何もならない」です。「何にもならない」からこそ、坐禅がいいのです。(中略)坐禅しても、修行しても何もならないというのは、先ず見返りなど何も期待してはならないということです。志のない人が目の前にぶら下がっている人参をいくら追い続けても、結局はそれを得られません。坐禅にしても、人生にしても、挫折・幻滅して辛い思いをするのは周りがそうさせているのではなく、本人が全身全霊を打ち込まず、見返りばかり期待していることが原因である場合が多いのではないでしょうか』。

この言葉に、思い当たることがたくさんあります。マクロビオティックを含め、何かを実践しようとして挫折する人の多くは、これに該当するのではないでしょうか。すぐに成果が出ることを期待して何かに飛びついても、悲しいかな、思ったようにはなりません。座禅の中に、マクロビオティックの息吹が感じられる、実に示唆に富んだ一冊です。

最後に、「ふたりの兄弟」(レフ・トルストイ著・訳と文:本のソムリエ団長・イラスト:和全/大盛堂書店)。世界の文豪トルストイの民話をぼくが翻訳したものですが、タイトルどおり、兄と弟の物語。そして、この二人の生き方が、陰陽の法則そのものなんですよね。同じ屋根の下で、同じものを食べて育った兄弟であるにもかかわらず、まるで正反対のような性質に育つことは、決して珍しくありません。言うなれば「無意識の陰陽の法則」が働くのではないかと、ぼくには思えます。兄弟や家族でバランスを取り合ってしまう、というか。短くてシンプルな物語の中に、人生を深く考えさせられることから、本書を社員研修に採用している企業もあります。家庭での読み聞かせはもちろん、ご自身の人生を考えるにあたっても役立つ一冊です。

マクロビオティックとは直接関係のない本のようでありながらも、実は大いに関連していたり、役立つものは数多くあります。皆さんがよき読書を通じて、ますますステキなマクロビオティック生活を送られることを心より願い、応援しています!

団長/だんちょう

ロックバンド「一里塚華劇団」リーダー、NPO読書普及協会・専任講師、文部科学省「青少年のためのオーサービジット」講師、シブヤ駅前☆読書大学校長など多くの肩書を持ち、海外でも幅広く活躍しながら、年間1,000冊以上の読書を楽しむ異色の本のソムリエ。ラジオDJコラムニスト、講演&教育活動、食文化研究家、翻訳家としても活躍中。著書は「年間1000冊以上の読書を楽しむ本のソムリエ団長の読書教室」、「夢は見つかる。必ず叶う! ―今、あなたに
伝えたいこと」など。

 


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