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『月刊マクロビオティック』おすすめ記事
コラム:桜沢如一のコトバに学ぶ
「怒りとは「奴れい」の心」
日本CI協会刊「マクロビオティック誌」連載
2017年10月号掲載(第85回目)
寺子屋TAO塾代表 波多野毅
決して怒らない。何でも大きな喜びをもって受け取る。どんな六かしい事でも、どんな不幸な事でも。むしろ、大きな不幸、大きな苦しみほど大きな喜びと感謝をもって受け取る。朝から晩まで、口をついて出る言葉が皆「有難う! 有難い!」の心を込めている心境。(中略)怒りという字は「奴レイの心」と書く。健康の七大条件の第五は「絶対に怒らない」「いつも、ニコニコしている」ことであるが、それは上べだけのニコニコでなく、心からの喜びの嬉しさの表現を一生続ける人のニコニコであることは申すまでもない。(「健康の七大条件」)
「このハゲ〜! 違うだろー!」。ある女性国会議員の怒りを爆発させた秘書へのパワハラ暴言が連日マスコミを賑わしている。かつて、人気のニュースキャスターやサッカー選手が、怒りを抑えきれずにタクシー運転手に暴行した事件があったが、彼女もまた今後社会的制裁を受けるに違いない。
これらは少し極端な例ではあるが、自分の思い通りにならないことで、イライラしたり、カッとなってしまった覚えのある人は多いだろう。
桜沢は健康の七大条件をこう言う。
@疲れを知らないAよく眠るBご飯が美味しいC決して怒らないD決して物忘れしないE万事スマートF決して
嘘をつかない。つまり、怒る人は不健康な状態にある証拠であるというのだ。
東洋医学の「五行」の見地では、怒りの感情は「肝」と関連すると考えられている。怒りは、肝臓の不調をきたし、逆に、肝臓にトラブルがあると、怒りっぽくなる。肝臓が弱ると、涙が出たり、爪が欠けやすくなったり、眉間のシワとして表面化する。眉間のシワは不機嫌顔の象徴。暴飲暴食を避け、肝臓への負担を減らす必要がある。近年は、キレる人達の食生活の関連性も研究され、砂糖や食品添加物にまみれたミネラル不足の食事が問題視されている。
腹が立ち、頭にきそうな現象も「あ、そう」と軽やかに受け止め、「これでいいのだ」と前向きに肯定し、「有難う」と感謝できるかどうか、天の健康チェックが日々試されている。
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波多野 毅 /はたの たけし
1962年熊本県生まれ。一般社団法人TAO塾代表理事・熊本大学特別講師。修士論文のテーマは「食の構造的暴力と身土不二の平和論」。鍼灸学生時代、日本CI協会、正食協会にてマクロビオティックを学び、93年Kushi Institute勤務。著書に「医食農同源の論理」「自遊人の羅針盤」など。
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※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。