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月刊「マクロビオティック」磯貝昌寛の正食医学

磯貝昌寛の正食医学

 

第82回:食物と人間と社会

生老病死

1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災。震災後、仮設住宅が造られ、行政は優先的に高齢者や障がい者に入居してもらったといいます。身寄りのない高齢者や障がい者にはありがたい措置だったようです。ところが数年後、仮設住宅の街は高齢者と障がい者だけになってしまい、一人ひとりが孤立し、淋しい町になってしまったというのです。

当時の行政担当者は「当時の判断として、これ以外に思いつくことがなかった」と言っています。確かにそうかもしれません。明治以来の教育によって、社会は画一化されてきました。軍隊も経済も規格化されてコントロールされてきました。学校教育でも、暗記力に偏重した偏差値重視で学校が規格化されました。

多様な人間関係を築くべき年頃に、同種同年代の人間としか交流できない社会を作ってしまったのです。

仏教では人の一生を「生老病死」と云います。生きて、老いて、病んで、死んでいくという解釈もありますが、もうひとつには、人は赤子から老人まで、病人から死の淵の人まで、人間という人間すべて、供に生きて活きていく、という意味にも捉えています。

人間は同種同族で固まりやすいものです。もちろんこれらを否定するものではありませんが、教育によってそのように「させられている」という面が多分に強いことを認識しなくてはなりません。

 

多様性と同調性

社会は多様性と同調性の調和によって成り立っています。

隣に住んでいる人であっても食べ物が違い、仕事が違い、生活スタイルが違えば体質や気質は大きく違います。
冷え性の人もいれば、暑がりの人もいます。すぐにカッとなる血の気の多い人もいれば、冷静沈着でクールな人もいます。日本人の中でも陰陽様々な人が多様性の中で暮らしています。

一方で、アフリカ人やインド人が日本人を見ると「みんな同じ顔をしている」といいます。私たち日本人も外国の人を見て、同じ民族の人たちは皆同じに見えて峻別がつかないことが多々あります。もちろん見慣れていないということが大きいのですが、民族は長い間、同じ環境下で同じ傾向の食べ物を食べてきたことで、確固たる同調性を得たのです。

多様性と同調性は、カメラのズームのように、人間同士を縮小的に観るか拡大的に観るかの違いであるといえます。地球の人たちを月から眺めれば、同じ星に住む、みな同じ地球人です。

今、死の淵にある人も、生を受けたばかりの赤子も、ズームインして観れば陰陽大きな違いがあります。ところがズームアウトして観ると、次の段階へいく生と今の段階が始まったばかりの生の違いでしかありません。

多様性の社会の中を同調的に生きていくことは、難しいようですが、実は簡単なことです。命を大きく広くみることに尽きるのです。

 

食物と人間

「人は食べ物のお化け」と桜沢如一は云いました。

人は食べ物によって生かされています。一生涯、一切の食べ物を食べずに生きる人はいません。食べ物の質が私たちの体質を決めます。ここでいう食べ物とは、今現在食べている食べ物だけではありません。両親やご先祖が食べてきた食べ物も体質に大きな影響を与えています。両親やご先祖の食べてきた食べ物と、今、私たちが食べている食べ物の質が絡まり合って私たちの体質を形作っています。

「日本の女性は世界で一番美しい。10代では外国の方もきれいだけれど、20代、30代以降になると圧倒的に日本
人の方がきれいだと思います」。皇后・美智子さんのデザイナーを務めたことで有名な故・植田いつ子さんの言葉です。私はデザイナーである植田さんのことはまったく知らないのですが、非常に興味深い発言だと思い、書き留めました。

日本の女性は年をとってもとてもきれいであるということは、外国と何が違うのだろうかと考えると、やはり食養的に考えるのですが、食が違う。

私たちヒトを含めた動物は食物を通して土、水、光( 太陽)のちからをいただいて生かされています。お米は一般的には水田で作られます。お米は水田のエネルギーをいただいて育つわけですが、水田は畑と違って水を溜めておくことができるすばらしい力を持っています。水田の土は保水力のある強い粘土質です。この粘土質からできるお米やレンコン、水田ゴボウ等はとてもすばらしい保水力を持っており、さらにそれを主にいただく日本人の肌( 細胞)は保水力があり瑞々しい。植田さんの発言を新聞で読み、私は即座に日本人の主食であるお米と日本人の美しさに想いが巡ったわけです。

お米だけでなく、水田でできるレンコンや水田ゴボウにも肌の保湿力をアップさせる力があります。化粧品の謳い文句にも「肌に潤いを持たせ」「お肌の瑞々しさをよみがえらせ」などと数多く書かれています。瑞々しいということは、美しさの必須条件であるわけです。瑞穂の国といわれる日本の風土はまさに瑞々しく、美しい女性を産み育てる風土であるのです。この日本の風土から作られたお米をいただくことが本当の美しさを醸し出すと、植田さんの記事を読んで改めて思いました。

 

食物と社会

養鶏にはゲージ飼いと平飼いがあります。ゲージ飼いは狭いゲージの中にニワトリを入れて、食べて飲ませて卵を産ませます。ニワトリにとってはものすごくストレスのかかる飼育法です。人間であれば一生涯カプセルホテルに閉じ込められるようなものです。

一方、平飼いは、ニワトリをある一定の広さのある場所で放し飼いをして卵を産ませる飼育法です。日本養鶏協会
の定める平飼いの基準は、一坪あたり15羽以下となっています。これを多いか少ないかと考えると、自然界から見れば異様な風景ですから、やはり家畜そのものが不自然なわけです。

私が幼い頃、父が一時平飼いの養鶏をやっていたのでよくわかるのですが、平飼いであっても自然環境からみれば
過密な環境ですから、ニワトリにとってはストレスがかかっているのです。ゲージ飼い、平飼いというのはニワトリにとってはストレスの強弱であって、自由というわけではないのです。

平飼いのニワトリに強いストレスがかかると、よくあるのがニワトリ間の「いじめ」です。弱いニワトリのお尻を突つくのです。いじめがエスカレートすると出血するまで突つき、突つかれたニワトリはストレスで毛が抜け、栄養失調で亡くなってしまうことも珍しくないのです。

これはひるがえって人間社会にも云えることですが、私たちは平飼いのニワトリと同じようなことをしているのです。ニワトリ社会においても人間社会においても、生育環境の過密さ(あるいは仕事環境)が根底にあるのです。そして、画一化された社会が、現代の過剰な肉食を支えているのです。

 

プロフィール

磯貝昌寛/いそがい まさひろ

1976年群馬県生まれ。15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。食養相談と食養講義に活躍。「マクロビオティック和道」主宰。

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