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月刊「マクロビオティック」磯貝昌寛の正食医学

磯貝昌寛の正食医学

 

第104回:感染症の食養手当て法

 

感染症と生活習慣病

新型コロナウイルスという感染症を見ていると、生活習慣病との関係が深いと多くの人が気づくのではないでしょうか。

ガンや糖尿病などの生活習慣病を抱えている人は免疫力が低下しやすく、感染症に罹りやすいと、今回の新型コロナウイルスが証明しています。2020年5月18日付の産経新聞には「肥満 重症化リスク( 新型コロナウイルス)」という見出しで、「集中治療を受けた感染患者の7割以上が肥満体質だった」と報道しています。ではなぜ、生活習慣病を抱えていると感染症において重症化してしまうのでしょうか?

私たちは、病気が顕在化すると様々な症状が体と心に出てきます。「発熱」「せき」「吐き気」「下痢」「痛み」「不安」などといった症状は珍しいものではありません。「発熱」は病原菌や病原ウイルスを熱死( 食養では浄化と考えています)させようという体の反応です。しかし、その発熱があまりに強いものであると、私たちの体は衰弱死する可能性も
あります。ある面においては、細菌やウイルスが熱死するか、私たちが衰弱死するか、「我慢くらべ」でもあるのです。

「せき」「吐き気」「下痢」は病原体を体外に排泄させる生理的な自然な反応です。「痛み」や「不安」も体と心を強制休息させる自然な反応なのです。発熱以外のこれらの反応も、病原体が排泄されるか私たちが衰弱死するか、これもまた「我慢くらべ」なのです。

感染症が流行し、私たちが「我慢くらべ」を強いられた時に、私たちが生活習慣病を抱えていたら、「発熱」や「せき」などの症状は想像以上に大きいものになります。

2020年5月4日付の産経新聞の一面に「コロナ重症化 免疫『暴走』が招く」という見出しで以下のような記事が掲載されていました。

「新型コロナウイルスの患者が重症化し、生命を脅かす重い肺炎を引き起こすのは、自分を守るはずの免疫が過剰に働くことで起きている可能性が判明。( 中略)ウイルスは全身の臓器に侵入してさまざまな症状を引き起こすとみられる。( 中略)なぜ致死的な肺炎に至るのか。( 中略)免疫がウイルスを打ち負かそうとするあまり、過剰に働き、いわば暴走して炎症が広がり重篤化する可能性を突き止めた。( 後略)」

関節リウマチや膠原病、潰瘍性大腸炎、クローン病など自己免疫疾患といわれる疾病は、現代社会にはあまりに多く存在します。自己免疫疾患もコロナで重症化するのと同じように自らの細胞が自らの細胞を過剰に攻撃する、いわば体内で細胞同士の内乱が起こっている状態です。

自己免疫疾患もその原因をみていくと食と生活に行きつきますから、生活習慣病のひとつです。内乱状態の体にあらたな火種が落とされれば、私たちは体と心がオーバーフローしてしまいます。新型コロナウイルスで重症化したり、命を落としてしまうのは、健康の余力がないということなのです。

感染症流行時に「3密を回避」することは重要でしょう。それ以上に大事なのは、個々人の血液や細胞をキレイにし、免疫力を高めておくことです。さらには闇雲にクスリ( 西洋薬、化学薬)を使用して先に挙げた「発熱」などの症状を早急に消さないことです。身体に引き起される症状には意味があります。

病原性大腸菌O-157に感染して下痢止めを服用すると、毒素が排出されないため症状が重くなり、死亡率が高まることが知られています。米国カリフォルニア州の内科医カレン・スターコ博士は、スペイン風邪の死者が激増したのは、アスピリンによる解熱作用も関与しているとする論文を2009年に発表しています。(「感染症の世界史」石弘之著より)

 

感染症の食養手当て法

新型コロナウイルスが蔓延するといわれる社会からは多くの気づきが与えられます。

戦後の社会は自由主義経済のもと、多くの国々で食糧が増産されて飽食となり、工業製品も大量生産されて物質的に豊かになりました。車や電車、飛行機などの移動技術が向上し、石油などのエネルギーの効率化によって、人間は地球上のどこにでも簡単に行くことができるようになりました。金さえあれば人間はどこへでも行けて、何不自由なくできるような、そんな錯覚を持てる社会を創り出してきました。自由主義経済は開放系社会を構築する上ではとても便利な社会システムだったのです。

ところが、今回の新型コロナウイルスのような病原ウイルスがひとたび蔓延すれば、開放系社会だけあって世界中が病原ウイルスに戦々恐々とさせられる社会でもあったのです。マクロビオティックを提唱した桜沢如一は、無双原理のひとつに「オモテ大なれば、ウラまた大なり」といっていますが、まさに今の社会も大きな自由というオモテのウラには大きな不自由というものがあったのです。いや、それだけではありません。現在の社会では、新型コロナウイルスで亡くなるよりもずっと多くの人々がガンなどの生活習慣病で亡くなっているのです。多死社会といわれて久しく
なりますが、多くの人々が食と生活の間違いからくる病気で亡くなっているのです。

感染症もその実態をつぶさに見ていけば生活習慣病といっても大きな間違いはありません。キレイな血液では病原ウイルスは繁殖することはないのです。むしろ、病原ウイルスは血液の汚れを浄化しようとしていると東洋医学では考えています。発熱するのは体の中で燃やさなくてはならない毒素があるのです。痰が絡むのは、体の中で白血球が病原菌や病原ウイルスを浄化し、その残りかすが痰として排泄されているのです。咳も同じように白血球の血液浄化活動の副産物が肺から熱を放散させているのです。

食養ではこれらの症状を抑え込むのではなく、体の浄化反応に寄り添って排毒を促し、新しい血液を造る手助けをしてあげるのです。例えば、発熱があれば体の中で燃やさなくてはならない毒素があるわけですから、飲み物や食べ物でそれらの毒素の分解を手伝ってあげるのです。食養手当て法で発熱の排毒を促す一般的なものとして、シイタケスープやダイコン湯があります。干しシイタケの煮出した汁は体の中の不要な脂肪分を分解するのにとても役立ちます。ダイコンもたんぱく質を分解する力が非常に強く、その力を最大限引き出す方法としてダイコン湯があります。ダイコンおろしを主にショウガおろしを少々加え、好みで醤油味をつけて熱々の三年番茶を注いだものです。三年番茶の代わりにシイタケスープを注いでもいいでしょう。

痰の切れが悪い時は、玉ネギや長ネギ、ニンニク、ニラなどのネギ科の野菜を多用するとよいでしょう。ネギ類は五
葷( 臭気の強い五種の野菜)ですから、避けたい人はショウガやコショウ、サンショウなども痰の毒素のもとになっているものを解毒分解してくれます。

咳においては、肺炎のような強い炎症が肺にある時は、胸からまたは背中からサトイモパスターを貼るといいでしょう。サトイモパスターを貼る前にキャベツやコマツナなどの葉っぱを胸や背中に当ててみて気持ち良いようならばサトイモパスターを貼ってみてください。キャベツやコマツナなどが気持ちよくない場合は、お腹を湯たんぽで温めるだけでも咳が楽になる場合もあります。

食に気を付けることは一見すると小さな( ミクロ)なことですが、食こそ命であると気づくと食こそ大きな(マクロ)ことであると思い至ります。食に気をまわすことは一見すると不自由なことのようですが、食こそ命であると気づくと、食に気をまわさなければ自由はないと思い至ります。

そんな気づきを与えてくれたのも新型コロナウイルスです。

 

プロフィール

磯貝昌寛/いそがい まさひろ

1976年群馬県生まれ。15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。食養相談と食養講義に活躍。「マクロビオティック和道」主宰。

 

 

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