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月刊「マクロビオティック」磯貝昌寛の正食医学

磯貝昌寛の正食医学

 

第126回:食養指導録 排毒を促す食養生

 

カギとカギ穴

カギとカギ穴説という理論があります。さまざまな酵素にはそれぞれ固有のはたらきがあるといいます。酵素であればどんな酵素でも万能的に何でも分解( 消化、吸収、排泄)するわけではないのです。

人間に相性があるように、食物同士にも相性があります。生魚の刺身には大根のツマやワサビがつきます。焼き魚には大根おろしや生姜おろしが付きます。ステーキには茹でたジャガイモが付き、焼き肉には擦りおろしニンニクが付きますね。これらも相性のひとつです。鍵と鍵穴説というのは、ある種のタンパク質には特定の消化酵素でないと分解しにくいことを化学的に説いたものです。タンパク質を分解することを開錠に見立てたわけです。

人間は今食べたものが血液になる経路と、過去に蓄積した脂肪やたんぱく質が再び血液になる経路を持っています。二つの造血作用をあわせ持った存在が私たち人間です。日常、よく動いて食欲があり、しっかり食べている人は今食べたものを血液にする力に満たされています。ところが、食欲がなく、動くこともできない、いわゆる病気の時(排毒反応)には過去に蓄積したモノを血液の原料とします。

新型コロナウイルスを含め、様々なウイルス性の風邪は過去の動物性食品で造られたタンパク質から発生したものだと食養では考えています。体にとって親和性のないタンパク質はさまざまなウイルスに変化しやすい。ウイルスはタンパク質を排泄するプロセスで発生したものと考えています。世間ではウイルスは嫌われモノの代表格ですが、生命現象からすると大変ありがたいものです。体に蓄積した不要物の掃除をしてくれているわけですから、嫌うどころではありません。風邪が流行ったら大歓迎しなくてはなりません。そして、過剰で不要なタンパク質を分解排泄してく
れるカギに見立てた食物を上手に摂っていくことが食養生ではとても大事なことなのです。

 

排毒を促す食物

北欧や東欧では、冬になるとニンニクをネックレスにぶら下げる風習のある地域があるそうです。ニンニクの香り成分を常時かぐことで風邪予防をするというのです。一方、日本では、風邪の時に、長ネギを丸ごと焼いて布で包み、喉に巻きつける民間療法が各地でありました。長ネギの香り成分と焼いたことによる熱でからだを温めていました。

ニンニクとネギは元々インド原産のネギ属で、先祖は同じものです。時代が進み、西に渡ってニンニクとなり、東に渡って私たちになじみ深い長ネギとなりました。

ネギ属の大きな特徴はタンパク質の分解であり、血液の浄化です。ネギ属に含まれる硫化アリルという成分は血液の流れを促進することがわかっています。鼻づまりにもよく効きます。生姜、大根、長ネギは、日本人にとってとても相性の良いタンパク質分解酵素をふんだんに含んでいます。第一大根湯に刻んだネギを入れて摂るのもよいです。番茶の代わりに干し椎茸スープや干し椎茸と干しマイタケのブレンドスープを注いでもよいです。

鼻づまりがひどい人は、長ネギの白い部分を縦に包丁をいれて内側を肌に接するように付けてもよいでしょう。過去に乳製品や肉、卵をたくさん食べてきた人は、ネギもよいのですが、特にニンニクが体に合っています。ニンニクとネギを食べ比べるとニンニクの方が断然おいしい、という人は乳製品や肉、卵で造られた細胞や組織を排毒していると考えられます。穀菜食をしていると時に、消化分解力の強いネギやニンニク、香辛料などの食品を異常と思えるほ
ど欲することがあります。うどん等の麺類に七味唐辛子や一味唐辛子を真っ赤になるまでかける人もいます。そんな時には排毒反応をおこしている場合が多々あるのです。

 

欲求を陰陽で見る

熱、咳、痰、体の痛み、心理的不安など、体と心に起こる症状の多くは排毒反応です。毒素を排出することは心身を調和したものへと向かわせますから、排毒反応は調和反応ともいえます。同時に、体の弱い部分を知らせてくれてもいますから、警告反応でもあります。身心に反応( 症状)が出ているときは、排毒を促してあげることと弱い部分の強化を考えなくてはなりません。

体も心も飽和状態の時は排毒を促す食や手当て、運動がメインになります。一方、風船がしぼんだような虚弱状態の時であれば、食や手当て、運動でエネルギーを補うなど、症状に応じた対応が大切です。

大森英桜は5つの体質を考案し、それぞれの体質や体調にあった食べ方を提唱しました。桜沢如一が提唱したマクロビオティックは陰陽を臨機応変・縦横無尽に活用することです。大森はマクロビオティックの思想を心底理解したからこそ、5つの体質論を確立することができたのではないかと思うのです。

5つの体質論は、決して固定的なものではありません。

人は常に安定した状態を求めて生きています。健康を求めて生きていると言っていいでしょう。大酒をくらったり、暴飲暴食、薬物乱用であっても、その行為の中には心身の自然な反応が隠されているのです。

身心の欲求には何らかの意味があります。欲求にすべて応えてよいというわけではありませんが、欲求を否定しない、という姿勢が大事です。チョコレートや砂糖菓子を求める心身を否定せず、なぜ求めるのだろうか? という姿勢が大切です。そして欲求にも二通りあることに気づきます。陰陽の求め合う欲求と中毒的欲求です。

マクロビオティックな生活が長くなってくると、砂糖を使った甘いお菓子が食べたい、コッテリした肉料理が食べたいという欲求が薄くなってきます。ごはん、味噌汁、漬物を日々繰り返していて満足してきます。簡素な食事の方が心地よく、有難くなってきます。こういった体に成れば、何を食べても病気にもならず、心身が乱れることもないものです。自由な体と心ですから、何をやってもありがたく、おもしろい。

正食を長く続けて「何を食べても大丈夫」という状態では、世間で持て囃されるようなグルメな食事を求めることはないのです。陰陽に大きく偏らず、中庸な状態です。中庸になると、偏っていたことが学びであったのだと、偏りそのものに有難さを感じるものです。中庸へ向かう紆余曲折な道こそタノシイものです。

食欲の陰陽を考えてみます。強い甘みを欲する時と塩気や高脂肪・高タンパクを欲する時、体の陰陽の状態はさまざまです。強い甘みを欲する時、体は陽性になっているのか、それとも砂糖中毒で類は友を呼ぶように甘みを求めているのか。体が陽性で砂糖を欲している時は生野菜、くだもの、炭酸水など穀菜食の中で陰性の強いものを摂れば落ち着くことがあります。中毒的欲求の時は逆に、ごま塩、鉄火味噌、味噌汁など陽性のものを摂ると不思議と甘みを欲さなくなることもあるのです。

動物性食品を欲する時も同じような塩梅です。体が陰性になって陽性の強い動物性を欲する時は、動物性食品の陽性さに近い、味噌料理や塩気を利かせた根菜や高野豆腐などを摂ると落ち着くことがあります。一方で、動物性を中毒的に欲する時は動物性食品の排毒を促す香辛料や陰性な野菜や果物を摂ると動物食の欲求がピタッと止まることがあります。

 

プロフィール

磯貝昌寛/いそがい まさひろ

1976年群馬県生まれ。15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。食養相談と食養講義に活躍。「マクロビオティック和道」主宰。

 

 

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