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月刊「マクロビオティック」磯貝昌寛の正食医学

磯貝昌寛の正食医学

 

第130回:食養指導録 コメ一粒と難病奇病

 

コメ一粒

小さい頃、明治生まれの曾祖母と一緒にいることが多かったのですが、食事の後のご飯茶碗に一粒でもご飯粒が残っていると「罰が当たる」とキツク注意されたことをよく覚えています。子どもながらにどんな罰が当たるのだろうか、と思っていました。それが、多くの人の食養指導をする中で、コメ一粒の罰というものがどんなものなのか、わかるようになってきたのです。

私の道場( 和道)では毎月断食合宿をしているのですが、その合間に泊まり込みの食養個別指導もしています。個別指導に来られる人たちは合宿についていけない人がほとんどですから、比較的病気の重い人が多いのです。歩くのがままならい人や付き添いがないと動けない人も多く来られます。国が難病指定している病気をいくつも抱えていたり、病名もつかない難病奇病の人も来られます。

これらの人たちをみていて共通するのが、食事の後のご飯茶碗やお皿にコメ一粒どころでなく、たくさんの食べ残しがあるのです。手指の動きが悪くて食べられない、という人もいるのですが、ほとんどの人が注意をすればきれいに食べられるようになる、ということは食べ残しが普段の習慣になってしまっているのです。子どもの病気の付き添いで来られた親や祖父母も食べ残しが習慣化している場合が多い。病気の本人だけでなく、無意識のうちに食べ残し、平気で捨ててしまっているのです。

そのような家庭で育ってくると、コメ一粒までキレイに食べるという習慣の方がむしろ奇異に感じられると言っている人もいました。

コメ一粒まで大事にするという習慣のない人たちや、その子孫に難病・奇病が多いという傾向があることに気づいてから、私はいろいろと考えました。その結論のひとつが、コメ一粒まで大事にできない人たちは、「本当の空腹」を知らないのです。それほどお腹が空かずとも、時間が来たら食べる、という感じなのです。飢えを知らないのです。食べ物のありがたさを知らないのです。

オートファジー( 自食細胞)理論では、細胞が飢えると古くなった自分の細胞の一部を食べて、新しいきれいな細胞に作り変えるといいます。コメ一粒まで大事にできない人たちはこのオートファジーの力が弱いのではないでしょうか。だから、古くなった細胞が積み重なって、難病奇病を引き起こしていたのではないかと思うのです。

昔の人はオートファジー理論は知らずとも、経験的、直感的に「コメ一粒」を大事にすることで子々孫々の健康を願っていたのではないでしょうか。

一事が万事、コメ一粒を大事にすることは、命そのものを大事にすることに繋がるのです。大和言葉ではコメは込命(コメ)、命が凝縮して込められている状態をさします。コメは命そのものなのです。その命を軽視し、ないがしろにしていると、病気というものが与えられて、気づきを促しているのではないかと思うのです。

病気は気づきです。生き方転換の気づきが病気だと思います。コメ一粒の罰というのは気づきであったのです。

 

コメ一粒からみえる世界

日本人にとってのコメは単なる食糧ではなく、命そのものだと私は感じています。明治生まれの曾祖母がコメ一粒を大事にしなければ罰が当たる」と言ったのは、「命を大事にしなさい」という戒めだったのです。私は多くの病気の人をみる中で、コメ一粒を大事にすることがいかに大切なことなのかを気づかせていただきました。コメ一粒への私たちの姿勢が、自分の病気だけでなく、子々孫々へ影響しているのです。不思議なことですが、本当のことだと思います。

日本人にとってのコメは中庸を代表する食物ではないかと食養(マクロビオティック)では考えています。コメを中心に食べていると陰にも陽にも偏らず、中庸を維持することがとても安易なのです。栄養学的にもコメ( 玄米)は、植物の中では飛びぬけて、必須アミノ酸やビタミン・ミネラルが豊富です。実際に食養指導を通して、コメを中心に食べて
いると心身ともに安定するのですが、コメが少なくなったり、コメを食べない食事を長く続けていると心身の問題が大きくなってくるのを数多く目の当たりにしています。

昨今流行りの糖質制限ダイエットではコメをほとんど食べないことを推奨しています。人によっては一時的効果はあるようですが、長い目で見たときの健康維持は大いに疑問です。実際にコメをほとんど摂らない人たちが問題を抱えて食養指導を受けに来るのをみると、認知機能が著しく低下していたり、骨が弱くなっていたり、筋力が落ちていたりなどという問題が数多く見られるのです。

先にコメ一粒を大事できない人や家族に難病・奇病が多いということを書きましたが、体が陰陽どちらかに大きく偏ってくるとコメが入りづらくなるのです。コメをおいしく食べられるということは中庸な体であるのですが、陰陽どちらかに大きく偏ってくるとコメがおいしくなくなってくるのです。陰に偏ってくると陽のものがおいしくなり、陽に偏ると陰のものがおいしくなるのです。

中庸は陰陽両方を孕む、という点もあります。コメは中庸なので陰陽どちらかに偏ってもそれなりにコメは食べられるのですが、それでもコメばかり食べて満足するということにはなりません。その結果、コメは少量になり、おかずが多くなるのです。これが少なからず現代人の食生活になってしまっているのです。

さらに食養指導の経験から、体をそれほど動かさずに家やオフィスで座ってばかり( 寝てばかり)いるとコメがおいしく食べられず、麺やパンなどの柔らかいものばかりを食べてしまう、という傾向があります。これでは胃腸の消化能力が低下してしまい、コメを受けつけられないようになってしまいます。運動不足で消化能力が低下すると柔らかいもの
しか受けつけられなくなってしまい、悪循環になってしまいます。

日本人の伝統的な食生活がコメを中心にしていたのは、その運動量にも大きく関係しているのです。

食養では昔から、ご飯三箸にお菜(おかず)一箸、と言って、コメを中心に食べることを基本としていました。コメが三に対しておかずが一です。昔の日本では一汁一菜が日々の食事の基本であったのです。この食事で日本人は永続的に健康を保ってきたのです。現代のように病気が多発することはほとんどなかったのです。

 

プロフィール

磯貝昌寛/いそがい まさひろ

1976年群馬県生まれ。15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。食養相談と食養講義に活躍。「マクロビオティック和道」主宰。

 

 

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