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月刊「マクロビオティック」磯貝昌寛の正食医学

磯貝昌寛の正食医学

 

第132回:食養指導録 自然と人間@

 

災害と自然

国際データーベースの自然災害発生件数は、1900年から2005年まで10年刻み(2005年は5年間)でまとめられています。それによると、この期間に「気象災害」( 洪水、干ばつ、暴風雨など)は約76倍、「地質災害」( 地震、土砂崩れなど)は約6倍、「生物災害」( 病気、病虫害)は84倍も増加しています。100年前に比べて地球規模で自然災害が激増しているのです。

ここ数年の自然災害の増加は私たちの感覚的にも感じるところで、毎年何度も異常気象がおこり、もはや異常が日常になってしまった感さえあります。ところが、自然災害といわれる災害がすべて自然現象かというのは疑問なのです。自然災害だと思っていた災害が、人災の面も多分にあるのです。100年に一度といわれる大雨で山崩れが起こっても、それらの山は杉やヒノキばかりの人工産業林がほとんどで、昔ながらの里山といわれる山ではないのです。

昔からの里山では杉やヒノキの針葉樹ばかりではなく、広葉樹のナラ・カシ・椎の木なども多く、多様で豊かであっ
たのです。様々な樹木があることで、山の根張りに力強さが出て、山そのものが強くなるのです。ですから、近年の自然災害の増加は私たちの社会そのものが問題という面も少なくないのです。

そして、これらの災害は私たちの命や生活を脅かすものですから、歓迎することはできないのですが、視点を変えると、また違った見方をすることもできるのです。

田んぼや畑などでは、河川の大決壊( 大洪水)が起こると、とても質のよい作物が採れると昔からいわれます。土に溜まった毒素を洗い流すのではないかというのです。土に溜まった毒素を自然栽培では肥毒というのですが、これが洪水によって洗い流されるというのです。

肥毒とは過去に使った化学肥料や牛糞や豚糞などの動物性肥料、さらに雨に含まれる化学物質が積もって土に蓄積したものです。これら肥毒を河川の大決壊という、人体で考えると大規模な排毒が起こって、一気に洗い流してくれるわけです。しかし、大洪水で畑が浄化されたからといってすぐに作物を育てることはできません。畑の形を調えなくてはなりませんから、すぐには利用できないのです。それから、大洪水で土を洗い流すだけでなく、山や川からの土中ミネラルが流れ込んで土質を高めるという要素もあります。さらに川の水から発生する藻などに含まれる微生物が大きく影響しているとも考えられます。川原に茂る葦で植物性肥料を作って畑で利用している生産者もいますが、これらも葦に寄生する微生物を有効活用しているのです。

自然は流れることによって命を輝かせています。私たちの体も血液が流れ、気が流れ、水が流れるからこそ生きています。植物が生い茂る自然も風が流れ、水が流れ、気が流れているからこそ生命ある作物が採れるのです。大洪水による被害は、被害にあった直後とその影響が拭えない時期には生産者は大変な苦労に遭うのですが、その苦労を抜けると、土が浄化されて、そこで育つ植物はとても生命力旺盛なものとなり大きな恵みをいただくのです。自然災害も視点を変えるとマイナス面ばかりではないことを、大自然がまた私たちに教えてくれます。

 

自然と人間

この100年の前半は自然環境が安定した時代でした。しかし、後半になって、特にここ数十年の自然環境は、不安定さが増しています。安定した自然環境から私たちは経済活動を活発にして、物質文明を享受しました。しかし、その物質文明が不安定な自然環境によって、儚くも脆く崩れ去る事態が目に見えて増えています。しかしこれは、見方
を変えると、自然環境が安定した時代に私たちは物質的な豊かさを獲得し、自然環境が不安定な時代に私たちは精神的な豊かさを育むものではないかと思うのです。

人生と一緒です。人生の前半は体力もあり物質的な欲も強いものです。食欲も性欲も物質欲も強く、あれがしたい、これがしたい、あれも欲しい、これも欲しいと多くの欲を持っているのが人生の前半には特徴的なことです。しかし、中盤を過ぎると体力も低下してきて物質的な欲も減ってきます。生殖能力も落ちてきますから性欲も減ってきます。
ところが人間は、生きている限り何らかの欲をもっている動物で、人生の航路に沿って欲の質が変化してくるのです。前半の物質的な欲に対して、後半は精神的な欲が強まってくる傾向にあるのです。もちろんこれは傾向であって、人によると人生の後半でも物質的な欲が強い人も少なくないし、人生の前半であっても精神的な欲が強い人もいるものです。

物質的な欲と精神的な欲にはどんな違いがあるのでしょうか。

この線引きはとても難しいものではあると思うのですが、私はこの線引きを、自分だけ、あるいは自分に近しい人たちだけが喜ぶ欲を物質的な欲と考えています。一方で精神的な欲というのは、自分だけでなく、多くの人たちが喜び、時代を超えても感謝されるようなものであればあるほど精神的な欲ではないかと思うのです。

人間は自然から命をわけていただいた存在ではないかと私は感じています。自分という言葉は「自然から分けていただいた命」と私は解釈しているのです。自然の流れの中で私たちは陰にも陽にも大きな影響を受けています。大自然が不安定になって自然災害が頻発する時代には、精神的にも肉体的にも危機にさらされる状態が増えます。社会も自然に同調するかのように、激変期の様相を呈しています。私たちは今、自然からも社会からも不安定という環
境に身をさらされて、精神的な成長のチャンスに遭遇しているのです。

マクロビオティックを提唱した桜沢如一は判断力というものをとても重要視したのですが、今はまさに判断力を高める絶好の機会であるのです。ピンチはチャンスといわれますが、ピンチは判断力を高めるチャンスであるのです。

歴史をみると、時代の変わり目には疫病と戦争と環境変化がトリプル襲来していることが非常に多いのです。そう考えると今はまさにそれです。現代では疫病に加えて難病奇病の方が多いくらいですから、今までの時代の変化とは比べものにならないくらいの変化があるかもしれません。

そんな時代に私たちはどんな生き方をするのか、できるのか。それを問われているように感じます。

 

プロフィール

磯貝昌寛/いそがい まさひろ

1976年群馬県生まれ。15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。食養相談と食養講義に活躍。「マクロビオティック和道」主宰。

 

 

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