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Home月刊マクロビオティック > 重藤誠「何をどのように食べるか?」

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Vol.4:なぜカロリー制限はうまくいかないのか

なぜカロリー制限はうまくいかないのか?

ダイエットといえば、カロリー制限を思い浮かべる人が多いはずです。科学的にも、消費カロリーが摂取カロリーを上回ることが太る原因であることに異議を唱える人はいません。

日本の医療機関でも、栄養指導は「食品交換表」を用いたカロリー制限食の指導を意味しています。糖尿病、肥満のガイドラインでもカロリー制限食が推奨されており、その地位にはもはや疑いがないように思われます。とこが、カロリー制限を指導しても体重をコントロールできる人はほとんどいないのが実情です。

科学論文では、たしかにカロリー制限で短期的に体重は減ります。しかし、そのわかりにくさ、苦しさから継続率は低く、多くの人にとって現実的ではない方法であることも事実です。ガイドラインの根拠とされる論文なども、規模、観察期間を考慮すると、長期的に続けて効果が高い方法とは言い難いでしょう。

カロリー制限がうまくいかない原因として、次の3点があります。

食品が何カロリーなのかがわからない 
空腹感を我慢しなくてはならない 
栄養不足になりやすい 

まず、すべての食品のカロリーを覚えるのはよほどの勉強好きでもない限り不可能です。人間は興味のあることしか覚えられませんし、忙しい現代人にはそもそもその時間がありません。しかも、カロリーという概念自体がはっきりしておらず、専門家が同じ食品をみてもその数値はバラつきます。当然、自分の都合の良いように評価するため、肥満者では実際の摂取カロリーの4割も過小評価するという報告があります。

また、食べる量自体に制限もあるため、空腹感があるのにそれ以上食べられないという強烈なストレスを伴い
ます。ストレスはほとんどの場合、体重が増える原因です。そこに空腹感を我慢するというストレスを上乗せするのはいかがなものかと思います。数ヵ月程度であれば我慢できるかもしれませんが、一生続けるには辛過ぎます。数ヵ月でダイエットに成功したとしても、ストレスの反動と栄養不足から数年後にうつ病を発症しやすくなる可能性も指摘されています。

 

食べ物を数値に置き換えて
しまうことの問題点

カロリーの範囲内であれば何を食べても良いという自由度の代償として、栄養不足になりやすいという点があります。簡単に食べることができ、比率が増えがちな加工食品は、ビタミンやミネラルなどがあまり含まれていません。実際、カロリー制限により貧血や骨粗しょう症が増えることもわかっています。また、筋肉量が減り、代謝も落ちてしまいます。

同じカロリーでもその質によって体重に与える影響が違うことにも触れておきます。有名なサルの実験で、ジャ
ンクフードに合わせて食事の8%をトランス脂肪酸にしたグループと、トランス脂肪酸を与えなかったグループを比較したものがあります。摂取カロリーが同じであったにもかかわらず、6年後の体重はトランス脂肪酸グループで7%増、対照群で2%と、かなり大きな差が出ました。しかも、トランス脂肪酸グループでは、糖代謝も悪化していました。

この実験から言えることは、指定されたカロリーの範囲内であっても、ハンバーガーやアイスクリームなどのジャンクフードを摂れば体重が増え、病気になる可能性が高いということです。ここからも、「量にさえ気をつければ何を食べてもいいですよ」というのは暴論であることがわかります。

私がなにより問題だと感じる点は、食べ物をカロリーという数値に置き換えてしまうという点です。はるか昔から言われているように、食事の際に大事なことは、食材に対して、料理をしてくれた人に対しての感謝の心です。食べ物を無機質なカロリーという数字に置き換えることで、食材そのもの、食材を作った人、流通に関わった人、料理をした人などの物語は失われます。その結果、食の歓びが減ってしまい、脳の満足度が下がって、余計に空腹感が出た結果、体重が増えてしまっているのではないでしょうか。

数字に変換して食べるという行為は食べ物を冒涜しており、生命をいただくという意識を薄れさせている一因にもなっているかもしれません。時間的な余裕がないことに加え、いつでも気軽に食べることができる現代社会では、私も無意識に食事を摂ってしまいがちです。しかし、こういう「おばあちゃんが言っていたようなこと」が、一周して
科学的に正しいことが理解できてきたので、できるだけ気をつけるようにしています。

カロリー制限は、できるのであれば寿命延長効果や病気の予防効果もあり、健康に有益な方法であることには間違いありません。しかし、我々は、実験室のサルのように、食事の量を完璧にコントロールされているわけではありません。食事の質にも気を配らないと、栄養不足は必然です。後から述べますが、食欲は、体の状態が変わり、脳の状態が変わらないと変化しません。単純に食べる量を減らせばよいという指導では結果は出ないのです。

 

プロフィール

重藤 誠/しげとう まこと

医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。
シゲトウクリニック:http://shigeto-cl.com

 

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