日本CI協会はマクロビオティックの創始者桜沢如一によって創設された日本で最も歴史のあるマクロビオティックの普及団体です。

home クッキングスクール イベントのご案内 書籍紹介 ショップ・レストラン情報 リンク アクセス お問い合せ



■書籍紹介
■トピックス
■日本CI協会本
■桜沢如一の書籍

月刊マクロビオティック
食養生や料理レシピなど最新情報が満載です。

■最新号目次
■ご入会の案内
■図書館
■別冊シリーズ

マクロビオティックWeb

マクロビオティックWeb

マクロビオティック商品の商社オーサワ

マクロビオティック商品の商社オーサワ

リマネットショップ

 

Home月刊マクロビオティック > 重藤誠「何をどのように食べるか?」

月刊「マクロビオティック」おすすめ連載

 

Vol.6:現代向けマクロビオティックのすすめ

近代医学だけが医療ではない

この紙面でマクロビオティックの概要について改めて説明する必要はないと思いますので、私とマクロビオティックの関係について書いてみます。

私は、医師になって2年目の頃から日本の医療に対して違和感を持つようになりました。救急車で次々と運ばれてくる脳梗塞、心筋梗塞は、昔と比べると治療は進歩したものの、発症前の状態に戻すことは不可能です。発症後は多かれ少なかれ後遺症が残り、最悪、麻痺や言語障害、寝たきりになるなど、日常生活が大幅に制限されてしまいます。私はこういうことを何度も経験しました。

大きな病気は、起きてしまうと取り返しがつかないことを痛感した私は、病気を予防することにより、少しでも不幸な結果を減らせるだろうと考え、専門を糖尿病に変えました。

大学や総合病院で専門外来をするようになってはみたものの、内服薬は「血糖が高いから下げる」「血圧が高いから下げる」「コレステロールが高いから下げる」といった、臭いものには蓋の考え方で、根本的な治療ではありませんでした。型通りのカロリー制限に基づいた食事療法についても、指導する側もされる側もどことなくやる気がなく、効果が薄いように感じられました。

保険診療の限界を感じた私は、他の選択肢を探して代替医療といわれる分野の本を大量に読み始めました。かなり怪しいものも多いですが、せいぜい数百年の歴史しかない近代医学だけが医療と考えるのは、思考停止以外のなにものでもありません。東洋医学系に目を向け、黄帝内経(こうていだいけい)、養生訓、本草綱目(ほんぞうこうもく)などの古典から、桜沢如一、西勝造、甲田光雄らの著書まで、著者買いで入手できる限りはすべて読みました。

当時、自分自身も体調を崩していたのですが、効果がありそうと判断した断食やマクロビオティックを試したところ、体重が10sほど減って体調も明らかに良くなりました。断食は効果が大きい半面、リスクの高さも感じましたが、緩いマクロビオティックは悪くないと思いました。

さらに、普通に医療を勉強してもなかなか出会うことがなかった、コリン・キャンベルの「THE CHINASTUDY」やマクガバンレポートにも目を通し、食事に関する考えはかなり変わりました。なにしろ、医学部では食事について学ぶことはできません。個人個人で体質や生活習慣が異なるため、万人にとって理想の食事というものはありえませんので、学問になりにくいということもあるかと思います。

しかしながら、最近ではハーバード大学をはじめとした研究機関でも食事と病気の関係について調べています。その結果、非常に大きな人数で、数十年という長期間の調査しており、精白されていない穀物を多く摂ること、赤身の肉(牛肉、豚肉)は減らしたほうが、心筋梗塞などの病気になりにくく、寿命が長いことなどのエビデンスが蓄積されてきています。他にも、信頼性の高い論文の多くが日本の伝統食が優れていることを示しています。

 

幸せに生きるための手段

一方で、塩分の摂り過ぎや、酸化した脂質の害も明らかになっているほか、急に完全菜食にすることでビタミンB12
などの栄養素が不足し、逆に動脈硬化が進行してしまう可能性も指摘されています。桜沢如一の著書の中には、自然塩ならばいくら摂ってもよいとも取れる表現がありますが、腎臓には処理能力の限界があり、どんな塩であれ、摂り過ぎれば体に溜まり、むくみなどの原因になります。

以前は食品の保存に塩が必要でしたが、現在は冷蔵庫と優れた流通システムにより、比較的新鮮な野菜が手に入ります。また、ゴマなどをすりつぶして使うのが伝統的な方法かもしれませんが、わざわざ脂質を酸化させてから食べる意味はないと思います。

ビタミンB12は腸内細菌が合成するから動物性食品は摂らなくてもよいという人もいますが、実際に血中ビタミンB12 濃度を測定すると菜食で減ってしまうので、一部の人には適していても、腸内細菌のバランスによっては健康を害する可能性もあります。

絶対的に正しい方法というのは存在しません。すべては相対的で、時間とともに変化することを忘れてはなりません。原理主義に陥ることなく、常に今の自分にとって最善のライフスタイルを模索し続けるのは大変なことですが、楽しいことでもあります。私自身、どんどん新しい考え方に触れ、時には受け入れる柔軟性を持つことで、人生が豊かになりました。

最後に、すべての食事法は幸せに生きるための手段であって、それ自体が目的ではありません。その点を忘れないようにしたいものです。

THE CHINA STUDY
葬られた「第二のマクガバン報告」

合本版 グスコー出版 3,000円+税

「自然の食」こそ、最高の名医!「疫学研究のグランプリ」とニューヨーク・タイムズが絶賛した史上最大規模の「チャイナ・プロジェクト」(中国農村部の食習慣・栄養調査研究)は、すべての生活習慣病の元凶をはっきりと暴き出していた。(「BOOK」データベースより)

※全国の書店でお求めいただけます。

 

プロフィール

重藤 誠/しげとう まこと

医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。
シゲトウクリニック:http://shigeto-cl.com

 

ご購読