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Vol.7:血圧は下げたほうがよいのか

血圧は下げたほうがよいのか

血圧をどこまで下げたら良いのかというのは、長きにわたり議論されており、結論は出ていません。下げれば下げるほど良いと主張する人もいれば、薬で下げてはいけないという人もいます。実際のところ、血圧とどのようにつきあったらよいのでしょうか?

血圧とは、「血管( 動脈)内の圧力」で、心臓が収縮するときに高く(収縮期血圧)、拡張するときに低く( 拡張期血圧)なります。心臓から押し出される血液の量と血管の抵抗で決まっており、大きな血管の固さも関係します。腎臓や神経系、内分泌系などにより調節され、同じ人であっても、精神・身体活動、日内変動、季節などで常に変化しています。

さて、血圧が高いと何が問題なのでしょうか? 力仕事や寒さで血圧は上がりますが、特に現代人は慢性的に精神的ストレスを抱えていることが多く、これが主な原因と考えられます。よくタイヤに空気をたくさん入れた状態に例えられますが、血管に物理的な圧力がかかった状態が続くわけですので、動脈硬化の原因になることがわかっています。また、血管の損傷が出血につながりやすくなるため、脳出血などが増えることも明らかです。

こういった背景から、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化性疾患を予防すべく、日本高血圧学会の診断基準(2014年)では、140/90mmHg以上を高血圧としており、糖尿病や腎疾患がある場合、さらに低い130/80mmHg 未満にコントロールすることを推奨しています。

2019年の改定案では、高血圧の基準と降圧薬の開始基準については従来の140/90mmHg以上とする一方、降圧目標は75歳未満の患者は原則、130/80mmHg未満に引下げ、75歳以上の患者の降圧目標も引下げ140/90mmHg未満とさらに下げる方向性になっています。昨年公表された米国のガイドラインでも、従来140/90mmHgか130/80mmHgに引下げられ、今年6月に公表された欧州のガイドラインでも、降圧目標を忍容性があれば130/80mmHgとしています。世界的にも、血圧は低めにコントロールする流れは明らかです。

一方、大櫛らのグループは、180/110mmHg以上の群では、160/100 未満に下げると死亡率が4倍になるなどの害があり、160/100mmHg まで総死亡率および循環器疾患による死亡率の上昇はみられなかったことを根拠に、160/100mmHg まで治療の必要はないこと、また、薬物による降圧は20mmHg 程度に抑える必要があることを主張しています。

適切な血圧が保たれないと、脳を含む臓器でのガス交換、栄養供給がうまくいかなくなり、めまい、ふらつきからの転倒、認知機能の低下、活気がなくなるなどの、望ましくない減少が起こってきます。少し乱暴にまとめると、「血圧は高すぎると急死しやすくなるが、低すぎると元気がなくなる」ということです。

末梢組織での血液不足( 虚血)も問題で、ある種の降圧薬により、女性で膵がんの発生が増えたという報告もあります。血圧だけの要因で起こっているわけではありませんが、死亡率の年次推移を見る限り、降圧目標が1987年は180mmHg 以下、2004年は140mmHg 以下、2008年は130mmHg 以下と、どんどん下げられているにもかかわらず、脳出血ですらあまり減っておらず、悪性腫瘍の増加が加速しているように見えます。

私としては、適正血圧は一人ひとり違っており、できるだけ薬を使わずに対処しようと心がけていますが、病院では糖尿病専門医という立場もあり、降圧薬を使うことが多くなります。高血圧のガイドラインの根拠になる論文の多くが、製薬会社の資金で出来ており、そういったバイアスから診断基準がどんどん下がっているのは百も承知ですが、使うときには使っているわけです。なぜなら、病気のリスクは掛け算なので、糖尿病×高血圧だと、それぞれの心筋梗塞リスクを最大で4倍とすると、16倍のリスクとなってしまいます。

血圧を下げたほうがよいかは、その人による、としか言いようがありません。薬は使わないで済むに越したことはありませんが場合によります。コントロールしやすいところはしておかないと危険が大きいことは、医学統計上も明らかです。医者から「この薬を飲んでください」といわれたからと、なんとなく薬を使っている人ほど、雑誌に定期的に載る「この薬は危険!」に自分の飲んでいる薬が入っていたので勝手に中止するなどといった、短絡的な行動をしてしまいます。せめて、薬を飲んでいる人は「なぜ自分はこの薬を使っているのか」をしっかり理解し、どうすればやめることが出来るのかを知っておいていただきたいと思います。

 

プロフィール

重藤 誠/しげとう まこと

医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。
シゲトウクリニック:http://shigeto-cl.com

 

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