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Home月刊マクロビオティック > 重藤誠「何をどのように食べるか?」

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Vol.8:卵とコレステロール

卵とコレステロール

卵は完全栄養、物価の優等生と良いイメージがあると同時に、コレステロールが高いので、食べ過ぎると危険なイメージがあります。実際のところ、どうなのでしょうか?

まず、コレステロールは細胞膜を作ったり、ホルモンやビタミンDの原料になったりする重要な有機化合物です( ビタミンDもホルモンの一種とも考えられます)。また、コレステロールは胆汁の材料でもあり、消化吸収にもかかわっています。胆汁のコレステロールは、ほぼ全てが消化管から再吸収されることからも、生命にとって非常に重要な物質であることは疑いがありません。不足すると、細胞の修復ができないため、神経細胞なら認知症になりやすく、血管平滑筋細胞なら、血管の機能が悪くなって脳梗塞が増える、リンパ球などの免疫細胞ならがんが発生しやすくなるなど、ありとあらゆることが起こる可能性があります。

また、材料不足により、性ホルモンや高ストレスホルモンなどのバランスが崩れるなどの可能性もあります。血液検査では、栄養状態の指標のひとつで、主に栄養過多で高くなり、病気などで消耗し、体の状態が悪くなると低くなります。

コレステロールが高くなる原因には、体質、不健康な食事、運動不足などがあり、中年以降、上昇する傾向があります。特に女性は、エストロゲン(一般的に女性ホルモンといわれる)が減る閉経後に急激に上昇します。便宜上、私もよく使う、善玉コレステロール、悪玉コレステロールという区分けについては、正直、個人的にかなり抵抗があります。肝臓から全身の組織にコレステロールを届けるLDLコレステロールは、血管にコレステロールを沈着させるので悪玉、全身の余分なコレステロールを回収し肝臓に届けるHDLコレステロールは、血管の善玉という、「動脈硬化」という物差しでしかコレステロールを見ていないからです。生命のシステムに善悪などないので、表現としてはナンセンスですが、栄養過多の現代において、コレステロールが高過ぎることのほうが問題になることが多いのも事実です。

さて、卵についてですが、比較的最近まで、「卵はコレステロールを多く含んでいるので、血中のコレステロールを上げて心疾患の原因になる」というのが常識で、私も大学にいた頃は「卵は一日一個まで」と指導していました。

しかし、実は卵とコレステロールは関係がないようです。2013年にアメリカ心臓病学会から「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメントのガイドライン」が発表されました。「コレステロール摂取量を減らせば血中コレステロール値が低下するかどうかわからないので、コレステロールの摂取制限を設けない」という、ある意味常識を覆す内容でした。「2015年日本人の食事摂取基準」( 厚生労働省)でも、健常者においてはコレステロール制限が推奨されておらず、日本動脈硬化学会もこれに賛同しています。コレステロールの8割くらいが肝臓での合成ですので、食事でたくさん摂れているときは合成量を減らすことで調整されるわけです。もちろん、大量に摂れば上がると思いますが、常識的な範囲であれば気にする必要はないでしょう。

最後に、卵を食べたほうがよいかどうかについてですが、最近では、小規模の研究で、卵の摂取量を増やすほど、コレステロールの質が改善したり、全身の慢性炎症レベルが低下したりと、好ましい影響が報告されています。世界最高齢の117歳まで生きたイタリア人女性も、90年以上にわたり毎日2個以上の生卵を食べていたそうです。一方、「チャイナスタディ」(コリン・キャンベル著)やハーバード大学での長期の大規模研究では、死亡リスクを高める食品に挙げられています。このように、まだまだ議論されている分野です。

いずれにしても、単一の食材が体に良いか悪いかを検証するという研究デザイン自体に違和感があります。くれぐれも、数報の論文でよい結果が出ているからといって、「スーパーフード」と考え、バランスを崩さないよう気をつけたいものです。

私の場合、工業製品のような作られ方をした安い卵や、加工食品に含まれる酸化した卵の油が死亡リスクを高めており、質の良い卵ならアレルギーなどがない限り食べたほうが良いのではないかと考えています。具体的には、食べない日もあれば、多い日で2個くらいいただくといったところです。

 

プロフィール

重藤 誠/しげとう まこと

医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。
シゲトウクリニック:http://shigeto-cl.com

 

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