1. HOME
  2. ブログ
  3. 【WEB限定記事】没後58年、京都教蔵院での桜沢如一墓参会レポート

【WEB限定記事】没後58年、京都教蔵院での桜沢如一墓参会レポート

桜沢如一墓参会

1966年4月24日はマクロビオティックの創始者、桜沢如一の命日です。没後58年を迎える今年も、4月21日(日)に京都市上京区にある桜沢家の菩提寺「教蔵院」にて、正食協会・日本CI協会の共同開催で墓参会が開催されました。桜沢如一によって設立された東西の両普及団体による墓参会も今年で2回目。雨模様の京都でしたが、38名の参加者が集まり、桜沢先生を偲びました。

雨の中の祈り

桜沢如一が眠るお墓のある教蔵院は、安土・桃山時代の文禄2 年 (1594)、教蔵院日悦によって創建され、本法寺の塔頭(師や高僧の死後その徳を慕い、建てた塔や庵などの小院)のひとつで、桜沢先生を偲んで日本のみならず海外からも墓参する人が見られるお寺です。

京都はちょうど会が始まる前からシトシトと雨が降り出しました。この頃の雨は、二十四節気の「穀雨」。穀物にたっぷりと水分と栄養がため込まれ、元気に育つよう、天から降り注ぐ恵みの雨と言われます。穀物を何より大切にした桜沢先生からの恵みだったのかもしれません。

桜沢如一墓参会

桜沢先生の遺影と玄米餅が供えられた境内には、正食協会関係者、正食クッキングスクール講師陣、ムソー株式会社、株式会社むそう商事、株式会社山田製油など38名の参加者が集まりました。韓国からはKushiマクロ韓国代表の李さんや桜沢先生の晩年のお弟子さんで、イタリアで活躍された村本登さんのご子息も参加され、海外での桜沢先生の影響の大きさにあらためて驚きました。日本CI協会からは、桜沢如一資料室の高桑智雄室長と事務局スタッフ、そして資料室司書ボランティアの村井友子さん、桑山一美さんが参加しました。

桜沢如一墓参会

正食協会の岡田恒周代表が開会の挨拶し、それぞれの団体からの挨拶のあと、今回の参加者で唯一、桜沢先生に会ったことあるという山口卓三さんの娘さんである山口ジュリアさんが、子供の頃の遭遇話をされました。そしてこうした墓参会の参加者がほぼ、桜沢先生に直接会ったことがない世代になったことに50年の月日の長さをしみじみと感じました。

みなさんのご挨拶の中で、「マクロビオティックは、世の中に知られるようになり、オーガニックや自然食品などに対する関心は日に日に高くなっているが、桜沢先生の求めた世界平和は、いまだ達成されていない。」と語られていたのが印象に残りました。

住職の読経が響く桜沢先生の墓前で、みなさんそれぞれに平和の祈りを捧げました。

桜沢如一墓参会
桜沢如一が眠る教蔵院

京都府京都市上京区小川通寺ノ内上る
地下鉄「烏丸線」鞍馬口下車徒歩15分

大徳寺境内の精進料理「泉仙」での交流会

お墓参りが終わると、雨の京都を20分ほど歩き、交流会場である大徳寺境内にある精進料理「泉仙」へ。

大徳寺は、鎌倉時代末期の正和4 年(1315)に開山された臨済宗大徳寺派の大本山。応仁の乱で荒廃後、一休和尚によって復興され、桃山時代には豊臣秀吉が織田信長の葬儀を営みました。

歴代多くの名僧を輩出し、茶の湯文化とも縁が深く、日本の文化に多大な影響を与えてきた寺院です。千利休が寄進した山門の二階に利休の木像が置かれたことに秀吉が怒り、千利休が切腹させられた話が有名で、聚光院には千利休の墓所があります。

マクロビオティックではおなじみの陽性な発酵食品「大徳寺納豆」の発祥地としても知られています。

会場となった「泉仙」は、1963年より、大徳寺の境内で営業し続けてきた、創業150年の老舗精進料理店です。茶の湯との縁が深いことから、抹茶とわらび餅から始まる御膳は、京の春を感じさせる食材を繊細に仕立て、朱塗りの鉄鉢に美しく盛りつけた鉄鉢料理と言われるもの。食べ終わった鉄鉢をマトリョーシカのように重ねることができます。

精進料理「泉仙」

高桑智雄室長のミニ講演会

食事をしながら、桜沢如一資料室室長の高桑智雄による、幼少期から青年期の京都時代の桜沢如一に関するミニ講演会がありました。

「宇宙の秩序」や「無双原理」といった桜沢独特の思想展開は、西洋文明と東洋文明の衝突による戦争を起こさないための統合哲学として発展したものであり、それは日本の伝統文化が残り、尚且つ西洋の文化が先駆けて流入する京都という地で育ったことがバックボーンになっていたそうです。

また、桜沢先生は人生に大きな影響を与えた母、節子への思慕をよく語りましたが、実はあまり語られない桜沢先生の夢をことごとく打ち砕いた父、孫太郎も、桜沢先生がマクロビオティックを確立していく上で逆説的な大きな役割をしているとし、父、孫太郎を心理学用語である「トリックスター」として位置づけられると解説しました。

高桑智雄室長のミニ講演会

最後に参加者全員が、岡田代表から「マクロビオティックで衝撃を受けたことは?」というお題に答えながらの自己紹介をしました。

何人かの方が、初めて正食クッキングスクールで食べた玄米の美味しさに衝撃を受けたと語ったり、資料室司書ボランティアの桑山一美さんが、初めて資料室で劣化する貴重な資料群を目の当たりにした時の衝撃を語っていたのが印象に残りました。

古都・京都で精進料理を楽しみながら、京都で過ごした桜沢先生の少年時代を偲び、ゆったりとした時間を過ごし、今年の墓参会も無事を終わりました。

交流会場の精進料理「泉仙」大慈院店

京都府京都市北区紫野大徳寺町4
https://kyoto-izusen.com/

共催団体

関連記事