1. HOME
  2. ブログ
  3. 【WEB限定記事】学術会議「コメを食べて健康に!」レポート

【WEB限定記事】学術会議「コメを食べて健康に!」レポート

学術会議「コメを食べて健康に!」

2023年12月2日に、株式会社グレイン・エス・ピー主催の学術会議「コメを食べて健康に!」が、東京・日本橋のライフサイエンスビルディングで開催されました。

この学術会議は電子版「季刊マクロビオティックジャーナル」の連載でもお馴染みの一般社団法人メディカルライス協会理事長の渡邊昌氏がオーガナイズする農林水産省の米需要創造推進事業によるイベントで、昨年は桜沢如一資料室長の高桑智雄氏も登壇しました。

国民1人当たりが年間で食べるお米の量は、1962年度の118kgをピークに、51kgと半分以下にまで減っています。さらに、近年では 「米は太る」という誤った認識も見受けられる中、日本人の健康にとってお米は欠かせないものであることを各界の有識者から最新の知見が発表され、米の需要拡大のため日々取り組まれている魅力的な活動が毎年紹介されます。

今年は会場に100名程の来場者が集まり、オンラインでもリアルタイム配信されました。最新の栄養学から美容やダイエット、そしてアスリートの食事、米麹と美肌の関係など女性を惹きつけるバラエティー豊かなテーマが並んだためか、来場者は若い女性が多く目立ちました。

午前中の部

トップバッターの演者は、新潟農業総合研究所食品研究センター食品工学科専門研究員の太養寺真弓氏が「玄米の機能性と加工利用について」と題して、主に米粉の加工精度の進化と可能性を豊富なデータをもとに紹介されました。

今まで、米粉は食感がボロボロしてパンやお菓子になかなか利用されなかったが、最近ではかなり研究が進み改善されているそうです。また、玄米のα化粒状成形の研究では、玄米粉から水で戻して食べられる簡単調理の可能性が検討され、米マヨネーズへの利用や、その形成と溶解のしやすさから玄米のエコ容器などの展開も考えられているそうです。

二番目の演者は渡邊昌氏で、テーマは「主に中高年に向けた玄米の健康効果について」です。最近特に注目される米ぬかに含まれる「γ-オリザノール」の健康効果への最新研究の紹介は、これからのマクロビオティック界に大変期待される内容でした。また、学術分野を横断し、人と土壌の連続性、相関性の中で「健康」を捉える全体知的な視点は圧巻でした。

三番目の演者は、一般社団法人平田炊飯研究所所長の平田孝一氏が「玄米の炊き方と、炊飯科学から見た玄米と健康」として、炊飯器で玄米を美味しく炊く秘訣を解説してくれました。特に沸騰中に炊飯器を開けて、塩と米油を入れて撹拌棒でほぐすという方法は衝撃的でした。

そしてランチ休憩には、アメリカやフランスにも出店して話題を呼ぶおむすびチェーン「おむすび権米衛」の協力で、メディカルライス協会がプロデュースする玄米「五行元米」を使ったおむすび弁当が無料で配布され、参加者は大きなおむすび二個を頬張りました。

玄米「五行元米」を使ったおむすび弁当

 

午後の部

午後の部トップバッターは株式会社アルソア慧央グループ管理栄養士の手嶋早苗氏が、「トップアスリートへの米を中心とした食事サポート」として、日本を代表するフィギュアスケーターの浅田真央さんの食事サポート、栄養指導の実施状況を紹介されました。浅田さんは、アルソアの自然派石鹸の愛用が縁で、玄米菜食中心の食事や農業に興味を持ち、手嶋氏らの指導で、朝昼晩と米中心の食事に加え、二回のおやつもおむすびにして、自身の体調管理に励んだそうです。

二番目の演者は、昨年に引き続き、管理栄養士、戸板女子短期大学食物栄養科講師の伊達友美氏が「ダイエット指導のコツ:米と健康の提案」として、米抜きの食事をして肥満になるクライアントに、米を中心にした食事に変えてもらい、カロリーは後者の方が多いのに体重が下がる事例を紹介して、説得力のある米の健康と美容効果を論じました。

最後に登場した新潟の山﨑糀屋株式会社社長、山﨑京子氏は、「米糀と健康・美肌(先人の知恵を使える)」として、長年の糀販売の経験談と糀の力を力説しました。到底80歳を越えているとは思えない美肌が全てを物語り、日本酒を造る杜氏の手が昔からきれいなことなど、会場の女性たちが前のめりになるお話されました。

今回の学術会議は、最新科学データだけでなく、実践指導体験、伝統文化などさまざまな視点からのアプローチのある、例年にも増してバラエティー豊かな会議となりました。

また、この日に合わせて急遽印刷を早めたというマクロビオティック界にも多大な影響を与えた渡邊昌氏の名著『玄米のエビデンス』の第ニ弾の紹介がされました。2014年1月15日に発売予定の『玄米のエビデンスⅡ』は、「自然共生栽培と玄米のおいしさ」と副題があるように、人間の腸を裏返したのが根っこの世界であるとし、人間の健康と土壌との相関性にまで踏み込んだ画期的な内容となっており、マクロビオティックの新たなエビデンスとなることが期待されます。

『玄米のエビデンスII 自然共生栽培と玄米のおいしさ (veggy Books)』

『玄米のエビデンスII 自然共生栽培と玄米のおいしさ (veggy Books)』
渡邊 昌 (著), 林正 明 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4910982019

関連記事