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【ジャーナルWEB公開記事】2026年春号 食の10段階チャレンジレシピ「2号食以下に含まれる動物性食品ついて」

<番外編 後編> 第7回 2号食以下に含まれる「動物性食品」ついて

櫻井 裕子

2024年秋号から連載している、この「食の10段階チャレンジレシピ」だが、今後も「10段階」のそれぞれのレシピを提案し続ける上で、実はいくつか整理して明確にしておかなければならないことが出てきていた。その一つとして、前号(冬号)の番外編 前半では、桜沢如一と桜沢里真の「食の10段階」の割合の違いについて解説し、今後も桜沢里真の「食の10段階」の割合に準じ、現代の10段階の料理紹介を試みることを表明した。

今号では、番外編 後半として、次号から動物性を副食に含む2号食以下のレシピをご紹介していくにあたり、桜沢如一や桜沢里真は動物性食品についてどのように捉え、扱っていたのかについて触れ、動物性を含むレシピの紹介の足掛かりにしたいと考えている。

食べ物に良いも悪いもない

さて、次号から「マクロビオティック食の10段階」のうち、下位5段階の号食(2・1・-1・-2・-3号食)についてご紹介する。これは今までお話してきた上位5段階の号食(7・6・5・4・3号食)とは、動物性を副食に含むという点から、一線を画す段階に入ったと言え、特別に説明が必要な回であると認識している。

毎回お伝えしているが、クッキングスクール リマでは、動物性を含まない穀物を献立の中心とした7号食~3号食の上位5段階を学びの基本としてカリキュラムが組まれている。また、私自身も、家庭で動物性の料理をすることはほとんどと言ってよいほどなく、外食をする際にも、食べる物をかなり選んでいる。別にヴィーガンのように動物性を食べることを徹底的に避けているわけではないのだが、7~3号食の食事をし続けることで、体調の維持が簡単になる、頭がスッキリして判断力が上がるという実感が長年の経験だからである。

ただ、例えば、夫の義実家を正月などに訪問するときは、刺身やエビフライなどの動物性は普通に食卓に出されるし、久しぶりに会う学生時代の友人と食事をするときにはわざわざヴィーガンのお店を選んだりはしない。義実家では、まずは食事の準備をしてくれたことに感謝をして自分に消化できるものと付け合わせ、量を意識しながらいただくし、友人との食事でも、和食のお店や友人たちも私も楽しく食べられるお店に決めたりして、その中で自分が食べられるものを選んで(自分にとって負担が少ないものを無双原理の原則から外れないように)、食べ物に感謝をしてその場を楽しむ。

そのように「食べ方」で、様々な意味で調和ができるのが、結局はマクロビオティック(正食)だと私は思うのである。

昔、ヴィーガンの友人と普通のお店で食べていたときに、動物性なしでオーダーをして、出てきた料理に小さな豚肉のかけらが混入しているのを発見したときの、あのヒステリックな反応を内心苦々しく感じたことがある。何よりも自分の目の前に出されている食事への、イノチへの感謝の心に欠けていると私は感じてしまったのだ。また、私自身にも当てはまるのだが、マクロビオティックを実践していると、あれがダメ、これがダメ、と否定的な感情を持つことも少なくない。動物性を摂っただけで罪悪感を抱いたり、動物性を食べた人を批判したりする気持ちが湧くのは、マクロビオティックの根本を理解していないからだ。これは私たちマクロビオティック指導者がきちんとその意図を伝えてこられなかったことを大いに反省するべきではあるが、結局は食べ物に「悪いもの」とか「良いもの」などはない。あるのは、ただ陰と陽のみなのである。

インストラクターコースで作られた里真先生の-1号食の献立(玄米ムスビ、ふろふき大根、里芋タイン煮、季節の味噌汁、エビ入り餃子、タルトポンム、三年番茶)

マクロビオティックで動物性をどう捉えるか

マクロビオティックでは、「肉食」の位置付けに現在でも様々な見解があり、議論が重ねられているところである。動物食に関しては、桜沢如一は『新食養療法』(1939年)の中で、「時と処によっては、或いは場合によっては、野菜の三分の一以下の鳥、魚肉、玉子などを加えてもよい」と、身土不二を考えた上で許容している。しかし、1958年、桜沢は弟子向けに当てられた『純正精進食はしなくてもいい』という手紙の中で、「無双流は肉食を否定するモノでもなければ所謂ヴェジタリアニズムを誉め称えるモノでもない。無双流は、無限の自由と、永遠の幸せと、絶対の正義を身にシッカリつける技術、スナワチ食物のセンタク、組み合わせ、料理法、たべ方(食生活法)である」とし、最終的には「最高判断力に達する最短のコースを純正菜食に発見した」と結論づけている。

一方、『東洋医学の哲学』(1973年)には、無双原理を身につけることで、肉食をしてもその毒を消すことができる。つまり、極寒の地では肉食をしても害がないとか、暑い地域でも肉食の毒を消すような食べ物がたくさんあり、その「食べ方」を知っている人は動物食が許される、などと書いている。結局は、動物性が良いとか悪いとかいう視点ではなく、無双原理を身につけることが絶対的に必要で、その上で何を食べても大丈夫な身体を作ることが目標なのだと私は理解している。

この「食の10段階チャレンジレシピ」の連載をスタートした当初、桜沢里真のレシピ本『マクロビオティック料理』(1971年)には、動物性の食材が組み込まれた献立がたくさんあることに驚いたと書いた。そして、最近はさらに遡って、桜沢如一・里真共著の『食養料理法』(1953年初版から数十版を重ねている書籍)を研究しているが、桜沢里真のマクロビオティックは、陰陽調和と身土不二に基づき、動物性も時には含む、もっと自由な献立を提案していたのだということが伺え、私にとってはまさに開眼であった。

動物性食品を含む「食の10段階」の可能性

現在日本においては、環境汚染の悪化(肉食の増加、農薬や添加物、高加工な食品の増加も関係している)、気候変動(異常な気温上昇)、人々の生活様式の変化(共働きの増加、結婚する人の減少、子どもの減少、料理をする人の減少、伝統文化の忘却)、そして食生活の大幅な変化(孤食、コメ食から手軽なパン食の増加、和食から西洋食への変化、それに伴い日本では伝統的にはあまりなかった肉食の増加)など、様々な変化が起こっている。これらの事柄に少なくとも危機感を抱く私たちは、今後、どのようにマクロビオティックを普及して、より良い世界を築いていくのが良いのかという観点に立ったときに、私は「食の10段階」の食体系に新たな可能性を感じている。

例えば日本では、私たちは動物性食を否定することはもはやできないほど、現実的には動物性食が一般的に広がっている。「食の10段階」の2号食以下の動物性の入った献立の割合を私たちは無視したり、「動物性を食べることはマクロビオティックではない」と切り捨てることはもうできない。マクロビオティックは、ヴィーガンやベジタリアンではないのだ。もちろん植物性の食事を広めることで世界のあらゆる問題を解決できると私も思うが、マクロビオティックは、東洋哲学の陰陽論をベースにした環境と身体の調和を目指す、より包括的な思想であり、桜沢如一のいうように、動物食を完全に否定する食事法ではない。

そのようなことを鑑みても、私は「マクロビオティック食の10段階」の食体系が、世界においても(様々な伝統的な食文化を持ついかなる地域の人たちにも)、日本においても、また、伝統的な食文化を忘れ現代的な食事をしている人や、マクロビオティックに初めて触れる方たちにも、何をも否定しない、戒律としてではない、分かりやすく合理的で柔軟な食の指針となり得ると期待している。現代の一般的な食生活を送っている方たちにも、西洋式の下の号食(動物性の含む食事)から段階を上げて、緩やかでも徐々により上の段階に近づけて実践していただく機会となれば素晴らしいことで、結果として前述の様々な問題の解決に繋がるかもしれない。

また、桜沢如一が著書『ゼン・マクロビオティック』で「どの段階から始めてもよい」と言っているように、「マクロビオティック食の10段階」は、まさしく現代の人々にとって、時には上の段階にチャレンジしたり、下の段階に戻ったりと気軽に実践し、身体の変化を体感できるような、導入しやすい食体系になるではないだろうか。

これを機に「マクロビオティックは完全玄米菜食をしなくてはならない」という枠に捉われてきた私たちも、ここで一回その枠を取り払って、食卓の上の陰陽調和を整える技術を鍛錬するきっかけにしていけたら嬉しい。動物性の料理を長らくしていなかった私にとっても、いかに動物性を含めた献立で食卓の陰陽調和を図るのか、新たなチャレンジと勉強である。その上で、食の割合を変えると自分の体調がどう変化するのかを、改めて注意深く観察する機会を持つのも、とても良い勉強になり、様々な体質の現代人と向き合う中で、どのようにマクロビオティックの原理を応用していったらよいのかを考えるきっかけにもなるのではないだろうか。もしかしたら、それが、桜沢のいう「無限の自由と永遠の幸せと、絶対の正義」を身につけるための第一歩になるかもしれない。

インストラクターコースで作られた里真先生の1号食の献立(玄米ご飯、八宝菜、季節の味噌汁、鮭ハンバーグ(ベシャメルソース)大根おろし添え、フルーツサラダ、三年番茶)

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著者プロフィール

櫻井 裕子/さくらい ゆうこ
マクロビオティック クッキングスクール リマ専任講師。藤が丘校「和-Nagomi」主宰。長女の妊娠を機に自身の体調不良を整える際、マクロビオティックに出会う。食事を変えたことで心と身体•環境が大きく変わる経験をする。多くのママや子どもたちの体調不良や悩みが解決できることを願ってマクロビオティックを伝える立場に。現在3人の子どもをマクロビオティックで子育て中。忙しい方でも無理なく楽しく続けられるシンプルなマクロビオティック料理を目指す。

櫻井裕子

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