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【ジャーナルWEB公開記事】正食医学所感 vol.3|食べ物と体の関係

vol.3|食べ物と体の関係

「マクロビオティック和道」主宰
磯貝 昌寛

 

美人と食物

 

「日本の女性は世界で一番美しい。10代では外国の方もきれいだけれど、20代、30代以降になると圧倒的に日本人の方がきれいだと思います」

デザイナーの故・植田いつ子さんの言葉です。植田さんは昭和から平成にかけて、当時の皇后・美智子様のデザイナーを務めていました。私はデザイナーである植田さんのことはまったく知らなかったのですが、ある新聞に植田さんのインタビュー記事が載っていて、非常に興味深い発言だと思って書き留めたのです。

日本の女性は年をとってもとてもきれいであるということは、外国の方々と何が違うのだろうかと考えると、やはり食養的に考えるのですが、環境が違い、食が違います。私たちヒトを含めた動物は食物を通して土、水、光(太陽)、風、微生物などの力をいただいて生かされています。食物を通していただくこれら身の回りの環境は、場所によって大きな違いがあります。

私たち日本人が主として食べているお米は、一般的には水田で作られます。お米は水田のエネルギーをいただいて育つわけですが、水田は畑と違って水を溜めておくことができるすばらしい力を持っています。水田の土は保水力のある強い粘土質です。この粘土質からできるお米はとても強い保水力を持っています。レンコン、水田ごぼう等もお米と同じように田んぼで作られますから、とてもすばらしい保水力を持っています。

マクロビオティックを提唱した桜沢如一は「人間は食べ物のお化け」と言いました。人間だけでなく、あらゆる生物は食べ物によってその性質が大きく違ってくるのです。植田さんがいう年齢を重ねても美しい日本人女性は、主食であるお米にその秘密があると思うのです。昔から「新潟美人」「秋田美人」などと言われます。新潟・秋田ともに米どころです。お米が豊富に採れる地域のエネルギーこそが
美人の元になっていると思うのです。

水田の保水力がお米の保水力の元になり、そのお米をいただく私たちの肌(細胞)は保水力があって瑞々しいのです。植田さんの発言を新聞で読み、私は即座に日本人の主食であるお米と日本人の美しさについて想い巡らせたわけです。

日本人の本来の食生活はお米を中心としたものです。和食はお米・ごはんが主食です。食事の半分以上がお米(ごはん)であることが本来の日本人の食生活なのです。日本人が本来の健康的な食事をしていたら、お米を消化分解する腸内細菌が圧倒的に多いのです。また、腸内細菌だけでなく、お米を分解するのに適した消化液が大量に分泌されるのです。

お米だけでなく、水田でできるれんこんや水田ごぼうにも肌の保湿力をアップさせる力があります。数多くある化粧品の謳い文句でも多くのものが「肌に潤いを持たせ」や「お肌の瑞々しさをよみがえらせ」などと書かれています。瑞々しいということは美しさの必須条件であるわけです。瑞穂の国といわれる日本の風土はまさに瑞々しく、美しい女性を産み育てる風土なのです。この日本の風土から作ら
れたお米や水田ごぼう等の野菜をいただくことが本当の美しさを醸し出すと、植田さんの記事を読んであらためて思ったのです。

 

「水もちのよい」食べ物と「水はけのよい」食べ物

 

保水力のある食べ物は私たちの体に入ってくると、保水力のある細胞を作り、瑞々しい体を作ってくれます。

保水力のある食べ物の一方で、水はけのよい食べ物があります。保水力のあるお米などの「水もちのよい食物」に対して「水はけのよい食物」があるのです。その代表がキュウリ、スイカ、冬瓜、カボチャなどのウリ科の食物です。ウリ科の野菜は水はけのよい砂地を好みますから、やはりこれらも相似の理論のように土のエネルギーを食物に転化して私たちの体に作用します。

浮腫みで足がパンパンの状態では、体の中で凝り固まって排泄できないタンパク質が水(血液・体液)とともに滞っています。これらタンパク質の分解を促し排泄させるには「水はけのよい」ウリ科が大きな力となります。水はけのよい食物には、体の凝りや硬さをほぐす力があるのです。そのためにウリ科の食物は利尿の働きもあり、浮腫み取りによく使われるのです。

では一体なぜ体は浮腫むのでしょうか。体は単に余分な水を溜めているわけではないのです。体にとって余分な水などないのです。私たちの体は、毒素が高濃度になるのを防ぐために、自然な反応として水をともに抱えるのです。体の浮腫みも毒素の濃度を薄めようとして体内から水分を逃がさないようにしている反応なのです。

妊娠中のトラブルで羊水過多症というものがあります。お腹の中の赤ちゃんは羊水の中にいるのですが、その羊水が過剰になってしまうのです。しかしこれもまた、過剰というわけではなく、羊水が濁ってしまったために、その羊水を薄めようとして、羊水をあえて増やしているのです。体に起こる反応というものには無意味なことはないのです。反応の意味を知って、体の反応にそって対応することがとても重要なのです。

浮腫みに対して自然療法では、毒素の分解を促すような食べ物を口にすることが第一です。水はけのよい食物とは、言い換えれば「毒素を分解するチカラの強い食べ物」と言えるでしょう。毒素とはやはり摂り過ぎた動物性食品や化学物質だろうと思います。

豚肉料理と相性のよい苦瓜、メロンもウリ科です。ウリ科に限らず、水はけのよい土からできる食物は動物性食品を分解する力に長けています。ブドウも水はけのよい土地を好みます。ブドウから作られるワインも魚介類や牛肉と相性がよいのです。

麦もまた水はけのよい土を好みます。小麦から作られるパンが西欧の動物性の多い食生活の中では主食的な地位にあるのも、陰陽で見るとよく理解できます。水はけのよい土地からできる食べ物は、水もちのよい土地からできる食べ物に対して陰性です。ビールの原料となる大麦もまた、小麦と同じように水はけのよい土を好みます。ビールはやはり脂っこい肉との相性がよいわけです。

今は動物性食品をほとんど食べていなくても、ビールやパンなどの「水はけのよい土地」からとれる食べ物が大好物だという人がいます。過去に摂った動物性食品で作られた細胞や組織が排毒されるときに相性のよい食物がとてもおいしく感じられるのです。今は食べていなくても、過去にたくさん摂っていると、動物性から作られた細胞をたくさん持っていますから、陰性の食品がとてもおいしく感じ
られるのです。

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磯貝 昌寛/いそがい まさひろ
1976年群馬県生まれ。15歳で桜沢如一「永遠の少年」「宇宙の秩序」を読み、陰陽の物差しで生きることを決意。大学在学中から大森英桜の助手を務め、石田英湾に師事。食養相談と食養講義に活躍。「マクロビオティック和道」主宰。
https://www.m-wado.jp/

磯貝昌寛

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