1. HOME
  2. ブログ
  3. 【ジャーナルWEB公開記事】2023年春夏号「提言」高桑智雄

【ジャーナルWEB公開記事】2023年春夏号「提言」高桑智雄

田んぼ

マクロビオティック ジャーナル2023年春夏号「提言」

電子版季刊誌「マクロビオティック ジャーナル」編集長
高桑 智雄

本誌「マクロビオティック ジャーナル」は、第二次世界大戦が終わってすぐの1948年8月に桜沢如一が創刊した「世界政府」第1号から75年の歳月をかけて新聞、雑誌と形態を変えながら印刷され続け、2023年3月の1026号をもって紙媒体としての歴史を閉じた「月刊マクロビオティック」の後継雑誌です。インターネットで年4回季刊配信する電子雑誌として、形態は変わりますが歴史ある通し番号と共に桜沢如一の遺志を引き継ぎ、マクロビオティックの世界的普及への最前線での役割を担っていきます。

本誌タイトルを「ジャーナル」とした理由は、「新しき世界へ」や「マクロビオティック」時代が、紙にインクで印刷して日本CI協会会員の手元へ届ける会報誌という、限られた人たちしか読むことができない陽性な情報媒体だったのが、今回インターネット上で無料会員登録をすれば、世界のどこでも誰もが、あらゆる端末で読むことができる陰性な広がりのある情報媒体になるにあたって、より広範なマクロビオティックの情報をジャーナリスティックにすくい上げたいと考えたからです。

本誌は、世界中でマクロビオティックを実践、研究、普及する人たちに有益な情報を紹介する専門誌を目指します。そしてその情報のメインコンテンツは「人」です。私は、1999年に日本CI 協会に入社して、その後フリーランスとして協会の情報発信を手伝いながら、2011年には故・勝又靖彦前会長と共に桜沢如一資料室を立ち上げ、全国でセミナーを開くなどの活動をして20年以上が経ちましたが、その中で一番の宝物になったのが、マクロビオティックを実践して魅力的な人生を生きている「人」たちとの出会いでした。

私が本誌の編集長に就任が決まって、どうしたらマクロビオティックの魅力を発信できるかと考えた時、まず浮かんだのがその「人」たちの笑顔でした。陽性な物質文明が極に達し、世界には戦争、貧困、環境問題が溢れています。そんな決して希望がもてない時代でも、安易に陰性な精神世界に閉じこもることなく、肉体と精神の統合というマクロビオティックの理念の元に、喜びを持ってこの現代社会をより良くしたいと活動している「人」たちの食、生活、哲学、仕事、人生観をいろいろな視点で紹介することが、一番のマクロビオティックの普及なのではないかと。そして、その「人」たちが本誌を通じて、また繋がりあって情報交換をすることで、新しい時代のマクロビオティックのムーブメントを創り出せるのではないかという期待感が膨らみました。

桜沢如一が1966年に亡くなって57年が経ち、世界中で活躍した桜沢の高弟たちの殆どがこの世を去りました。2000年初頭の日本におけるマクロビオティックブームも去り、世界的に点在していた普及センターからの活動の声もあまり聞こえてこなくなりました。しかし、確実に高弟たちを通じて、桜沢如一の遺志を受け継ぎ個人や小規模な範囲で活動している「人」は国内外にたくさんいると思います。本誌は、インターネットで世界中が繋がる時代にあって、流派や系統を超えてそれらの「人」たちを繋げる場としての役割を担い、マクロビオティック界全体の発展に寄与していきます。

始まったばかりの「マクロビオティック ジャーナル」を育てるのは読者のみなさまであり、マクロビオティックという世界に関わる全てのみなさまです。本誌が、激動の時代を生きていく多くの人達の羅針盤になるために、みなさまの本誌へのご参加・ご協力をお待ちしております。

著者プロフィール

高桑智雄/たかくわ・ともお

桜沢如一資料室室長。
1970年生まれ。2001年に日本CI協会に入社し、桜沢如一の陰陽哲学に感銘を受ける。
故・大森英櫻のアシスタントを担当した後、フリーランスとして独立。
2011年より桜沢如一資料室の立上げ、運営に携わる。
編集・執筆に「マクロビオティックの陰陽がわかる本」「マクロビオティックムーブメント」」など。2015年発行の人気書籍「マクロビオティックの陰陽がわかる本」の編集者であり、 月刊マクロビオティック・コラム「Café de Ignoramus」連載中。

高桑智雄

関連記事