【WEB限定記事】学術セミナー「美と健康を支える米の力」レポート
2024年12月7日に、株式会社グレイン・エス・ピー主催の学術セミナー「美と健康を支える米の力」が、東京・日本橋のライフサイエンスハブで開催されました。
この学術セミナーは電子版「季刊マクロビオティックジャーナル」で連載を持つ、一般社団法人メディカルライス協会理事長の渡邊昌氏がオーガナイズする農林水産省の米需要創造推進事業によるイベントで、毎年12月初旬に開かれています。今年は日本CI協会も正食協会と共に会場にブースを構え、マクロビオティックの広報も行いました。200名近く集まった来場者は女子栄養大学の学生などの若い女性が多く見られました。
今年は、おなじみの登壇者である渡邊昌氏とNPO法人女性ウェルネス食育推進機構理事長で管理栄養士の伊達友美氏に加え、一般社団法人日本健康食育協会代表理事で管理栄養士の柏原ゆきよ氏と東京科学大学・新産業創生研究院・医療工学研究所・未病制御学講座准教授の安達貴弘氏が加わり、前半はお米と美の関係、後半は米の免疫機能についてのエビデンスに基づいた最新の知見が発表されました。
人生が変わるお米の食べ方
トップバッターの柏原ゆきよ氏はお米大好きの管理栄養士であり、お米中心の食事に変えてからの自身の体調や肌が劇的に変化した経験をもとに『お米チャンネル「人生が変わる食べ方」』というYouTubeチャンネルでお米への愛と最新データを元にしたお米生活の提案を行っています。
https://www.youtube.com/@okome-ch
柏原氏は、私たちは「食べたものだけでできている」とし、お米を食べれば体が変るだけでなく心も変わり、引いては人生が変わる。美は内側の問題であり、生き生きと美しい人生を送る人は、「食を大切にする人(自分を大切にする人)」と言います。
また一般にはお米は栄養がないかのようなイメージですが、実際にはお米は栄養豊富で最強のマルチ食材であり、動物性食品より優れたたんぱく質を有しており、特に子供の成長期には、お米のたんぱく質が不足すると将来免疫系の疾患になりやすいとの報告もあるそうで、主食6に対して副食4の割合での食事をすすめています。
2番目の登壇者である伊達友美氏とのトークセッションでは、鳥のささみとブロッコリー、そしてプロテインで作る筋肉よりもお米で作る筋肉の方が美しく、トップボディービルダーやトップアスリートにはもはやそれが常識になりつつある話はとても興味深かたったです。
ただ、やはりこうしたお米を中心にした栄養概念を主張する栄養士はまだ少なく、柏原氏、伊達氏他にはあまりいないというのが、とても残念に思いました。
米の免疫機能
おむすびチェーンの「おむすび権米衛」が提供する玄米と白米のおむすび弁当が配布された休憩を挟んで、午後の部は渡邊昌氏の「玄米の健康効果」、そして安達貴弘氏の「米の免疫機能」についての発表がありました。
安達氏は免疫学の見地から、米の品種によって免疫機能が変ったり、栽培方法、特に無農薬有機栽培米が一般米より免疫機能が高くなる、白米より玄米の方が免疫機能が高まるなどを科学的実験データを示しながら明確に論じていました。味噌の免疫機能の研究もしていて、腸の柔毛が食べ物によって変化することを世界で初めて映像化するなど、ほぼマクロビオティックの科学的論証と言える刺激的な発表でした。
安達氏が推進している「超健康コンソーシアム」も、科学版マクロビオティック的世界観とも言ってもよいのではないでしょうか。これから要注目です。
https://precision-health.studio.site/
全体を通じて、最新の科学がいよいよマクロビオティックに近づいてきたという印象を抱かせてくれる学術セミナーとなりました。渡邊昌氏が常々語る「食養と科学の橋渡し」が新しい時代をむかえつつあるようでした。