1. HOME
  2. ブログ
  3. 【ジャーナルWEB公開記事】2024年秋号「マクロビオティックの仕事」

【ジャーナルWEB公開記事】2024年秋号「マクロビオティックの仕事」

ナチュラルファクトリー

vol.5 (有)ナチュラルファクトリー 小幡哲文

渡米と料理修行

人生100年時代、やっと折り返し地点といったところですが、30年以上も前のこと、長野の高校を卒業後、多くの可能性を求めて渡米しました。半年ほど語学を学んだ後にテキサスの大学に入学し、将来本当にやりたいことを見つけることができるかもしれないと思い、ドラマや美術などの学部を1年間ほど履修しました。しかし、その大学にはやってみたかった料理に関する学部はなく、中退し西海岸の料理学校(短大)に入学することにしました。東海岸にある世界一の料理大学とも迷ったのですが、結果その料理学校は自分にぴったりで、フレンチをベースに料理の基本や応用、スイーツやレストランの経営などを実践していく上で必要なことを学ぶことができました。在学中、カリフォルニアの料理大会に出場し、メダルを獲得することもできました。その甲斐あってシカゴの有名レストランで研修の機会を得ることができたり、本当に充実した2年間過ごすことができました。そのままアメリカでシェフとして活動することもできたのですが、地元でレストランをやりたいと強く想い、2000年に帰国しました。

マクロビオティックと妻との運命的な出会い

帰国後、創作料理の店を開店して1年ほど経た頃、マクロビオティックを勧めてくるお客さんとの出会いがありました。その影響もあり、当初は単なる好奇心から『マクロビオティックガイドブック』を読んでみることにしたのでした。それがきっかけとなり、次第にマクロビオティックの理論に興味を持つようになりました。少しづつ実践していくうちに、玄米を美味しいと感じるようになってきました。また、米国とはまるで異なった様々な食材の発見があり、さらに詳しく勉強したいと思い、マクロビオティック クッキングスクール リマに通うことになったのでした。そこで後に生涯のパートナーとなる人との出会いもありました。かつて名古屋の「コンガリ カフェ」でお菓子をつくっていたのが妻(智恵)です。

ナチュラルファクトリー

妻の智恵さん

ソフトクリームマシーンと豆乳アイス

当初のレストランは2年ほどで閉店し、植物性食材で可能な限りオーガニックなものを使用したカフェを始めることにしました。店を閉じたり、また再び開けたりを繰り返しながら7年間続けてきました。経営者としては褒められたものではありませが、そうして試行錯誤していたのだと思います。

そんな中、カフェの運営中に開発したのが「豆乳アイス」です。卵・乳製品・砂糖・安定剤などの添加物を使用しないアイスは当時あまり見当たらなかったので、マクロビオティック実践者のみならず、一般の方にも美味しいと言ってもらえるものを作りたいと思い立ったのです。アイス好きの自分も食べたいと思い、3年ほど試作を重ねました。

カップに入れて製品として初めて販売していただいたのが今は移転した当時のリマ東北沢店でした。当時のスクールはその上の階にあって、やや塩気が強い料理の授業後にはいつも下のショップで優しい甘さのスイーツを買っていたのを思い出します。そんな東京のお店で販売していただければ色々な方の反応が直ぐに聞けるかと思い、お願いをしたのが始まりでした。予想以上に反応は上々で他の店からも問い合わせが来るようになりました。豆乳アイスをメインにやっていけるかもしれないと期待を抱き、販路を広げるには会社としての信用が必要だと判断し、有限会社ナチュラルファクトリーを設立しました。その後もカフェの経営となんとか両立してきましたが、不安定なカフェ運営は難しいと決断し、豆乳アイスをメインにスイーツの卸販売をすることに決めて今日に至っています。妻は元からスイーツ専門、私は料理目線でのスイーツ開発を一緒に進めています。

カラダと環境に配慮した「美味しい!」を追及

ナチュラルファクトリーでは白砂糖・卵・乳製品等の動物性由来の食材の不使用に加え、小麦粉・化学調味料・添加物を使わないスイーツを製造しています。また、洗浄剤は環境に負荷のかからない自然に分解される安全なものを使用し、人工的な香りが加えられたものは工房内のすべてにおいて不使用です。

美味しいものを提供したいと考えるのは料理人として当然のことですが、「カラダに優しい」 を追及するのはかなりの工夫が必要です。例えば、当初は小麦粉を使用した焼き菓子を製造していましたが、アレルギーのお客様が多いこと、次男が小麦アレルギーを発症したことを機に不使用としました。また、油の使用量についても全てのスイーツにおいて可能な限り減らしてきました。さらに、大量の作り置きはせず、受注生産は今でも変えることのない製造スタイルとなっています。可能な限り新鮮で安全な美味しいスイーツをお届けしたいのです。

ナチュラルファクトリー

薬膳クッキー

最後に

これからも試行錯誤を繰り返しながら、妻と共にオンリーワンを目指したスイーツをつくっていくことには変わりはありません。このところ世界情勢の変化や気候変動の影響で食材の入手状況の著しい変化が続いていますが、常に挑戦の日々が続くのだろうと考えています。しかし同時に、解決策の模索中に思わず美味しいものができることもあります。小さな工房なのですぐに商品化してお客様の反応を伺うことができるのも特権ではないかと考えています。

好きなことを仕事とさせていただけることは本当に幸せなことです。妻や家族のサポート、お客様や関係者の皆さますべての方に感謝を捧げたいと思います。

「季刊マクロビオティック ジャーナル」2024年秋号を無料会員登録して閲覧

ナチュラルファクトリー

INFORMATION

長野県長野市東和田303-1
TEL & FAX:026-243-1416
取扱商品:豆乳アイス・米粉焼き
菓子・米粉ケーキなど
info@naturalfactory.co.jp

(有)ナチュラルファクトリー
https://www.naturalfactory.co.jp/

チュラルファクトリー

関連記事